受験算数OS:小3から小6までの全体戦略
中学受験の算数に、「最適ルート」はあるのか
中学受験の算数を、塾に通わず、家庭学習だけで、最難関校まで——
そう聞くと、無謀に聞こえるかもしれません。
けれど、受験算数OSは、そのための道筋を、一本の設計として持っています。
魔法でも、根性論でもありません。
「どの単元を、いつ、どう攻略するのが最も効率的か」を、入試から逆算して組み立てた、地道なロードマップです。
このページでは、まずその全体戦略をお見せしてから、お子さんの学年ごとの一歩を、順にご案内します。
上を目指すお子さんにも、算数に不安のあるお子さんにも、それぞれの道があります。
学習スタイル ―― 途中式ではなく、「表」で考える
具体的な話に入る前に、受験算数OSの学習スタイルを、お伝えします。
計算の式をしっかり整えて書いて残すのではなく、条件を「表」に整理して考えていく、というスタイルです。
ただ、「表に整理する」と言っても、決まった表に数字を当てはめるだけ、ではありません。
ここには、二段階の「考える」があります。
まず、問題を読んだら、「どんな表を書けば、この問題を解けそうか」を考えます。
これが一段目です。
そして、選んだ表を書き、分かっている条件を、そこに書き込んでいく。
うまくいけば、次の段階へ進みます。
「表の空欄を、どう求めるか」「この表から、どう解いていくか」を考える——
これが二段目です。
面白いのは、表を書いてみると、その表が正しかったかどうかが、分かることです。
もし、条件の一部が表に書き込めなかったり、表を見ても解き方が浮かんでこなかったりしたら、それは、選んだ表が、この問題には合っていなかったということ。
そのときは、表を書き直すか、別の解き方に切り替えます。
表を書くこと自体が、自分の選んだ方針を試す、確かめの場になっているのです。
どんな表を書くかを考え、書いて、その表からどう解くかをまた考える。
うまくいかなければ、立て直す。
この二段階の思考こそが、初めて見る問題にも手が動く力になります。
そして、この考え方は、小3から小6まで、あらゆる単元を貫いています。
全体戦略 ―― 5つの重要単元、それぞれに、攻め方がある
中学受験算数で、合否を分ける重要単元は、5つあります。
「場合の数」「平面図形と比」「速さ」「立体図形」「数の性質」
ここに、大きな異論のある方は、少ないと思います。
受験算数OSは、この5つを、ただ「全部できるように」と一斉に追いかけるのではなく、単元ごとの性質を見極めて、それぞれ違う攻め方で押さえていきます。
どこで人より前に出て、どこを確実に取り切るか——
その役割分担を、はっきり決めているのが、この教材群の背骨です。
場合の数と平面図形と比は、「取り組む時期」で先手を打ちます。
この2つは、比を学ぶ前でも深く進められる、数少ない単元です。
だから、多くの子がまだ手をつけない小4のうちから始め、小5の夏までに、難関校に通用するレベルまで仕上げておく。
早く始めた分が、そのままリードになります。
数の性質と合わせ、この3つは、十分な演習を積むことで、リードを作れる単元だと考えています。
速さは、この作戦の要です。
難しく、パターンの多いこの単元は、取り組むのは小6です。
無理に早めることはしません。
ただ、普通に学ぶと、膨大な演習量が必要になります。
パターンが多いぶん、数をこなして覚えるしかない、と思われているからです。
ここに、受験算数OSの工夫があります。
速さを5つの型に整理することで、問題を読んで「これはこの型」と判断できるようにする。
すると、闇雲な演習量が要らなくなり、時間と労力を大きく減らせるうえに、正答率の低い難問まで、取れるようになります。
これは、私が家庭教師として、速さに悩む上位のお子さんを見続ける中で編み出した方法で、教えるようになってから、その子たちの手応えが、はっきりと変わりました。
長年かけて見つけたこの方法を、これから受験するお子さんにも渡したい——
その思いで、教材に組み込んでいます。
多くの子が苦手とする速さを、むしろ得点源に変える。
ここが、受験算数OSがいちばん力を注いできた単元です。
立体図形は、正直にお伝えします。
正答率が極めて低い最難関校の極端な難問には、生まれ持った空間の感覚が影響することがあり、正解にすることは、簡単ではありません。
けれど、それより上の、合否を分ける大部分の問題は、生まれつきの感覚がなくても、
「断面を取り出して平面で考える」「切断の体積は、断面積に高さの平均をかける」といった確実な型で、きちんと取れるようになります。
こうして見ていくと、単元ごとに、どこまで取れるかが違います。
立体図形は、極端な難問を除いて、確実に取る。
そして速さは、5つの型を武器に、正答率の低い難問まで取りにいく。
取れる単元で、難問まで確実に取り切る。
その積み重ねが、合格点を、ぎりぎりではなく、余裕を持って上回ることにつながります。
やみくもにすべての難問を追うのではなく、どの単元で、どこまで取るかを見極めて、力を集中する。
そうして、余裕を持って合格ラインを越えていく——
これが、受験算数OSの考える、合格への作戦です。
では、学年ごとの一歩を
ここまでが、小3から小6までを貫く、全体戦略です。
この道は、お子さんの学年から、いつでも乗ることができます。
まずは、出発点となる小3から、順に見ていきましょう。
小3 ―― 白羽の矢を立てたのは、「書き出し」
小3で、私が最も大切だと考えているのが、「書き出し」です。
ただ、これを選んだのは、最初から「場合の数の土台になるから」という理屈でではありませんでした。
塾講師時代、毎年、小3の応用クラスを担当する中で、この学習が、とても良いものだと、実際に目にしたからです。
その教室の光景を、少しお話しさせてください。
書き出しの問題は、優秀な子でも、一発で正解することもあれば、うっかり重複して間違えることもあります。
子どもが、書き出した答案を持ってくる。
私は、どこが間違いかは言いません。
「2問、違うよ」——
それだけ伝えます。
すると子どもは、悔しがって、すぐに席に戻る。
そして、自分で、重複しているミスを探し始める。
見つかると、また持ってくる。
できていたときの、あの満足そうな顔。
なぜ、この進め方が良いのか。
難しい問題だと、解けないとき、子どもはギブアップして、講師がヒントや答えを教えることになります。
子どもは、受け取る側になる。
けれど書き出しの間違いは、重複や抜けという、自分で見つけられる間違いです。
だから、間違いの箇所は伏せて、「2問違う」とだけ伝える。
あとは、子ども自身が探し、見つけ、直す。
答えをもらうのではなく、自分の手で発見する。
この経験こそが、学習として、質が高いと考えたのです。
そして、この良い学習を続けた子は、結果として、「もれなく、重なりなく書き出す」力を、しっかり身につけていました。
これは、受験算数の最重要単元のひとつ、場合の数の、まさに土台になる力です。
書き出しは、良い学習であると同時に、場合の数への確かな下地でもあった——
だから、小3の中心に据えています。
書き出し算数は、この教室でやっていた学習を、ご家庭で再現できるようにした教材です。
道順や図形など多彩な題材を、自分の手で書き出していきます。
あわせて、粘って考える力を育てる小3模試の最後に出る思考力問題、雑に読むと間違える文章題で読む力を育てる小3からのよく読む算数。
この三部作で、小3に必要な土台を作ります。
さらに、場合の数に身構えてしまうお子さんには、書き出し算数の続きとして、場合の数・書き出しがあります(詳細は各ページで)。
小4 ―― カリキュラムより、場合の数と平面図形を
小4は、多くのご家庭が「そろそろ塾で本格的に」と考え始める時期です。
けれど受験算数OSは、この時期に、あえてカリキュラム学習を急がず、場合の数と平面図形に取り組むことをおすすめしています。
その理由を、正直にお話しします。
たしかに、塾のカリキュラムに入らなければ、あとから塾に通い始めたとき、最初の2か月ほどは、追いつくのに苦労します。
ここは、正直に認めます。
けれど、逆に言えば——2か月ほどで、追いつけてしまうのです。
中学受験のカリキュラムは、同じ単元を繰り返し学ぶ、螺旋階段のような構造になっています。
だから、途中から入っても、繰り返しの中で、追いついていける。
裏を返せば、小4の1年間のカリキュラム学習は、あとから2か月ほどで取り返せる程度のもの、とも言えます。
一方、場合の数と平面図形は、そうはいきません。
小4のうちにこの2つをやってきた子に、やらなかった子が追いつくのは、かなり厳しい差になります。
理由は、はっきりしています。
小5になると、本格カリキュラムで手一杯になり、場合の数や図形を、じっくりやり直す余裕が、もうないからです。
つまり、こういうことです。塾のカリキュラムは、あとからでも追いつける。
でも、場合の数と平面図形は、あとから追いつくのが難しい。
だとしたら、小4という時間は、あとで追いつけるものより、あとでは追いつけないものに使うほうがいい。
カリキュラムに入らない遅れは、2か月で取り返せる。
けれど、この2単元の先行は、取り返しがききません。
だから、迷わず、場合の数と平面図形を。
この2つは、比を学ぶ前でも深く進められる、数少ない単元です。
長期【場合の数】と長期【図形】が、それぞれ入門から標準まで、さらに、図形は、易しいライト版(L)と手ごたえのあるハード版(H)を用意しています。
そしてもう一つ、作戦を立てる力を育てる作戦算数。
「まずここから分かる、次はこれ」と考えの筋道をつなぐ姿勢を、独自のリンク式解説で育てます。
小4のうちに、この2単元をどこまで進められるのか——
それは、言葉より、実物を見ていただくのが早いと思います。
1年間しっかり取り組むと、標準編の第10回あたりまで進む子もいます。
その標準10のレベルを、サンプルでご覧ください。
「これが、4年生の1年間の成果なのか」と、実感していただけるはずです。
なお、本格的な算数の手前から下地を固めたいお子さんには、受験算数・基礎があります。
計算に飛びつく前に、分数を図で、角度を分度器で——描いて掴む準備教材です。
【最上位を目指すご家庭へ】飛び級プランのご案内
もし、お子さんが最上位を——
最難関校を本気で目指すなら、お薦めしたいプランがあります。
「飛び級」と呼んでいるプランです。
やることは、はっきりしています。
長期【図形】の、易しいライト版(L)は省き、ハード版(H)で駆け足に進む。
そして、小4のうちに、長期【図形】と長期【場合の数】の2単元を標準編の第10回まで仕上げます。
さらに、新5年生の2月から夏にかけて、本編カリキュラムを推奨ペースの2倍の速さで進み、5年生の夏休みには、標準編の後半(第11回〜第20回)まで、一気に仕上げてしまいます。
このレベルまで来られるお子さんは、5年生の夏の時点で、場合の数と図形を、すでに「武器」として手にしていることになります。
相応の力と計画性が要るプランですが、最上位を目指すお子さんにとっては、確かな一手です。
小5 ―― トップの子も、苦手な子も、ここから全員、同じスタートで
小5から、本格的なカリキュラム、受験算数OS本編が始まります。
トップを目指すお子さんも、算数に不安のあるお子さんも、ここが出発点です。
なかでも、4年生の1年間を通塾で過ごし、「このまま5年生に進んでよいだろうか」と迷っているご家庭は、この小5が、学び方を立て直す出発点になります。
同じやり方を続けるのではなく、ここから組み直すという選択について、別のページで詳しくお話ししています。
→ 4年生で算数が苦しくなった子へ
本編の設計には、はっきりした軸があります。
中学受験算数の山場である「比と割合」を、小5の夏(7月)に置き、そこを軸に、前後の単元を組み立てていることです。
実は、ここに、大きな意味があります。
多くのカリキュラムでは、先に「割合」を学び、あとから「比」が入ってきます。
すると、比が来たときに、割合で覚えたことを、どこは活かし、どこは組み替えるか——
その線引きが難しく、比が、どうにもしっくりこない。
比をうまく使えないまま、比を使う単元が毎週のように押し寄せてくるので、小5の後半は、一週一週が厳しくなっていきます。
多くの受験生が、この時期に苦しむのは、このためです。
受験算数OSは、比を軸にカリキュラムを組むことで、この「あとから組み替え直す」負担を、そもそも生まないようにしています。
だから、受験算数OS生は、小5後半を、無理なく進んでいけます。
そして、その分の余裕を、場合の数と図形の標準編に充てられます。
小4から取り組んできたこの2単元を、標準編まで進め、得意分野に育てていく。
上位を目指すお子さんなら、5年生の終わりに、場合の数も図形も標準編を終えられるでしょう。
そこまで急がないお子さんでも、6年の前期までに、どちらかの標準編に取り組めれば、十分に理想的です。
小6 ―― 前半で速さと立体、後半で数の性質と過去問へ
小6は、残る山に向かう、仕上げの時期です。
前半で速さと立体図形を、後半で数の性質を固め、過去問へと向かっていきます。
全体戦略でお伝えした通り、速さは5つの型で得点源に変え、立体図形は確実な型で、取るべき問題を取り切る。
小3から積み上げてきたものが、この時期に、実を結びます。
そして、この仕上げの時期に、一つ、お伝えしておきたいことがあります。
ここまで、塾に通わない学習を前提にお話ししてきました。
学習の中身としては、それで十分に力はつく、と考えています。
けれど、中学受験が初めてのご家庭では、こう感じることもあるでしょう。
「ライバルが、今どのあたりにいるのか」「競争のない環境で、本当に大丈夫なのか」「塾に通わないこと自体が、不安ではないか」——
その不安は、自然なものです。
もし、そう感じられるなら、新6年生から塾に通う、という選択も、十分にありだと思います。
新6年は、塾でもカリキュラムが一通り終わり、ちょうど区切りのよい時期です。
そして、ここが大切なのですが——
受験算数OSで小5までを過ごしたお子さんは、場合の数と平面図形という武器を持って、塾に入れます。
他の単元も、ほとんど遜色ありません。
仮に、塾で先に進んでいる単元があっても、追いつくだけの土台は、すでにできています。
だから、塾に通っても、通わなくても、どちらでも大丈夫です。
ただ、塾に通う場合でも、対話式算数300は、取り組むことをお薦めします。
最難関校の初見問題に、「最初の一手」を掴む力は、塾のカリキュラムとはまた別の、独自の仕上げになるからです。
なお、この先、速さと立体図形に特化した「強化シリーズ」も、順次ご用意していく予定です。
6年で、これらの単元をさらに固めたいお子さんに向けた教材です(準備が整いしだい、ご案内します)。
それでも行き詰まったら、作者本人が見ます
教材で学びを進める中で、もし途中で行き詰まったら——
教材を作った本人による、オンライン個別指導も、わずかですがお受けしています。
私は今、教材作成に専念したいので、多くはお引き受けできませんが、「いざとなれば、直接見てもらう道もある」という安心として、知っておいていただければと思います。
この道は、お子さんの学年から、いつでも乗れます
ここまでご覧いただいた通り、受験算数OSは、小3から小6まで、「手を動かして、描いて、掴む」という一本の考え方で貫かれています。
塾に通わず、家庭学習だけで、最難関校まで——
その道筋は、決して平坦ではありませんが、一歩ずつ、はっきりと続いています。
どの教材も、この道のどこかに位置しています。
まずは、お子さんの今の学年のところから、詳しいページをのぞいてみてください。
そして、気になった教材があれば、無料サンプルで中身を確かめていただくのが、いちばんです。
言葉でお伝えするより、実際の一問に触れていただくほうが、この教材の考え方は、ずっとよく伝わると思います。
すでに小4を終えて、算数に不安を感じているご家庭は、[4年生で算数が苦しくなった子へ] もあわせてご覧ください。