受験算数OSは、新5年生の2月開始のカリキュラムです。
中学受験の算数というと、4年生から塾に通い、4年生のうちから多くの単元を学習していくのが一般的です。もちろん、その流れにも意味はあります。
しかし、受験算数OSでは、新5年生の2月から本格的に始める形をとっています。
その理由は、5年生の7月に「比」を学習するからです。
受験算数において、比は非常に重要な単元です。
比を学習すると、算数の解き方は大きく変わります。
文章題でも、図形でも、速さでも、割合でも、比を使うことで一気に整理しやすくなります。
逆に言えば、比を学習する前にやっておきたいことがあります。
比を使う前に、どの単元をどの順番で扱うべきか。
何を身につけてから比に入るべきか。
どのような感覚を育てておけば、比の学習がスムーズになるか。
そう考えて、比の前にやっておきたい内容を並べていくと、5年生で換算して、およそ5か月分くらいになります。
だから、受験算数OSは新5年生の2月開始にしています。
新5年生の2月から始めて、比の前に学習したいことを5か月扱ってから、7月に比に入る。
これが、受験算数OSの大きな設計です。
では、その5か月で最も重要な単元は何でしょうか。
受験算数OSでは、重要順に並べると、
①場合の数
②規則性
③角度
だと考えています。
もちろん、この5か月で学習するのは、それだけではありません。
- 三角形の面積
- 四角形の面積
- 円やおうぎ形の面積
- 多角形
- 約数と倍数
- 計算
- 和差算
- つるかめ算
- 平均算
- 消去算
こういった単元も扱います。
どれも大切です。
中学受験算数の土台として、避けて通ることはできません。
しかし、比の前の5か月で、特に重視したい単元をあげるなら、やはり場合の数、規則性、角度です。
なぜなら、この3つの単元では、「解く作戦を立てる」感覚を身につけやすいからです。
算数は、ただ計算する教科ではありません。
問題を読んだときに、
「何から始めるか」
「何を書けばよいか」
「どの方針で進めるか」
「この解き方で大変にならないか」
「別の見方をした方が楽ではないか」
こういうことを考える必要があります。
つまり、算数では、解く前に作戦を立てることが大切です。
もちろん、すべての問題でじっくり作戦会議をするわけではありません。
基本の型が身についていれば、自然に手が動く問題もあります。
しかし、受験算数で伸びていくためには、ただ習った解き方を当てはめるだけでは足りません。
- 解き方の方針がいくつかある
- その中から、この問題のベストを探す
- 場合によっては、途中で方針を少し変える
- 負担が大きい解き方を避ける
- より整理しやすい方法を選ぶ
この感覚が必要になります。
その感覚を養うのに向いているのが、場合の数、規則性、角度です。
場合の数では、書き出すのか、計算で求めるのか、場合分け(整理)をするのかを考えます。
すべてを書き出せばよいわけではありません。
最初から式だけで処理すればよいわけでもありません。
- どう分ける(整理する)か
- どこから計算するか
- スタンダードに進むか、逆から進めてみるか
この判断が必要になります。
場合の数では、解き方の選択がそのまま負担の差になります。
うまく分ければ、すっきり解けます。
分け方が悪ければ、途中でごちゃごちゃになります。
書き出し方が悪ければ、もれや重なりが出ます。
だから、場合の数は、作戦を立てる練習として非常に優れています。
規則性も同じです。
規則性では、まず何を見るかが大切です。
- 数の変化だけを考えれば良いか
- 一般化するために立式するか
- 図形の特性を活かすか
- 表を書いた方が整理しやすいか
問題によって、見るべき場所が変わります。
ただ数を並べているだけでは、規則が見えないこともあります。
逆に、表にした瞬間に見えることもあります。
図を少し加工すると、急に分かりやすくなることもあります。
規則性では、「どこに注目するか」がとても重要です。
これも、解く作戦を立てる力につながります。
角度もまた、作戦を立てる単元です。
角度の問題では、すぐに計算に入れるとは限りません。
- 補助線を引くか
- 錯角や同位角を使うのか
- どの三角形に注目するか
- 三角形の外角の定理を使うのか
- 二等辺三角形を探すのか
- 図形の向きを変えるか
いくつかの方針が考えられます。
そして、その中から、問題に合った方針を選ぶ必要があります。
角度の問題は、解き方が見えると一気に進みます。
しかし、方針が見えないと、どこから手をつけてよいか分からなくなります。
だからこそ、角度も「解く作戦を立てる」練習に向いています。
このように、場合の数、規則性、角度は、単に知識を覚えるだけの単元ではありません。
問
算数の基本姿勢を育てやすい単元です。
受験算数OSでは、比の前に、この感覚をしっかり体験してほしいと考えています。
比に入る前に、「算数は、解く作戦を立てるものだ」という感覚を身につける。
これがとても重要です。
そして、その後に比を学習します。
比を学習すると、多くの問題が型に落としやすくなります。
たとえば、割合の問題でも、比を使えば整理しやすくなります。
速さの問題でも、比を使うことで関係が見えやすくなります。
図形でも、相似や面積比につながっていきます。
文章題でも、比を使うことで、複雑な条件をすっきり表せるようになります。
比は、受験算数の解法を一気に整理するための強力な道具です。
だからこそ、比を学ぶ前に、ただ解き方を覚えるだけの姿勢ではなく、
「この問題は、どう解くのがよいか」
「何を書けば、関係が見えるか」
「どの方針を選べば、負担が少ないか」
という感覚を持っておきたいのです。
比の前に、算数は作戦を立てるものだと体験する。
比に入ったら、解法を型に落として、一気に整理する。
この二軸で、受験算数の土台をしっかり作る。
これが、受験算数OSのカリキュラム設計です。
受験算数では、知識を増やすことも大切です。
問題を解く量も大切です。
計算力ももちろん必要です。
しかし、それだけでは不十分です。
- 問題を見たときに、何から始めるか
- どの方針で進めるか
- どう書けば考えやすくなるか
- どこで型を使うか
- どこで工夫するか
このような「解くための頭の使い方」を身につけることが大切です。
新5年生の2月から7月までの5か月は、そのための大切な期間です。
場合の数で、分け方と数え方を学ぶ。
規則性で、注目する場所と整理の仕方を学ぶ。
角度で、方針を選ぶ感覚を学ぶ。
そのうえで、比に入って、受験算数の解法を大きく整理していく。
この流れを作ることで、ただ単元をこなすだけではなく、受験算数を解くための土台が育っていきます。
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場合の数は演習量が大切
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