「はじきの表」で、速さの土台をつくる

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速さを得意にしたい。そう思ったとき、まず最初に取りかかるべきなのが、「はじきの表」だと考えています。

ただ、「はじき」と聞いて多くの方が思い浮かべるものとは、少し違います。まず、その違いからお話しさせてください。

同じ「はじき」でも、意味が違います

一般に「はじき」というと、円を三つに分けて、距離・速さ・時間を配置し、求めたい部分を指で隠して機械的に答えを出す、あのやり方を指すことが多いと思います。

受験算数OSでいう「はじきの表」は、それとは別のものです。ただの表です。

いま、速さ・時間・距離のうち、何が分かっていて、何が分かっていないのか。それを把握するための表です。

なぜ、こんな表がいるのか。算数の大原則は、「分からないものを求める」ことにあります。ところが、計算式だけでどんどん解き進めていくと、途中から自分が何を求めているのか、だんだん曖昧になってきます。あやふやなまま勢いで最後まで計算して、「これで合っているのかな」と思いながら答えを書く。そういうお子さんは、実は少なくありません。

これを防ぐのに、速さでは、はじきの表がいちばん効きます。

はじきの表が、してくれること

はじきの表には、こういう働きがあります。

  • 何を求められているのかが、はっきりする
  • そのために、何を求める必要があるかが見える
  • 求められるように、数字を決められる
  • 表に書き入れられるように、問題の設定を整理できる

どれも役に立ちますが、いちばん大きいのは、最後の一つです。「この表に、うまく書けないだろうか」と考えるだけで、自然と、解ける方向へ考えが向かっていくのです。

一つ、例題で

言葉だけでは伝わりにくいので、一問だけ挙げます。

家から駅までの道のりを毎分80mの速さで行く予定でしたが、ちょうど真ん中の地点で忘れ物に気づき、速さを1.5倍にして忘れ物を家まで取りに帰り、そのまま同じ速さですぐ駅に向かったところ、予定より10分多くかかってしまいました。家から駅まで何m離れていますか。

難しくはありませんが、パッと見て瞬間的に解法が浮かんだら、速さの実力があると思います。

これを、はじきの表で考えます。速さの80と120を書き入れるために、3段の表にする。速さはすぐ書ける。時間の差は10分ですが、これは時間の比を考えてから、最後に使いたい。まずは距離を決められるので、上から2・1・3(予定・気づく前・気づいた後)とし、これを160・80・240にする。

これをはじきの表を使うと、下のようになります。

予定802→160
実際(気づく前)801→80
実際(気づいた後)1203→240

 あとは、時間の比を求め、10分の差を使って実際の時間を出せば、答えにたどり着きます。

大事なのは、「距離を比にする→時間の比を求める→時間の差から実際の時間を出す」という流れが、表を書くことで自然に生まれることです。どんどん解き進めても、何を求めているか見失いにくい。

逆に言えば、この表に表そうとしなければ、解法が浮かばないか、ぎこちない解き方になりがちです。はじきの表は、なくてはならないものというより、速さをうまく考えていくための、便利な道具なのです。

だから、速さは「はじき」が基礎

速さの問題の多くは、この「はじき」を把握すれば解けます。そして、より難しい「図を描いて解く問題」でも、これが土台になります。

速さをこれから鍛えたいなら、はじきの表を書く練習から始めるのがよいと思います。ここを飛ばすと、応用に向けての積み重ねが、なかなかききません。はじきができるようになってから、いよいよ図を描く問題へ ―― これが王道の流れだと考えています。

この教材について

今回は、この「はじきの表を書いて解く問題」を、20問集めました。

はじきの問題といっても、どれも同じではありません。「なんとかうまく考えれば、はじきの表にまとめられる」という問題です。先の例題でいえば、表を3段にしたり、距離を2:1:3→160・80・240と考えたりするところが、その「うまく考えている」箇所にあたります。

この教材で練習できるのは、まさにこの「なんとかうまく考える」力です。一般的な教材で、はじきの問題が20問も続くものは、まず見当たらないと思います。

そして、この「うまく考える」コツがつかめると、速さに限らず、算数全般を得意にしていくきっかけになります。

速さを得意にしたいと思っている方は、まずこの教材から取り組んでみてください。

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