書き出し算数 ― ご家庭が小さな算数教室になる24回

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3年生の保護者の方へ ― 教えずに、書き出させる算数のすすめ

中学受験を目指す小学3年生にとって、いちばん価値のある算数の学習とは何でしょうか。

解法テクニックを先取りして身につけていくことでも、難度の高い背伸びをした問題に取り組むことでも、楽しいパズルで時間を過ごすことでもない、と私は考えています。5年生・6年生になって難関校の入試問題に向き合ったとき、そこで崩れない土台をつくること——それが3年生の時期にできる、最も大切な学習です。

その土台の中心にあるのが、「自分の手で書き出す」という経験です。道順を一本ずつたどる。数を順に並べる。図形を一つずつ数える。地道に手を動かすなかで、子どもは抜け・重なり・順序・分類に自分で気づけるようになります。これは、解説を読んで覚えられるものではありません。

『書き出し算数』は、まさにその経験を積むための教材です。実際に、開成・筑駒・桜蔭といった難関校に進んだ子たちも、低学年のころに楽しんで取り組んでいた教材でもあります。

この教材の考え方

『書き出し算数』は、解法を暗記する教材でも、学年を先取りする教材でもありません。書き出し、分類し、見比べるという作業そのものを通して、受験算数に入る前の基本動作を育てる教材です。

3年生の時期に、楽な計算テクニックを先に教え込むことは、あえてしていません。公式で一瞬で解ける題材も、この教材ではあえて地道に書き出して取り組みます。書いては消し、また書く——その試行錯誤の量が、そのままお子様の算数の足腰になっていくと考えているからです。

苦しいだけの教材ではありません。少し歯ごたえはあるけれど、自分で探して、書いて、見つけられたときに「できた」と思える。そういう頭を使う楽しさを大切にしています。

なお、これは受験算数OS本編の代わりではなく、本編に入る前の小3段階の入口教材です。

家庭での使い方

ご家庭で、保護者の方が難しい解き方を教える必要はありません。お願いしたいのは、次の3つだけです。

  • 問題の意味が分からず止まっているときだけ、言葉をかみ砕いてあげる(解き方そのものは教えません)
  • 時間を見て区切る
  • 1問ごとに丸付けをする

間違えていたら、すぐに正解を伝えるのではなく、「ここ、もう一度見てみようか」と、見直す機会をつくってあげてください。抜けや重なりを自分で見つけ直すことに、いちばんの学びがあります。

学習時間の目安は、お子様によって幅があります。非常に優秀なお子様でも1回30分前後、普通のお子様なら50分以上かかることも珍しくありません。ただし、60分を超えて無理に続ける必要はありません。途中で区切っても構いません。大切なのは、その時間しっかり頭と手を使えたかどうかです。

こうして、ご家庭のリビングや勉強部屋が、小さな算数教室になります。保護者は教え込む講師ではなく、お子様が書き出す時間をそっと守る人です。

全24回のカリキュラム

前半(第1回〜第12回)

第1回:道順① 育てたい力:テクニックに頼らず、自分の手で道を書き出す姿勢。すべての出発点となる回です。 家庭で見るポイント:意味が分からないときだけフォローし、あとは本人に任せてください。

第2回:数列① 育てたい力:オーソドックスな数列を、地道に書き出して規則をつかむ力。 家庭で見るポイント:最後の問題は粘りが要ります。解けなくても、集中して向き合えていれば十分です。

第3回:図形を数える① 育てたい力:正方形や長方形を大きさごとに場合分けして数える、「場合の数」の感覚。 家庭で見るポイント:間違いだけを伝えて解き直す——これを何度か繰り返して仕上げます。

第4回:図形と規則性① 育てたい力:数式に頼らず、図を書いて規則を見つける力。 家庭で見るポイント:後半、図を描かずに数の処理だけで進められるかが一つの目安です。

第5回:数をあてはめる① 育てたい力:数をパズルのように当てはめ、試行錯誤を重ねてやり切る根気。 家庭で見るポイント:書いては消す回数が多くなります。熱中できていれば、それが力になっています。

第6回:図形をつくる 育てたい力:実際に図形を描くことで養う、図形のセンス。 家庭で見るポイント:ゲーム感覚で夢中になれる回です。上手な解説より、自力での試行を見守ってください。

第7回:数をならべて整数をつくる 育てたい力:数字カードを並べて整数をつくる、場合の数の基礎。 家庭で見るポイント:間違えたら消して並べ直す——その中で「規則正しく並べる」習慣が身につきます。

第8回:場合の数① 育てたい力:じゃんけんや支払い方など、定番の場合の数を、手を動かして解く力。 家庭で見るポイント:問題の意味を取り違えているときだけ、言葉をかみ砕いてあげてください。

第9回:方陣算 育てたい力:公式を使わず、規則を見つけて図を数える力。 家庭で見るポイント:計算ではなく、描きながら数える姿勢を見守ってください。

第10回:魔方陣 育てたい力:縦・横・斜めの和という条件を使い、地道に当てはめてやり切る力。 家庭で見るポイント:負担が重くなりすぎないよう調整済みです。粘りどころに注目してください。

第11回:虫食い算 育てたい力:繰り上がり・繰り下がりを粘り強く考え抜く力。 家庭で見るポイント:手早く解くコツとは相性の悪い、じっくり取り組む回です。焦らせないであげてください。

第12回:N進法 育てたい力:高学年でもつまずきやすいN進法の仕組みを、書き出して理解する力。 家庭で見るポイント:仕組みが分かった瞬間に、子どもは楽しそうに手が動き出します。前半の締めくくりです。

後半(第13回〜第24回)

第13回:道順② 育てたい力:前半で鍛えた力を使って挑む、手応えのある道順。 家庭で見るポイント:後半はかなり難しくなります。慎重に取り組めているかを見てあげてください。

第14回:図形を数える② 育てたい力:線の欠けた複雑な図形を、テクニックでなく丁寧に数え切る力。 家庭で見るポイント:後半は難度が上がります。解けたときは大いに褒めてあげてください。

第15回:図形を数える③ 育てたい力:傾いた正方形や長方形を見落とさない「機転」。 家庭で見るポイント:基準を決めて考える経験が、図形のセンスを育てます。

第16回:数表 育てたい力:数表や渦巻き型の規則性を、3年生仕様で書き出してつかむ力。 家庭で見るポイント:規則が見つかったら、スラスラ埋めていく心地よさを味わわせてあげてください。

第17回:図形と規則性② 育てたい力:作業量の多い問題を、集中して数え切る粘り強さ。 家庭で見るポイント:図まで自力で丁寧に描けるか、淡々とした作業に向き合えるかを見てあげてください。

第18回:推理 育てたい力:条件を表や数直線に書き出して整理する力。 家庭で見るポイント:頭の中だけで処理させず、書いて可視化する習慣をつけさせてあげてください。

第19回:ならべる問題① 育てたい力:カードを並べる、場合の数の核心。計算式の前に、イメージを手に焼き付けます。 家庭で見るポイント:集中して一気に書き出すことが求められる回です。

第20回:ならべる問題② 育てたい力:計算で解けるレベルの場合の数を、あえて地道に数え上げる経験。 家庭で見るポイント:ここで手を動かした経験が、高学年での伸びに効いてきます。

第21回:場合の数② 育てたい力:入試の典型題を書き出し形式に組み替え、確実に身につける力。 家庭で見るポイント:作りはシンプルでも力がつきます。復習を交えながら進めてください。

第22回:推理② 育てたい力:「無実な人を探す」など、視点を切り替えて考える力。 家庭で見るポイント:条件に目をつけて試行錯誤する楽しさを。実演しながら考えるのもおすすめです。

第23回:数をあてはめる② 育てたい力:これまで培った感覚を総動員して、難問に立ち向かう力。 家庭で見るポイント:一発で解ける子はまずいません。唸りながら考える姿を、静かに見守ってあげてください。

第24回:立方体 育てたい力:空間を一段ずつ数える、入試独特の見方と空間認識。 家庭で見るポイント:算数が得意でない子も夢中になれる回です。全24回の締めくくりにふさわしい問題です。

6. まとめ

全24回、チャレンジ問題を含めて160問以上。

この教材がお渡しするのは、PDFというデータそのものではありません。 お子様がノートに向かい、鉛筆を握って試行錯誤し、自力で解けた瞬間に目を輝かせる——その濃く、上質な算数の時間です。小3のこの時期に、ご家庭でそうした時間を作れること。そこに、この教材の価値があります。

まずは第1回「道順①」を、問題・解答そろえて1回分まるごと無料サンプルとして公開しています。お手元で印刷して、お子様に鉛筆を持たせてみてください。解き終わるころには、3年生のいま、なぜ「整えて書く力」が必要なのか、きっと実感していただけるはずです。

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