― 書いたものを見て、次に何を求められるかを考える ―
中学受験算数では、表を書くことがとても大切です。
ただし、ここでいう表は、単に数字をきれいに並べるためのものではありません。
表は、考えるための道具です。
- 問題文の条件を整理する
- これから求めるものを先に並べる
- 分かっているものと分かっていないものをはっきりさせる
- 空欄を埋めながら、次に何を求められるかを考える
そういう役割があります。
算数が苦しくなる子は、問題文を読んで、すぐに頭の中だけで考えようとします。
しかし、頭の中だけで条件を覚え、関係を整理し、次に求めるものを判断するのは大変です。
だから、表を書きます。
表に書くことで、頭の中に抱えていたものを紙の上に出します。
すると、今わかっているもの、まだわかっていないもの、次に求められそうなものが見えやすくなります。
つまり、表は「考えた結果を書くもの」ではありません。
考えるために書くものです。
表には、いくつもの使い方がある
表といっても、使い方は1つではありません。
受験算数では、単元によって表の役割が変わります。
たとえば、面積、体積、表面積、場合の数では、これから求めるものを先に挙げておく表が役立ちます。
- 何を求める必要があるのか。
- どの部分を調べるのか。
- どこがまだ空欄なのか。
それを先に表にしておくことで、問題全体の見通しがよくなります。
速さ、売買損益算、仕事算では、かけ算型の表がよく使えます。
速さなら、「速さ × 時間 = 道のり」
損益算なら、「単価 × 個数 = 合計金額」
仕事算なら、「能力(1あたりの仕事)× 時間 = 仕事量」
というように、かけ算の関係を表にして整理します。
消去算、過不足算、倍数変化算、年令算では、たし算型の表が役立ちます。
複数の数量を並べ、和や差を見ます。
上手く表を書いて見えるようにします。
つるかめ算や還元算や食塩水のやりとりでは、変化を表す表が有効です。
最初はどうだったのか。
操作後を縦に書くか、横に書くか。
変化を表に残すことで、途中の状態を見失いにくくなります。
表は図の特性もあります。
規則性はその図の特性を利用することもあります。
速さや立体図形や容器で、難問を易しくする表として使うこともあります。
複雑そうに見える問題でも、表にして並べると、関係が整理できたりします。
このように、表にはいくつもの型があります。
表は、万能の魔法ではありません。
しかし、使える場面はかなり多いです。
「表を書こうかな」と思ったら、深く考えずに書く
算数が苦手な子ほど、表を書く前に考えすぎます。
「これは表を書く問題かな」
「表を書いて意味があるかな」
「どんな表を書けばいいかな」
そう考えているうちに、手が止まります。
もちろん、表を書けば何でも解けるわけではありません。
しかし、受験算数では、問題を読んで、「これは表を書いた方がよさそうだな」と思ったら、深く考えすぎずに書き始めた方が良いです。
特に、解き方を知っていてすぐに解ける場合を除けば、基本は表を書くつもりでいた方が良いと思います。
なぜなら、表を書けば、少なくとも問題文の条件が紙の上に出るからです。
頭の中だけで考えるより、はるかに安全です。
表は、問題文の条件がすべて入るように書く
表を書くときに大切なのは、問題文の条件がすべて入るようにすることです。
ただ見た目だけ整えた表では、あまり意味がありません。
- 問題文に出てきた条件が、表のどこかに入る
- 求めたいものが、表のどこかに見える
- 分かっているものと分かっていないものが、表の中で区別できる
こういう表が必要です。
表を書いたら、次にすることは決まっています。
- 空欄を埋める
- 複数行の和や差を考える
- 比べられるところを比べる
こういう操作をしていくと、正しく解く流れに乗りやすくなります。
書いた表を見たら、次に何をやるのか決まる
これが表の効能です。
表には少し加工が必要になる
もちろん、表はただ書けばよいというものではありません。
問題によっては、少し加工が必要になります。
- 項目の並べ方を変える
- 単位をそろえる
- 必要な列を足す
- 一部を丸数字にする
- 差をとる行を作る
- 比を書き込む
- 変化前と変化後を分ける
こういう工夫が必要になることがあります。
ただし、それは経験で身につきます。
最初から完璧な表を書ける必要はありません。
何度も表を書き、解説を見て、どこをどう書けば考えやすくなるのかを学んでいけばよいのです。
表はいきなり書けるものではありません。
だからこそ、教材の中で、表の書き方、数字の入れ方、見る順番を示す必要があります。
「表を書きなさい」と言うだけでは足りません。
どんな表を書くのか。
なぜその表を書くのか。
どこに何を書くのか。
書いたあと、どこを見るのか。
そこまで示すことが大切です。
表を書くと、正しく解く流れに乗れる
表を書く一番の効果は、正しく解く流れに乗れることです。
算数が苦手な子は、問題文の数字を見て、すぐに計算してしまうことがあります。
- でも、その計算が本当に必要なのか
- その式で何が求められるのか
- 求めたものを次にどう使うのか
そこが曖昧なまま進むと、途中で崩れます。
表を書けば、いきなり式に飛びつきにくくなります。
「いま分かっているものから、何を求められるか」
「それが分かったら、次に何を求められるか」
と進める方が動きやすいことが多いです。
表は、そのための道具です。
解き方を知っていてすぐ解ける場合を除けば、基本は表を書く
もちろん、すべての問題で表を書く必要はありません。
解き方を知っていて、すぐに解ける問題もあります。
暗算で処理した方が速い問題もあります。
図だけで十分な問題もあります。
しかし、解き方を知っていてすぐ解ける場合を除けば、基本は表を書くつもりでいた方が良いと思います。
特に、典型題ではない、文章題(速さ、割合、和と差など)、緻密にいろいろ求める立体図形の体積や表面積などでは、表が大きな助けになります。
問題を読んで、「これは表を書こうかな」と思ったら、まず書く。
書いてから考える。
書いたものを見て、次に何を求められるかを考える。
この習慣が身につくと、算数はかなり変わります。
受験算数OSでは、表の書き方まで教材にする
受験算数OSでは、表を書くことを重視しています。
ただし、単に「表を書きましょう」と言うだけではありません。
どのような表を書くのか。
どこに何を書くのか。
数字をどの順番で入れるのか。
空欄をどう埋めるのか。
行や列をどう比べるのか。
書いたものから何を求められるのか。
そこまで教材の中で示していきます。
表は、受験算数OSの中心的な道具の1つです。
考えてから書くのではなく、書いたもので考える。
そのために、表を使います。
表を書けるようになると、問題文の条件が見えるようになります。
次に求められるものが見えるようになります。
途中で求めたものを、次に使えるようになります。
そして、正しく解く流れに乗りやすくなります。
受験算数で伸び悩んでいる子には、まず表を書く力を身につけてほしいと思っています。
それは、作業を増やすことではありません。
考えるための負担を減らし、正しい流れに乗るための方法なのです。