- 2022年4月28日
中学受験の算数を教えている人は、基本的に算数が好きです。
そうでない人もそれなりにいましたが、算数が好きな人は、大抵、数学よりも算数の方が面白いと言います。
数学も、大学入試の難関大レベルならば面白いと思いますが、そうでなければ、公式を身につけて当てはめるだけ、決まりきったパターンで証明していくだけで、高得点が取れます。
いわゆる覚える科目で、問題を見て瞬時に解き始めるか、せいぜい、どのパターンかな?と探すくらいだと思います。
昔は和田秀樹氏は数学は暗記科目と言い、チャートの解き方をすべて覚えれば、どの大学にも入れると主張していましたが、大きく間違えてはいないと思います。
それに対して、算数は考える学問です。
中堅校までならば、覚える算数で合格点を取れますが、難関校になるほど、解き方を覚えるだけでは通用しません。
難関大学と同じベクトル上にあると思います。
算数を教えている人の算数が好きな理由は考える学問だからと言っても否定する人はいないでしょう。
すでに本題に入っていますが、今回は、切実なゾッとする話になります。
心の準備をしてからお読み願います。
算数は素質が必要ですか?と聞かれましたが、首を縦に振るしかありませんが、学習姿勢を正すことによって、素質をカバーできます。
逆に言いますと、素質のある子は、学習姿勢が優れています。
学習姿勢を同じにする必要があります。
学習姿勢とは、学習時間や集中力や謙虚さではありません。
このあと力説しますが、意識の問題です。
例えば、「8人から3人を選ぶ方法は□通り」という問題があります。
多くの塾講師は、これをコンビネーションの公式で教えます。
8C3=(8×7×6)/(3×2×1)=56通りです。
算数教材塾・探求では、この公式を覚えることは暗記の算数になるということで、少なくとも5年生まではコンビネーションは使いません。
8×7×6÷6=56通りとします。
同じじゃん!と思われる方もいると思いますが、大きく異なります。
- 8人から3人を選ぶ場合は、分母は3から1までかけ、分子は8から6まで3つかけると覚える
- 8人から3人をならべる方法は8×7×6=336通りで、順番関係なく選ぶ場合は、6通りのものを1通りと数えるのでダブりを消すために6で割る
とても大きな違いだと思いますが、いかがでしょうか?
しかし、この6で割るというのも「3人を選ぶ場合は6で割ったら答えが出る」と覚えてはいけません。
どうして6で割れば答えが出るかを理解して納得することが大切です。
6で割ったら答えが出るという知識は、そこから発展していきません。
対話式算数は、覚える算数にならないように、どうして6で割るかを丁寧に説明しています。
しかし、お子様によっては、正解が出ることが大切と考え、「そうか!6で割れば答えが出るんだ!」という考え方をしがちです。
対話式算数のような丁寧に説明された書物でも、しっかり読む・流して読むは、お子様次第です。
算数を指導する立場では、目先の点数ではなく、どうしてその計算で求められるかを納得してもらうことを重視しますが、お子様の算数を見ている保護者様はどうでしょうか?
取りあえず式を覚えて正解になって良い偏差値が取れて自信がつくのなら、そっちの方が良いと思っていませんでしょうか?
余談ですが、実は、塾講師の多くも、式を覚えて良い点数を取ってもらいたいと考えています。
「分からなくてもこの式を覚えれば正解になるよ!」と、質問に来ている生徒に伝えている算数講師をたくさん見てきました。
だからこそ、覚えるよりも理解を重視している対話式算数は価値があると、手前味噌ながら思っています。
- 捻られると弱い
- 応用ができない
- 月日が経つと忘れる
こういった悩みは多いですが、その原因の大半は、理解して納得する算数ではなくて、覚える算数になっているからです。
極論すると、覚える算数とは、中学入試の算数ではなく、計算問題です。
この文章を見たら、こういう計算式になるから、すぐに計算しよう!と反射神経で解くだけになるので、計算問題として処理しているだけになります。
しかしよくよく考えてみましたら、覚える算数になるのは仕方のない面があります。
小学校で習う算数は、式を覚える算数になっていることが多く、進学塾に通塾しても、式を覚えて良い点数を取ろうと煽られ続けますので、時間的効率が悪そうに見える理解して納得することを重視する学習姿勢をとる子がいたら、むしろそっちが不思議です。
鈍臭く映るかもしれません。
しかし、その不思議なことをしている子がいます。
それが素質のある子です。
そういう不思議なことをすることが、素質のある子と同じ学習というわけです。
勉強時間ではなく意識の問題とは、こういうことです。
点数を取る目標も大切ですが、納得することが大前提になっているかどうかです。
鉄は熱いうちに打てと言われますように、4・5年生の間が勝負です。
覚える算数で固まってしまったら、それをもう一度ほぐすのは至難の業です。
ポイントは、式を書くことや言えることではなく、「いまの計算で何が求まったか」「どうしてその計算をするのか」をきちんと言えることです。
特に、数の性質、規則性、場合の数の3分野は、それを確認する価値があります。
正しく理解して納得しないと、答えにくい問題が多いからです。
理解して納得する学習ができていないときは、どうすれば良いと思われますか?
「理由をしっかり納得できるように親が教える」か「覚える算数を否定していて上手く納得させられる家庭教師に教わる」か「どうしてにこだわっている解説書をじっくり読む」かくらいしか思い当たりません。
「うちの子は数の性質が弱いんです」というご相談は良く聞きますが、「覚える算数では通用しない分野だからです」と答えたいです(そうでない場合もありますので、そこまで断定はしませんが)
お子様の状況を確認し、お早めに手を打つことをお勧めいたします。