中学受験勉強を4年生から始める弊害
受験勉強は早くから始めれば有利になるわけではありません。
むしろ不利になります。
スポーツだとイメージしやすいと思います。
野球でもサッカーでもバスケットボールでも、いきなり大人が使うボールを使いません。
筋力が不足しているからです。
勉強も同じですが、スポーツと違って、実感しにくいので、早く始めるほど、負担が分散され、スムーズな受験勉強生活になると錯覚しやすいです。
早く始めるとどうなるか?
理解できずに覚える勉強になります。
4年生で、お子様に算数を教えたことのある保護者ならば、かなり高い割合で、無理矢理、覚えさせた経験があるのではないでしょうか?
「とにかく、ここに数字を当てはめれば正解になるから!」という学習方法です。
中学生以降、理系の人が文系の人の数学の学習を見ると、愕然とします。
「なんで、そんなことを覚えるの?」というようにです。
理解できていれば、覚えなくて済むものまで、覚える一辺倒で学習を進めます。
その結果、高校生になると数学が苦手になり、諦めます。
覚える学習は正義では無かったのです。
将来に生きない高校受験を乗り切るだけのものだったのです。
その手法を取り入れて、4年生の算数も覚える学習になっていると、とても拙いことになります。
6年生になり、応用問題に通用しなくなります。
応用問題とは、既に身につけている解法の概念を利用した問題が主流です。
つまり、解法の概念が理解できていなければ利用ができないというわけです。
解き方を覚える学習では解法の概念は理解できません。
応用問題が苦手ならば難関校の合格は難しいです。
難関校を目指していないから、覚える算数でも良いという考え方は、間違いではありませんが、いま貴重な時間を使った学習が、入試を乗り切るだけの学習になり、中学生以降に生きていきません。
覚える学習はできるだけ避けたいです。
覚える算数にしないために
とても簡単なことです。
理解できないレベルの問題を扱わなければ、覚える算数になりません。
長方形の面積を、頑張って「縦×横」と覚える人はいないと思います。
マス目をイメージして、縦と横をかければ、マス目の個数が分かるからです。
授業で「縦×横」で求めましょうと言わなくても、マス目の個数は何個?と聞くと、勝手に縦と横をかけて面積を求めてくれます。
それが理解する算数です。
レベルが下がればイメージできて、理解できます。
覚える算数を回避するためには、レベルを下げる。
つまり、受験生が4年生でやるところを5年生でやる、受験生が5年生でやるところを6年生でやる、このように変えることで、覚える算数は回避でき、イメージして理解できる算数になります。
中学受験勉強の歴史
四谷大塚は中学受験の老舗ですが、受験勉強開始は5年生でした。
4年生開始に変更になったのは2010年頃からです。
それに対してSAPIXでは創業の1980年代から4年生開始となっていました。
その当時のSAPIXは塾生数600人くらいの精鋭集団でした。
精鋭集団ならば4年生開始は楽勝です。
中学受験をする子のうち、8割くらいは4年生開始は厳しいのではないでしょうか?
5年生開始で本当に間に合うの?
塾講師をしていますと、5年生から入塾する子はたくさんいます。
そういった子たちを思い出してみて、この子は5年生から始めたから間に合わなかった!と思った記憶がまるでありません。
たしかに他の塾生よりも遅く入塾すると、慣れるまでは大変です。
それは間に合うかどうかの話ではなく、みんなができる(知っている)ことをできない(知らない)という精神的プレッシャーの話です。
5年生開始の理に適ったカリキュラムで学習していけば、まったく問題点はありません。
塾に行けば上手く行くのか?
塾とは何でしょうか?
簡潔に言うと、問題をたくさん解くためのシステムに乗ることです。
問題をたくさん解くことで大きく伸びる子がいます。
しかし、問題をたくさん解いても伸びない子もいます。
例えば、山にハイキングに行っても、星空を眺めても、電車で旅行に行っても、誰もが同じだけ知識が刺激されるわけではありません。
興味を持っていて、知識に触れたい、深く探求したいそういう子と、ただ眺めている子では、まるで違います。
算数の問題演習でも同じことが言えます。
問題を解くだけで、どんどん思考力高まる子、数字の扱いに慣れるだけの子、手が動かずにほとんどプラスにならない子etc
テストは危険なイベント
そして、塾にはテストという危険なイベントがあります。
テストがあることで、学習の質が大幅に下がる子がいます。
とにかく点数だけでも取れるように、ここは覚えておこう!
この気持ちになることが学習の質を下げています。
問題を解いていろいろ吸収できる子はテストもプラスになりますが、そうでない子は、テストはマイナスになりやすいです。
学力を高める最強のツールは?
問題を解いて学力が高まる優秀な子は、とにかくたくさん問題を解くスタイルになることを目指せば良いと思います。
しかし、そういう子は一部の優秀な子です。
ほとんどの子は、「理解力を高める」これにつきます。
私の考える、学力を高めるスキルは次の3つです。
- 問題文から着眼点を探す力
- 着眼点がわかった後、まず、何をするかが分かる
- 何のためにそれをするかを理解している
私が家庭教師をするとき、上の3項目に拘ります。その3項目が磨かれたと思ったときには、その生徒さんは大きく伸びています。
つまり、その3項目に重点を置いて学習していけば、学力は上がるということになります。
そして、それは家庭教師で無ければ成り立たないのかと考えますと、そんなことはありません。
それを狙って作成した教材ならば、上記3点のスキルを向上させることが可能です。
2025年より当教材では《中学入試算数リスタート》になりますが、中学入試算数リスタートの狙いは、まさに上記3点のスキルの向上です。
それに特化したいと思ったから作った教材です。
中学入試算数リスタートの活用
5年生から受験勉強を始めることにしたとします
進学塾はお勧めできません。
4年生からの受験勉強スタートが前提になっているからです。
進学塾の中に5年生スタートでも対応と謳っているところもありますが、受験勉強廉価版のようなところは、緩いけど学力も付かないということになると思います。
5年生スタート専用のカリキュラム、教材になっていないと話になりません。
決して受験勉強3年間を2年間に圧縮するわけではありません。
無駄を省いていくことがポイントです。
難問を無駄と考えてしまうことが一般的ですが、それでは、学力は高まりません。
難問に挑戦しない限り、学力は高まりません。
簡単な問題はシンプルすぎて、解き方を覚える勉強で対応できてしまうからです。
中学入試算数リスタートは、5年生スタート前提のカリキュラムと教材にしています。
比を学習してからやれば、苦も無くマスターできるという単元は、比の後に学習するというような調整をしているから5年生スタートに対応できているのです。
カリキュラムを徹底的に見直して、それに合わせて教材を作るという地道な取り組みで5年生スタートを可能としています。
中学入試算数リスタートの使い方
- 300テーマを学習すれば四谷大塚偏差値55の学校まで対応できます。
- 450テーマを学習すれば四谷大塚偏差値70の学校まで対応できます。
6年生10月頃までに上記のテーマ数を学習し終えたいです。
5年生の4月から始めると、19か月です。
難関校を目指すならば1週間に5テーマ(約10時間)、そうでなければ1週間に3テーマ(約5時間)が基本です。
※夏休み・冬休み・春休みなどの長期休暇はこの2倍のペースで進めていけば、スムーズに終わります。
抽象的な学習の「比と割合」を扱う時期を考慮していますので、4年生がカリキュラム通りに進めていくのは厳しいです。
カリキュラム通りに進める
原則的にカリキュラム通りに進めてください。
個々による得手不得手はありますので、躓くようならば少々のアレンジしてください。
ご相談も受け付けております。
解法を真似する
何を書けば良いのか、どうしてそういう書き方をするのかをしっかり説明していますので、よく読んで、推奨通りの解き方をすると、効果的です。
定期的な反復練習は必要です
5年生から学習スタートすることを前提にすることで、無駄を大幅に減らしていますが、楽に難関校レベルに達するわけではありません。
それ相応の反復学習は必要です。
大人のフォローがあると安心です
自学自習用の教材ですが、お子様一人の学習だと、飽きてしまって集中力が途切れたり、重要箇所を読み飛ばす恐れがありますので、大人がフォロー方が無難です。
塾に行くかわりと考えると、家庭教師を雇っても費用は抑えられると思います。
保護者様も家庭教師も、特に理系である必要はございません。
教材を読んで、お子様が理解しているか確認するだけで十分です。