4年生の1年間、進学塾で算数を学んできた。
「宿題もやってきた」
「テストもちゃんと受けてきた」
「授業も受けてきた」
それでも、思ったように成績が伸びなかった。
算数が得意になった感じがしない。
むしろ、少し苦手意識が出てきた。
そういうご家庭もあると思います。
ただ、ここで大切なのは、成績だけで判断しないことです。
もちろん、成績は大切です。
偏差値、点数、クラス、週テストの結果。
それらは、子どもの状態を見るうえで重要な材料です。
しかし、成績だけを見ても、その子の算数の中身までは分かりません。
同じ正解でも、中身はまったく違うことがあります。
- 解き方を理解して正解している子
- 覚えた解き方を当てはめて、何とか正解している子
- 頭は良いけれど、ミスが多くて点数に出にくい子
- 勘で解いてしまうけれど、それなりに当たる子
- 勘では解かず、筋道を立てようとするから時間がかかる子
- 説明を聞けば分かるけれど、自力で動き出すのが苦手な子
- 式は書けるけれど、何をしているのか自分では説明できない子
いろいろなタイプがあります。
ですから、点数だけを見て、
「この子はできる」
「この子はできない」
と決めるのは、かなり危険です。
プロ講師が答案や解き方を見れば、ある程度分かります。
「この子は点数以上に見込みがある」
「この子は点数は取れているけれど、少し危うい」
「この子はミスが多いだけで、考え方は悪くない」
「この子は正解しているけれど、解き方を覚えているだけかもしれない」
そういう判断はできます。
しかし、ご家庭でそれを判断するのは簡単ではありません。
だからこそ、4年生の算数が順調ではなかったときに、すぐに、
「うちの子は算数が苦手だ」
「能力が足りないのかもしれない」
「中学受験に向いていないのかもしれない」
と考えすぎない方が良いと思います。
学力が低いのではなく、学習システムが合っていなかっただけかもしれません。
そもそも、本当に大きな差なのでしょうか
成績が思うように出ないと、差がとても大きく見えます。
- 偏差値が低い
- クラスが下がった
- 上のクラスの子と大きな差があるように感じる
そうなると、親も子も不安になります。
しかし、そもそも本当に、それほど大きな差なのでしょうか。
私は、人間の能力に、そこまで極端な差があるとは思っていません。
もちろん、差はあります。
よくできる子もいれば、苦戦している子もいます。
理解が早い子もいれば、時間がかかる子もいます。
それは事実です。
しかし、その差を必要以上に大きく見てしまうと、立て直す前から苦しくなります。
たとえば、小学5年生の男子の50m走で考えてみます。
8秒なら速い。
9秒なら普通。
10秒なら遅い。
このくらいの感覚だと思います。
8秒の子と10秒の子では、確かに差があります。
速い子と遅い子です。
しかし、比で見ると、10秒は8秒の1.25倍です。
差はあります。
でも、人間としてまったく別物というほどではありません。
ところが、偏差値になると、この差がとても大きく見えます。
偏差値35と偏差値70。
数字だけを見ると、まるで2倍の差があるように感じてしまいます。
ここが、偏差値の怖いところです。
差を大きく見せてしまうのです。
本当は、さざ波程度の小さな差だったのかもしれない。
けれど、偏差値という数字で見ると、ものすごく大きな差に感じてしまう。
そして、
「自分はできない」
「算数は苦手だ」
「上の子たちとは違う」
「どうせやっても無理だ」
と思ってしまう。
その結果、苦手意識を持ち、やる気をなくし、成績も低迷する。
こういうことは十分にあります。
差が小さいなら、自然に逆転するのか
ただし、ここで勘違いしてはいけないことがあります。
差が思ったほど絶望的ではないとしても、同じことを続けているだけで逆転現象が起きるわけではありません。
同じ塾に通い、同じ授業を受け、同じ宿題をこなし、同じテストを受ける。
そして、同じように分からないまま進む。
これを続けていれば、状況はあまり変わりません。
むしろ、苦手意識だけが強くなる可能性もあります。
大切なのは、差を大きく見すぎないことです。
しかし同時に、差を軽く見すぎてもいけません。
「そのうち何とかなる」
「成長すればできるようになる」
「今はたまたま悪いだけ」
そう思って放置してしまうと、立て直しの時期を逃すこともあります。
では、何を変えれば良いのでしょうか。
大きく分けると、2つあります。
意識を整えること。
そして、学習を整えること。
意識を整える
まず必要なのは、意識を整えることです。
子ども自身が、
「自分は算数ができない」
「どうせ無理」
「上の子とは違う」
と思い込んでしまうと、学習の入り口で止まってしまいます。
本当は、そこまで大きな差ではないかもしれない。
今のやり方が合っていないだけかもしれない。
数字が差を大きく見せているだけかもしれない。
そう考え直すことは、とても大切です。
もちろん、根拠なく楽観するという意味ではありません。
現実から目をそらすのではなく、必要以上に自分を低く見積もらないということです。
4年生で算数が順調ではなかったとしても、それだけで能力がないと決まるわけではありません。
- まだ、学び方を変えられます
- まだ、立て直せます
- まだ、ここから伸びる余地があります
まずは、そこを確認したいのです。
学習を整える
ただし、意識だけでは変わりません。
「大丈夫、できる」と思うだけでは、算数はできるようになりません。
必要なのは、学習を整えることです。
4年生で算数が苦しくなった子の多くは、難しい問題ができない以前に、基本動作が不安定です。
- 問題文を読んで、どこを見るのか
- 図形を見て、どこを着眼点にするのか
- そこから何を書くのか
- 書いたものから、何を求められるのか
- 求めたものを使って、次に何を求められるのか
- その式で本当に求められると分かっているのか
この流れが整っていないまま、解き方だけを覚えようとすると、苦しくなります。
- テストで似た問題が出ればできる
- でも、少し変わると止まる
- 解説を読めば分かる
- でも、自分では動き出せない
この状態になりやすいのです。
だから、立て直すなら、難問を増やすよりも先に、学習の流れを整える必要があります。
- シンプルな問題から、正しく解く
- 何を書くかを決める
- 書いたものを見て考える
- いま求められるものを求める
- それを使って、次に求められるものを探す
この流れを作ることです。
4年生の算数が順調ではなかったとしても
4年生の算数が順調ではなかった。
それは、たしかに心配なことです。
しかし、それだけで悲観する必要はありません。
成績だけでは分かりません。
正解の中身も、不正解の中身も、子どもによって違います。
学力が低いのではなく、学習システムが合っていなかっただけかもしれません。
偏差値の数字が、差を必要以上に大きく見せているだけかもしれません。
ただし、同じことを続けているだけでは、変わりにくいのも事実です。
だからこそ、必要なのは、
- 意識を整えること
- 学習を整えること
「自分はできない」と思い込まない。
でも、「そのうち何とかなる」と放置もしない。
ここから、学び方を変える。
4年生で順調ではなかった子に必要なのは、もっと速く、もっと多く、もっと難しい問題をやることではありません。
シンプルなものから、正しく解くことです。
そこから、算数は立て直せます。
-
塾なし中学受験は可能か
記事がありません