受験算数OS(オペレーティング・システム)
― 第1章:算数は「ひらめき」という誤解を解く ―
1. 「算数センス」という残酷な言葉
中学受験の世界では、「算数は地頭」「先天的な素質が大きい」「ひらめくセンスが最重要」と言われることがあります。
- 問題を見た瞬間に、解き方がひらめく
- いくつかの条件があるのに、どこから考えたら解けるか、直感で見抜ける
周りから見ると、それはまるで「職人芸」のように見えます。
しかし、職人芸のように見えるからこそ、できない子は苦しくなります。
「自分には、あの感覚がない」
「自分には、算数センスがない」
そう思い込みやすくなるからです。
このサイトでは、そうした感覚で問題をとらえ、なんとなく「これで解けそう」と動き出せる子を「感覚派」と呼びます。
一方で、理屈を1つずつ納得しながら進めたい子を「論理派」と呼びます。
もちろん、子どもを単純に2つに分けられるわけではありません。
どちらか一方だけで考えている子はいません。
「感覚」と「論理」は、9対1、7対3、2対8のように、どちらの要素が強いかという話です。
ただ、中学受験算数の学習は、大量の問題に触れながら感覚を磨くスタイルになりやすく、どうしても感覚派の子が活躍しやすいです。
その結果、論理派の子が「自分は算数が得意ではない」と思い込みやすいのです。
2. 進学塾のスタイルが「感覚派」をさらに加速させる
大手進学塾の授業や教材は、大量の問題を解くことで「解法パターンを身につけていく」スタイルが主流です。
もちろん、大手進学塾のスタイルが悪いということではありません。
大量の問題に触れながら、解法パターンを吸収していく方法は、問題を見た瞬間に方針が浮かびやすい「感覚派」の子には、非常に効果的です。
実際、そういう子は、たくさんの問題に触れるほど、頭の中で複数テーマの解き方がつながっていきます。
しかし、その一方で、論理的に1つずつ納得して進みたい子にとっては、同じスタイルが苦しくなることがあります。
- 「なぜそこから考えるのか」
- 「なぜその形にしていいのか」
- 「なぜその解き方につながるのか」
そこが曖昧なまま、次の問題へ進むことになりやすいからです。
「量をこなせばいつかできるようになる」という指導が、合う子には大きな力になる一方で、合わない子には、何をどう考えればよいのかわからないまま問題数だけが増えていく原因にもなるのです。
3. 「考えてから書く」から「書いたもので考える」へ
感覚派の子は、問題を見た瞬間に、頭の中である程度の方針を立てられることがあります。
だから、考えてから書くことができます。
しかし、論理的に筋道を立てたい子(論理派)に同じことを求めると、最初の一歩で止まってしまいます。
- 何を見ればよいのか。
- 何を書けばよいのか。
- どこから手をつければよいのか。
そこが決まらないまま、ただ問題文を見つめる時間が続いてしまうのです。
だからこそ、順番を逆にします。
考えてから書くのではなく、書いたものを見て考えられる状態を作る。
その中心になるのが「表」です。
ここでいう表とは、ただ数字を並べるものではありません。
問題の条件を整理し、次に見るべきものをはっきりさせるための道具です。
実際には、まず思考を整理するための「表」を書きます。
そして、空いているところを1つずつ埋めようとします。
すると、頭の中だけで条件を覚えておく必要がなくなります。
書いたものを見れば、次に考えるべき場所が見えてくるからです。
- 「ここが空いている」
- 「ここがわかれば、次に進める」
- 「この条件とこの条件を比べればよさそうだ」
そうやって、目で見ながら考えられる状態を作る。
これが、表を書くことの大きな効果です。
算数を感覚でとらえずに筋道を組み立てようとすれば、頭の中がいっぱいになってしまうことがあります。
表に書き出せば、覚える負担が減ります。
その分、「次に何を見ればよいか」を考える余裕が生まれます。
表を書くことは、頭の中に抱え込んでいた負担を、紙の上に移すことでもあるのです。
表は、暗算を安全に使うための受け皿にもなる
表には、条件整理とは別に、もう1つ大きなメリットがあります。
それは、暗算の結果を残せることです。
受験算数では、すべての式を律儀に書く必要はありません。
暗算で処理できるところは暗算を使った方が、負担が少なく、ストレスも少なく進められる場面があります。
ただし、暗算した結果を残さなければ、その数を覚えておくために、かえって頭のメモリを使ってしまいます。
表があれば、暗算した結果を入れる場所が決まり、次に使うときに見失わずに済みます。
暗算は、禁止するものではありません。
結果を表に残すことで、脳の負担を減らす有効な武器になります。
4. 思考の初動を「ルール化」する
このサイトで紹介している教材の中心にあるのが、受験算数OSです。
OS(オペレーティングシステム)とは、コンピューターを動かすための基本システムのことです。
受験算数でも同じように、問題を見たときに「何を見て、何を書き、どう考え始めるか」という基本システムが必要です。
受験算数OSの中核となる考え方が、SOSメソッドです。
SOSには、「算数で助けを求めている子を救いたい」という意味を込めています。
ただの語呂合わせではありません。
問題を解く流れそのものを、次の3段階で整理しています。
S:Start
まず、どこに注目して、何を書くか。
O:Observation
書いたものを見て、次に何を求めるか決める。
S:Solution
見えてきたことを使って、答えまでの流れを組み立てる。
算数で止まってしまう子に必要なのは、いきなり解き方をひらめくことではありません。
まず動き出し、書いたものを観察し、そこから解法につなげることです。
この流れを身につけることで、算数は「ひらめき勝負」から「手順で進める学習」へ変わっていきます。
必要なのは、特別なひらめきだけではありません。
正しい手順で動き出し、書いたものを見ながら考える習慣です。
― 第2章:24時間、君の隣に「算数OS」を ―
1. なぜ、普通のAIだけでは「家庭教師」になりにくいのか
昨今、ChatGPT、ClaudeなどのAIが身近になりました。
しかし、それらに算数の問題を投げても、中学受験の強力なサポーターにはなりにくいのが現状です。
「答え」まで教えてしまう
いきなり式と正解を提示されると、その場ではわかった気になります。
しかし、中学受験算数で大切なのは、答えを知ることではなく、「どこを見て、何を書き、どう考え始めるか」を身につけることです。
そこが抜けると、次に似た問題が出たときに、また止まってしまいます。
解き方がバラバラになりやすい
あるときは方程式を使い、あるときはいきなり高度な考え方を使う。
一般的なAIは、指導方針が一定しないことがあります。
また、中学受験生ならすでに知っていることまで細かく説明する一方で、本当に見てほしいポイントが薄くなることもあります。
そのため、子どもがAIの説明に振り回されてしまうことがあります。
「中学受験の空気」を知らない
受験算数は、かなり特殊な世界です。
小学生が使える形に調整されている一方で、内容としては数学的な考え方に深く踏み込んでいます。
だからこそ、「どこまで説明するか」「どの解き方を使うか」「今の学年でどこまで求めるか」という微妙なさじ加減が必要になります。
一般的なAIには、この中学受験特有の感覚がまだ難しいことがあります。
2. Google NotebookLMで、教材の中にAI家庭教師を作る
そこで私が採用したのが、Googleの最新AI技術「NotebookLM」です。
これは、特定の資料をもとにして、回答を作らせることができるツールです。
私の教材に込めた指導ノウハウを、AIに参照させる
受験算数OSには、私が長年の指導で磨いてきた考え方や説明の流れを、できる限り具体的に入れています。
その教材をNotebookLMに読み込ませることで、AIが私の指導方針に沿って解説しやすくなります。
OS(思考の基盤)がブレない
AIは、SOSメソッドに沿って、「どこに注目するか」「何を書くか」「いま何を求めているか」を明確にしながら解説します。
そのため、毎回の説明が場当たり的になりにくく、教材全体の考え方に沿って学習を進められます。
教材の流れに沿った解説
受験算数OSは、論理派の子が迷わず進めるように作った教材です。
同時に、感覚派の子がさらに上を目指すために、論理的な筋道を身につける教材でもあります。
NotebookLMは、その教材の流れに沿って、着眼点から答えまでを順に説明します。
3. 【比較実験】一般的なAIと、受験算数OSを読み込ませたAIの違い
実際に、角度の問題を質問した際の「回答の質」の違いを見てみましょう。

「13番の解き方や考え方がわかりません。教えてください」と一言、入力したときの解説です。
少し長くなりますが、違いがわかりやすいので、実際の回答例をそのまま載せます。
【ChatGPTの解説】
この問題は 三角定規の角(30度・60度・45度)を使って、149度から必要な角を引いていく 問題です。
① 三角定規は2種類ある
1組の三角定規とは
45度・45度・90度
30度・60度・90度
の2枚です。
図ではこの2枚が重なっています。② 149度のところを見る
149度になっている角は、斜めの線どうしが交わってできた角です。
その内側の小さい角は
180-149=31
つまり交点の鋭い角は 31度。③ 下のアの角を見る
アは、水平な底辺と、右上に伸びる斜め線の角です。
この斜め線は三角定規の辺なので、もとの角度(45度や60度)を利用します。
149度の位置関係から、その斜め線の傾きは 31度だけずれている と考えられるので、
45+31=76答え
ア=76度考え方のコツ
この手の問題は、
三角定規の角(30度・45度・60度)を見つける
外角なら180度から引く
平行・一直線の角を使う
この3つでかなり解けます。
もちろん、一般的なAIでも、問題文や図の条件を丁寧に入力すれば、正しく解けることがあります。
ただ、この例では答えが違っています。
そして、さらに重要なのは、答えの正誤だけではありません。
子どもに必要なのは、正解を知ることではなく、「どこを見て、何を求め、どう答えまでつなげるか」という思考の流れを身につけることです。
その点で、教材の方針を読み込ませていないAIには、どうしても不安定さが残ります。
【受験算数OS(NotebookLM)の回答例】
パート1:問題の着眼点と「枠(図や表)」の準備
まずはACT1のまとめにある「①まず、どの三角形を見るか決める」から始めましょう。
図を見ると三角形がたくさんあるけれど、やみくもに角度を書き込むのはNGです。
149度がわかっているので、ここから一番近い三角形を「①の三角形」、その隣を「②の三角形」、㋐のすぐ近くを「③の三角形」と順番に見ていく作戦を立てます。
また、この図は「1組の三角定規」が重なっている問題。
ACT1の「三角定規と角度」で学んだように、直角二等辺三角形の45度・45度・90度と、半正三角形の30度・60度・90度の数字を使う準備をしておきましょう。
問題に数字が書いていなくても、これが大きなヒントになりますよ。パート2:枠を使った具体的な計算プロセス
立てた作戦通りに、①、②、③の三角形の順番で角度を計算していきます。①の三角形: まずは「180度になるところがないか見る」を使います。
149度と一直線に並んでいる角は、一直線の180度から引き算をして180-149=31度とわかります。
そして、この①の三角形のもう一つの角は、直角二等辺三角形のとがった角だから45度。
三角形の3つの内角の和は180度だから、残りの1つの角は180-(31+45)=104度になります。②の三角形: ①の三角形で求めた104度の「対頂角(向かい合う角)」が、②の三角形の1つの角になるから、ここも104度ですね。
そして、もう一つの角は半正三角形の一番とがった角だから30度です。これで2つの角がわかったから、残りの角は180 -(104+30)=46度と求められます。③の三角形: 同じように、②の三角形で求めた46度の対頂角が、③の三角形の1つの角になるから46度。さらに、この③の三角形には、直角二等辺三角形の直角部分が含まれているから、もう一つの角は90度になります。だから、③の三角形の残りの角は、180-(46+90)=44度だとわかります。
パート3:まとめと答え
いよいよ最後の仕上げです!③の三角形で求めた「44度」のすぐ隣にあるのが、求めたい㋐です。
ここでもう一度、一直線に注目します。㋐と44度を合わせると一直線の180度になっていますね。
だから、最後の計算式は、180-44=136
これで、㋐の角度は136度だと求められましたね!
ここまでで、わからない箇所があったら遠慮せずに教えてね。
どのパートからわからないか言ってくれたら、効率よく教えられるから、よろしくね!
さすがに、ちょっとくどい気もしますが、これは調節可能で、もう少しレベルを上げて良いとか、このレベルでとか、もっと丁寧にとか指示できますし、言葉遣い、生徒との距離感も調節可能です。
NotebookLMの良いところは、回答のあとに関連する質問候補が表示され、深掘りしやすいことです。
子どもが自分から質問文を考えるのが難しいときでも、次の一歩を選びやすくなります。
ただし、深掘りしすぎると時間がかかりすぎるので、使い方には少し注意が必要です。
人間の家庭教師のように、子どもの表情や手の動きを見ながら細かく反応することは、現在のAIにはまだ難しい部分があります。
それでも、NotebookLMの質問候補を使えば、子ども側から次の質問を選びやすくなり、受け身で終わりにくい学習ができます。
この比較で大きいのは、答えが合っているかどうかだけではありません。
一般的なAIの回答は、途中の見方が曖昧で、なぜその角度を使うのかが見えにくくなっています。
一方、受験算数OSを読み込ませたAIは、「①の三角形、②の三角形、③の三角形」と見る順番を決め、教材の解説に沿って順に角度を求めています。
子どもに必要なのは、答えを知ることではありません。
「どこから見ればよいか」「次に何を求めればよいか」という思考の流れを身につけることです。
その思考の流れを、AIが何度でも確認してくれることに価値があります。
AIの価値は、答えを早く出すことではありません。
子どもが止まったところから、もう一度考え始められるようにすることです。
4. AIは、冷静な励まし役にもなれる
AI家庭教師に、解き方だけでなく、勉強への不安やつまずき方について相談することもできます。
AI家庭教師は感情的になりません。
それでいて、人の気持ちに寄り添うことができます。
ここだけは、AIに軽く指示をするだけで、基本的にAIにお任せで大丈夫です。
たとえば、次のような使い方ができます。
- 子どもを励ます
- 子どもの努力を認める
- 自信を持てるように声をかける
- 勉強への不安をやわらげる
- 改善ポイントを冷静に伝える
- 前向きに次の問題へ進めるようにする
私の教材を読み込ませたNotebookLMなら、中学受験生の学習段階に合わせて、教材の方針に沿った説明をしやすくなります。
さらに、感情的にならず、子どもの気持ちに寄り添う声かけもできます。
そのすべてを高い水準で満たす家庭教師は、現実にはなかなか多くありません。
― 第3章:利用手順は、とてもシンプルです ―
1. まず、こちらでAI家庭教師の土台を用意します
こちらで、受験算数OSの教材PDFを順次アップロードしていきます。
NotebookLMは、アップロードされた資料をもとに回答を作るAIツールです。
そのため、一般的なAIにそのまま質問するよりも、受験算数OSの考え方に沿った解説になりやすくなります。
さらに、このサイト内で説明している指導方針や、私の指導スタイルをまとめたメモも登録します。
これにより、AIが「どこに注目するか」「何を書くか」「どの順番で考えるか」という受験算数OSの流れを踏まえて回答しやすくなります。
2. 購入者様は、共有URLから利用できます
受験算数OSをご購入いただいた方には、こちらで作成したNotebookLMの共有URLをご案内します。
利用の流れは、とてもシンプルです。
- 受験算数OSを購入する
- 共有URLからNotebookLMにアクセスする
- 受験算数OSの本編教材を学習する
- 受験算数OSの練習問題に取り組む
- わからない問題をNotebookLMに質問する
- 余裕があれば、受験算数OSの実力問題(応用編)に挑戦する
- わからない問題は、またNotebookLMに質問する
※NotebookLMの利用には、Googleアカウントでのログインが必要です。
3. わからない問題を、その場で質問できます
たとえば、
ACT1の練習問題3がわかりません。
どこから考えればいいですか?
と入力すれば、AIが受験算数OSの教材をもとに説明します。
ただ答えを出すのではなく、
- 「どこに注目するか」
- 「何を書くか」
- 「次に何を求めるか」
という流れを確認しながら、解説を進めます。
4. 自分専用の学習ノートとしても活用できます
AIとのやり取りの中で、自分にとって重要だったポイントを保存していけば、自分専用の「弱点克服ノート」として活用できます。
- 同じ単元で何度もつまずくところ
- 解説を読んで、ようやく納得できたところ
- 次に同じミスをしないために残しておきたいこと
そうした学習の記録を、自分専用のノートとして積み上げていくことができます。
5. 音声解説も活用できます
必須ではありませんが、NotebookLMの音声生成機能を使えば、教材内容をもとにした対話形式の音声解説を作ることもできます。
移動中や休憩中に聞くことで、解き方の流れを耳から確認することも可能です。
6. 教材が増えるほど、AI家庭教師も育っていきます
受験算数OSは、今後も教材を追加していきます。
新しい教材や解説を追加することで、共有Notebookの内容も順次充実させていきます。
つまり、教材が増えるほど、AI家庭教師が参照できる内容も増えていきます。
ただのPDF教材で終わらせるのではなく、学習を続けるほど使いやすくなる「育つ教材」として整えていきます。
受験算数OSは、買って終わりの教材ではありません。
学びながら、質問しながら、自分専用の理解を積み上げていく教材です。
第4章:なぜ「新5年生の2月スタート」で間に合うのか
受験算数OSは、完全オリジナルカリキュラムです
1. 4年生から始めれば、必ず有利になるわけではありません
4年生から通塾を始めること自体が悪いわけではありません。
早く始めることで、学習習慣がつき、受験勉強に慣れるというメリットもあります。
しかし、早く始めれば必ず有利になるわけではありません。
私は塾講師として20年間、多くの親子を見てきました。
4年生から通塾を開始し、毎週のテストで良い点を取るために、解き方だけを必死に覚えていく親子。
一方で、5年生から通塾を開始し、いつの間にか、1年前から受験勉強を始めていた生徒たちに追いついていく子。
その両方を、何度も見てきました。
そこで私は、単元の順番と学習の質を整えれば、5年生からでも十分に勝負になると考えるようになりました。
これは机上の空論ではありません。
塾講師として、そして家庭教師として、5年生から始めても追いついていく生徒を実際に見てきたからです。
そして、5年生から始めた子が、みな特別に能力が高かったわけでもありません。
2. 4年生から始めても、「覚える算数」になれば伸びにくい
4年生から始める子の多くは、毎週のテストに追われます。
もちろん、テストがあること自体は悪いことではありません。
しかし、点数を取ることが目的になりすぎると、解き方を覚える算数になりやすくなります。
- 「なぜそう考えるのか」
- 「なぜそれを書くのか」
- 「なぜその解き方で答えが出るのか」
そこが曖昧なまま、テストのために解法パターンを覚えていく。
そうなると、学習時間は長くても、学習の質は高まりにくくなります。
5年生から始めても追いつける子がいるのは、単にその子の能力が高いからだけではありません。
4年生から始めた子たちが、必ずしも質の高い学習を積み重ねているわけではないからです。
3. これは「ゆる受験」の話ではありません
ここでお伝えしているのは、軽めの受験だけを想定した話ではありません。
四谷大塚偏差値60以上の学校を目指す受験算数も視野に入れた話です。
もちろん、誰でも簡単に合格できるという意味ではありません。
しかし、精神年齢を加味した理解しやすい単元順で、解き方を覚えるだけではなく、考え方の土台を作っていけば、5年生から始めても上位校に届きますし、逆に、5年生から始めるアドバンテージというものもあると思っています。
受験算数OSは、学習効果、学習効率を追い求め、単元順から設計し直した教材です。
4. カリキュラムの中心に置いたのは「比」です
中学受験算数の大きな山場は、「比」です。
割合と比は、実は比から学習した方が、整数でイメージできるので、スムーズに理解しやすい部分があります。
これは、塾講師の間でもよく知られている感覚です。
受験算数OSでは、大手塾とだいたい同じ時期の5年生の7月に「比」を学習するようにカリキュラムを設計しました。
つまり、一般的な受験生より遅くから始めて、追いつくという作戦ではなく、精神年齢が幼い時期を慎重に過ごしながらも、大手塾と同じペースで進めていることになります。
この教材で最も重視したのは、ここです。
比をどこに置くか。
そこから逆算して、単元の順番を決めています。
5. 比の前に、何を学ぶべきか
速さは、比を学習する前後で扱える問題がまるで違います。
比を学習する前も、扱えるものは扱った方が良いのでは?という考えも理解できますが、5年生から受験勉強を始めた生徒さんの速さの学習状況を見て、あるいは、速さは、「比例」という分野であることから、比を学習してから扱えば良いという結論に至りました。
割合は、比の後に学習することが、受験算数OSの根幹です。
過不足算も、割合の考え方とつながるため、比の前に扱う必要はありません。
数の性質は、早い段階で難しい問題まで進めると、解き方を覚える算数になりやすく、学習の質が下がることがあります。
最大公約数、最小公倍数程度で留めておくことがポイントだと思っています。
では、比の前に何を学ぶべきか。
私は、次の単元を先に固めるべきだと考えました。
角度・面積・体積や表面積・場合の数・規則性・つるかめ算・平均算・消去算etc
これらは、比を学ぶ前でも、考え方の土台を作りやすい単元です。
そして、この順番でカリキュラムを組むと、受験算数は「新5年生の2月スタート」が最も自然だという結論に達しました。
6. 新5年生の2月スタートは、妥協ではありません
もう一度、はっきり書きます。
新5年生の2月スタートは、コストを抑えるための妥協案ではありません。
4年生の間は遊ばせたいから、ギリギリまで遅らせるという話でもありません。
一部の4年生で、難問を喜んで解くような算数少年・算数少女を除けば、多くの子にとって、新5年生の2月スタートは非常に理にかなったプランだと考えています。
大切なのは、早く始めることではありません。
正しい順番で、質の高い学習を積み上げることです。
受験算数OSは、そのために作った完全オリジナルカリキュラムです。
決して4年生からの1年間の通塾での学習を否定しているのではありません。
ただ、その1年間が「覚える算数」になってしまうなら、5年生から質の高い学習を始める方が、結果的に伸びることがあります。
7. 4年生の間に、何をしておくべきか
ここまで、新5年生の2月スタートが理にかなっている理由を書いてきました。
四谷大塚偏差値60以上を視野に入れることはできます。
ただし、四谷大塚偏差値65以上の難関校を本気で目指す場合は、4年生の過ごし方にも少し工夫が必要です。
方法は、大きく2つです。
1つは、4年生から進学塾に通うこと。
もう1つは、4年生の間は塾に通わず、家庭で角度・面積・場合の数を徹底的に学習することです。
特に場合の数は、差がつきやすい単元です。
ここを「誰にも負けない」と言えるくらいの得意単元にできれば、5年生以降の受験算数で大きな武器になります。
一方で、偏差値65以上の難関校を前提にしない場合は、4年生のうちから大量の受験算数に追われる必要はありません。
4年生から通塾する場合でも、毎週のテスト結果に振り回されすぎる必要はありません。
大切なのは、点数そのものよりも、解くときに何を書くかです。
縦と横に意味のあるものを整えて書けるか、図に何を書き込むのか。
そうした「考えるための書き方」を身につけることの方が、後から大きな力になります。
また、4年生の間に塾へ行かない場合でも、計算力をしっかり鍛えておけば十分に意味があります。
特に、暗算を安全に使える力は大切です。
ただ速く計算するだけでなく、必要な結果を正しく出し、使いやすい場所に残す。
この習慣があるだけでも、5年生からの学習はかなり進めやすくなります。
大切なのは、4年生から始めるか、5年生から始めるかではありません。
その時期に合った学習を、質高く積み上げることです。
第5章:ここから、算数の学び方を立て直す
特に使っていただきたいのは、4年生で通塾していたものの、「このままで本当に大丈夫だろうか」と感じているご家庭です。
4年生でうまくいかなかった子は、能力がないわけではありません。
その時点では、進学塾のスピード、量、テスト中心の学習スタイルに合わなかっただけということが多いのです。
新5年生のスタートからでも間に合うように設計している教材です。
だからこそ、4年生でうまくいかなかったとしても、ここから学び方を立て直せば十分に間に合います。
必要なのは、解き方の暗記を続けることではありません。
「何を書くか」を重視する勉強に切り替えることです。
受験算数OSの使い方は、大きく分けて、2つあります。
1つは、通塾を続けながら、週1〜2回、受験算数OSに取り組む方法です。
もう1つは、通塾をいったん休む、または回数を減らし、受験算数OSを中心にして学び方を立て直す方法です。
どちらの形でも、これまでの勉強から質を変えることができれば、学力は高まります。
大事なのは、目先の塾内成績だけではありません。
本当に必要なのは、入試本番で使える学力を高めることです。
受験算数OSで重視している「表を書く力」は、入試のためだけの力ではありません。
条件を整理し、相手に伝わる形でまとめる力は、将来、社会に出てからも役立つ力です。
だからこそ、ただ答えを出すだけでなく、説得力のある、わかりやすい表を書くことを大切にしています。
ここから、算数の学び方を変えていきましょう。
ぜひ一度、受験算数OSをお試しください。
小5スタート算数オリジナルカリキュラム
中学入試算数リスタートでは、5年生7月に「比・割合」を置き、そこから逆算して単元順を設計しています。
そのため、新5年生2月から始めても、比に入る前に必要な土台を無理なく積み上げられる構成になっています。
「比・割合」を中心に逆算したカリキュラム
| 学習時期 | 学習単元 |
|---|---|
| 新5年生2月 | 角度・三角形や四角形の面積 |
| 新5年生3月 | 約数・倍数・計算(分数や小数も含む) |
| 5年生4月 | 場合の数・角度 |
| 5年生5月 | 規則性・円とおうぎ形の面積 |
| 5年生6月 | つるかめ算・平均算・消去算・場合の数 |
| 5年生7月 | 比・割合 |
| 5年生8月 | 体積・表面積・推理と論理 |
| 5年生9月 | 計算(数の性質)・場合の数 |
| 5年生10月 | 規則性・面積の応用 |
| 5年生11月 | 数の性質・年令算・食塩水 |
| 5年生12月 | 平面図形と比(相似も含む) |
| 5年生1月(新6年直前) | 売買損益算・仕事算 |
| 新6年生2月 | 速さと比 |
| 新6年生3月 | 平面図形と比(正六角形を含む)・角すいと円すい |
| 6年生4月 | 容器・流水算・通過算・時計算 |
| 6年生5月 | 図形の移動・比例・点の移動 |
| 6年生6月 | 立体図形(切断や回転体を含む)・水量グラフ |
| 6年生7月 | 線対称と点対称 |
早く始めることよりも、正しい順番で、その子に合ったペースで進めること。
受験算数OSは、そのためのカリキュラムです。
学習ペースは、目標に合わせて3つのプランから選べます
受験算数OSを使った学習には、大きく3つの進め方があります。
プラン①:先取り重視プラン
5年生の1年間で、6年生7月までの内容を消化するプランです。
算数が比較的得意な子、または家庭学習の時間をしっかり確保できる子に向いています。
このプランで進めると、新6年生から通塾する場合でも、算数で大きな余裕を持ってスタートできます。
ただし、5年生7月の「比・割合」は、カリキュラム上の位置を大切にします。
比を学ぶ前に、5年生8〜10月の内容を先取りする形で進め、比に入る前の土台を厚くしておきます。
※5年生8~10月は比を利用しない単元の学習にしております。
5年生8月以降の6か月間で、9〜12か月分(5年生の6月までに、どこまで先取りしたかによります)の内容を進めるため、やや速いペースになります。
優秀な子であれば、十分に現実的なプランです。
プラン②:標準プラン
カリキュラム通りに進めるプランです。
無理な先取りをせず、理解を固めながら進めたいご家庭に向いています。
このペースで進めれば、6年生の夏期講習から通塾を始める場合でも、スムーズに合流しやすくなります。
新5年生2月から、順番通りに必要な単元を積み上げていく、最も基本となるプランです。
プラン③:じっくり定着プラン
カリキュラムよりも少しゆっくり進めるプランです。
進度の目安は、標準カリキュラムの8割程度です。
理解に時間をかけたい子、計算や基本の定着を大切にしたい子に向いています。
6年生11月ごろまでに主要内容を終えられれば、四谷大塚偏差値50前後の学校で必要とされる算数力は十分に視野に入ります。
速く進むことだけが正解ではありません。
大切なのは、その子に合ったペースで、解き方を覚えるだけではない学習を積み上げることです。
予告
最難関中対応の教材なども含め、6年生8月以降の教材も用意します。
そのため、入試直前まで受験算数OSをご利用いただくことも可能です。
受験算数OSと過去問を中心に学習を組み立てることで、さまざまな難度の入試に必要な力を身につけていくことができます。