受験勉強は、まず「質」から

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量を増やす前に、書き方の質を見直してください

受験勉強では、よく「量が大切」と言われます。

これは、間違っていません。

量をやれば、ある程度はできるようになります。

これは当たり前です。

問題をたくさん解けば、知っている問題は増えます。

計算も速くなります。

解き方のパターンも、いくつかは身につきます。

だから、量が大切という考え方は、決して間違いではありません。

ただし、ここで大きな問題があります。

すでにそれなりの量をやっているのに、できるようになっていない子がいる、ということです。

塾に通っている。
宿題もやっている。
テスト直しもしている。
家庭学習にも時間を使っている。

それなのに、算数が伸びない。

この場合、最初に疑うべきなのは、量ではありません。

質です。

それなりに量をやって伸びないなら、質が低い

まったく勉強していないなら、量の問題です。

でも、中学受験をしている子の多くは、すでにそれなりの量をこなしています。

毎週の授業。
宿題。
確認テスト。
組分けテスト。
復習。
解き直し。

それだけやっているのに伸びないなら、「もう少し量を増やせば何とかなる」と考えるのは、かなり危険です。

量を増やせば、多少は前に進むかもしれません。

でも、それはかなり苦しい進み方です。

質が低いまま量を増やすと、子どもの負担は大きくなります。
時間もかかります。
疲れます。
親子の空気も重くなります。

それでも成績が思うように上がらなければ、子どもはこう感じます。

「こんなにやっているのに、できない」
「自分は算数が苦手なんだ」
「どうせやっても無理なんだ」

これは、非常にもったいないことです。

本当は、才能がないのではありません。

努力が足りないのでもありません。

努力の質が低いまま、量を積んでいるのです。

質を上げるとは、何を上げることなのか

ただ、「質を上げましょう」と言われても、分かりにくいと思います。

質の高い勉強。
質の高い復習。
質の高い解き直し。

こういう言葉はよく使われますが、かなり抽象的です。

では、受験算数でいう「質」とは何でしょうか。

私は、かなりはっきり言えます。

書き方の質です。

算数の力は、頭の中だけで決まるわけではありません。

問題文をどう読むか。
条件をどこに書くか。
表をどう作るか。
何を先に求めるか。
求めたものを、次にどう使うか。
式や図や表が、あとから見ても使える形になっているか。

ここに、差が出ます。

質の高い子のノートや途中式を見ると、無駄が少ないです。

必要なことが、必要な場所に書かれています。

あとから見て、何をしているのかが分かります。

「賢いなあ、この書き方」

そう感じる解き方をしています。

逆に、質の低い子の書き方は、頭の中の混乱がそのまま紙に出ています。

数字だけがバラバラに書いてある。
式の意味が分からない。
何を求めたのか残っていない。
条件が整理されていない。
途中で出した数を、あとから使えない。
問題文に出てきた数字を、何となく計算している。

この状態で量を増やしても、強くなりにくいです。

質の高い勉強とは、整った書き方で解くこと

質の高い勉強とは、難しいことをすることではありません。

むしろ逆です。

できるだけ無駄をなくす。
必要なことを、必要なだけ書く。
条件を見えるようにする。
次に何を求めるかが分かるようにする。
あとから見ても、考えの流れが追えるようにする。

これが、質の高い勉強です。

特に受験算数では、表が大きな力を持ちます。

表を書くと、条件が整理されます。

何が分かっていて、何がまだ分かっていないかが見えます。

次に求めるものが見えてきます。

頭の中で考え続けるのではなく、書いたものを見て考える。

これが大切です。

「考えてから書く」のではありません。

書いたもので考えるのです。

この書き方の質が上がると、同じ1問から得られるものが変わります。

ただ答えを出すだけではありません。

次の問題で使える考え方が残ります。

初見の問題で動き出す力が育ちます。

間違えたときにも、どこで崩れたのかが分かります。

これが、質を上げるということです。

量はあとから増やせる。質はあとから直しにくい

量は、あとから増やせます。

必要になれば、問題数を増やせばいい。

演習時間を増やせばいい。

類題を追加すればいい。

もちろん、簡単なことではありません。

でも、量はあとから足せます。

一方で、質はあとから直すのが大変です。

雑な書き方。
問題文の数字に飛びつく癖。
式だけで押し切る癖。
表を書かずに頭の中で処理しようとする癖。
解説を見て、分かった気になる癖。

こういう癖がついてから直すのは、かなり難しいです。

子どもは、一度身についた解き方をなかなか変えません。

たとえ効率が悪くても、本人にとっては慣れたやり方だからです。

だから、順番が大切です。

量を増やす前に、質を整える。

大量に解かせる前に、書き方を整える。

演習を積む前に、最初の一手を整える。

ここを飛ばしてはいけません。

「あれもやった方がいいかな」より、まず質を見る

成績が伸びないと、いろいろなことが気になります。

この問題集もやった方がいいのではないか。
個別指導を足した方がいいのではないか。
計算練習を増やした方がいいのではないか。
過去問を早めに始めた方がいいのではないか。
もっと難しい問題をやらせた方がいいのではないか。

もちろん、必要なこともあります。

でも、その前に見てほしいことがあります。

今の解き方の質は高いのか。

ここです。

問題を読んだあと、何を見ているのか。
最初に何を書いているのか。
表にすべき問題で、表を書いているのか。
求めた数を、次に使える形で残しているのか。
式の意味が分かるように書いているのか。
間違えたときに、どこで崩れたか分かる書き方になっているのか。

ここを見ないまま量だけ増やしても、根本は変わりません。

勉強を追加する前に、まず質を見直す。

それが先です。

質が高く、量もそれなりなら、伸びないはずがない

私は、質に徹底的にこだわるべきだと考えています。

なぜなら、書き方の質が高い子は、伸びるからです。

無駄が少ない。
条件が整理されている。
次に求めるものが見えている。
式や表が、あとから使える。
解き方の流れが、本人にも見えている。

こういう状態で、それなりの量を積んでいる子が、まったく伸びないということは考えにくいです。

もちろん、すぐに偏差値が跳ね上がるとは限りません。

単元によって時間がかかることもあります。

入試レベルの問題に対応するには、演習も必要です。

それでも、方向は間違いなく良くなります。

逆に、質が低いまま量だけ増やすと、努力が空回りします。

たくさん解いたのに、初見で止まる。

解説を読めば分かるのに、自分では再現できない。

同じような問題で、また間違える。

テストになると、何から始めればよいか分からない。

これは、量の不足ではなく、質の不足です。

量で質が上がる子もいる。でも全員ではない

もちろん、量をこなすことで質が上がる子もいます。

問題をたくさん解く中で、自然に考え方が整理される子です。

何となく方針が浮かび、経験を積むほど感覚が磨かれていく子です。

私は、こういう子を「感覚派」と呼んでいます。

感覚派の子は、量から入っても伸びやすい。

たくさん解く中で、自然に質が上がっていくことがあります。

しかし、すべての子がそうではありません。

問題を見ても、すぐに方針が浮かばない子もいます。

その子は、頭が悪いのではありません。

向いていないのでもありません。

見方、書き方、考え方を順番に整えることで伸びるタイプです。

私は、こういう子を「論理派」と呼んでいます。

論理派の子に、感覚派と同じように「とにかく量をこなせ」と言っても、うまくいかないことがあります。

必要なのは、まず質です。

どこを見るか。
何を書くか。
何を求めるか。
何のためにそれを求めるか。
書いたものをどう使うか。

この土台を作ってから、量に入るべきです。

順番は、質から

受験勉強に量は必要です。

これは間違いありません。

でも、順番を間違えてはいけません。

質が低いまま量を増やすと、悪い癖がつきます。

悪い癖がついてから直すのは大変です。

その間に、子どもは疲れ、自信を失っていきます。

だから、まず質です。

書き方の質を上げる。
表の使い方を整える。
最初の一手を決める。
次に何を求めるかが見えるようにする。
解き方の流れが残るようにする。

そのうえで、必要な量を積む。

量を軽く見ているわけではありません。
むしろ、量を本当に意味のあるものにしたいのです。

せっかく頑張るなら、その努力が学力につながってほしい。

せっかく問題を解くなら、次の問題で使える力が残ってほしい。

せっかく時間を使うなら、「やったのに伸びない」ではなく、「やった分だけ前に進んでいる」と感じてほしい。

そのために、質にこだわるのです。

受験算数は、ひらめきのある子だけのものではありません。

書き方を整えれば、見えるものが変わります。

見えるものが変われば、考え方が変わります。

考え方が変われば、解ける問題が増えていきます。

量は、あとから増やせます。

でも、質は最初に整えるべきです。

順番は、質から。

そして、その質を本物にするために、必要な量を積む。

これが、努力を空回りさせず、子どもの力を本当に伸ばす受験勉強だと考えています。

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