範囲の決まっていないテストに弱い子の対策法

塾講師の多くは、生徒さんの理解力で能力を判断します。

理解力とは、教えたことがすぐに飲み込めたり、心情をつかめるような会話ができたり、教えたことを応用してさらに発展的なことを考えたりなどです。

 

ちょっと面白い話としてのエピソードなのですが、復習テストの点数が悪いときに、厳しく注意したいときがあります。

そのときに、わざと笑いながら注意します。

怒りを通り越して笑っている状態とは違い、怒っても効果がなさそうだから、笑いながら説教しようという作戦です。

そうすると、これは「いつも以上に厳しく説教されている」と判断しビビる子から、「先生が笑っているから安心」ととらえ緊張感のない子までいます。

これを幼さというのか国語の心情の読み取る力というのか分かりませんが、こういうことを含め、能力の高い低いを判断します。

 

理解力が低くても点数が高い場合、理解力が高くても点数が低い場合があり、高い場合は、家で猛特訓していると考え、低い場合は、家で遊びまくっていると考えます。

こういう予測はあまり外れません。

ただし、この点数というのは範囲が決まっているテストのことで、範囲の決まっていないテストについては、この限りではありません。

 

範囲の決まっていないテストなら、理解力が高い子が家でしっかり勉強をしていても悪い点数になる場合があります。

逆は難しいでしょう。

理解力が低い子が家でサボっていたら、良い点数になるなんてことはありません。

「良い点数なら能力がある」は成り立ちます

「悪い点数なら能力がない」は成り立ちません。

論理の授業のような話です。

 

では能力が高くても悪い点数になるのはどうしてでしょう?

それはとても簡単で、問題を読んで解く糸口が見つからないからです。

国語で考えた方が分かりやすいです。

筆者や出題者の意図を読み間違えるからです。

算数でも出題者がこういう手順で解いて欲しいというメッセージがありますが、それを読み間違えると、解く糸口が見つからずに解けないとなります。

 

これをもって算数も国語力が必要という人がいますが、それは違います。

算数と国語の偏差値が30違う子を何人も見てきましたので、国語力が必要ということはありません。

問題文が読めれば十分です。

問題文を読むことが国語力と定義するのなら、算数には国語力は必要となります。

 

問題を読んで解く糸口を見つける力が上がれば、範囲の決まっていないテストの得点が安定し、強くなります。

問題を読んで解く糸口を見つける力も能力のひとつですが、能力が高い子が、読み取る力が高いとは限りません。

読み取る力をつければいいという結論になります。

 

では、どうしたら算数の問題を読んで解く糸口を見るける力を高められるのでしょう?

そのためには、ある単元をしっかり学習することをお勧めします。

ここで第一部は終わりとなります。

もういいやと思われた方もいるかもしれません。

続きを読みたい方は第二部に進んでください。

 

 

ここから第二部となります。

ある単元の話からです。

それは「数の性質」です。

理由を書いていきますが、それを読んでくださると、ご納得できると思います。

 

まず、問題を読み取る力のない子は、読み取る練習をしなければなりません。

国語の文章読解の練習をしても、その力にはなりません。

算数の計算問題や図形の問題を解いてもその力にはなりません。

特殊算、割合、速さなどは、典型題は、数値と最後に求めるものだけ見て、あとは斜め読みでもおそらく正解になります。

読み取る練習になりません。

条件の多い問題は読み取る力がない子は解けないでしょう。

練習にはなりません。

典型題+αで、捻りのある食塩水・損益算・仕事算・過不足算は読み取る練習になります。

こういった問題の練習でもいいですが、捻りがあるほど、難しくて歯が立たず練習にならない場合もあります。

 

場合の数は、1つ例題を書きます。

「□□時□□分□□秒の6つの□に入る数字の和が22になるのは1日で何秒間あるでしょう」

これは近日中に書く予定のブログに載せる問題なので、解説は今回は割愛しますが、この一文で問題を読み取る力が上がるでしょうか?

読み取る力とは異なる力がつきます。

その力が上がると読み取る力も相対的に上がりそうなので、場合の数はやっても良いと思います。

 

規則性は問題によります。

どの典型題と近いかを考える問題は、読み取る力をつける問題にはなりません。

推理の問題は読み取る練習には最適ですが、そればかりやっても算数全般の力は上がりません。

 

消去法で数の性質が最適な練習になります。

数の性質の例題も1つ載せます。

「普通電車と急行電車が、普通・普通・急行・普通・普通・急行……という順序で発車する駅があります。その発車時刻の間隔は、普通から急行は9分、急行から普通は6分、普通から普通は11分です。午前9時ちょうどに急行列車が発車しました。午後1時台の最後の電車は午後1時何分発ですか。」

レベルは低目ですが、きちんと読み取らないとできません。

1時台最後ということは2時から考えます。

2時(300分後)より前の最後の電車です。

1周期は26分なので、300に近い26の倍数は286分です。

これは急行なので、その次の普通は286+6=292分後の1時52分に出発します。

これが答えです。

 

糸口を見つけるというような難しさはありませんでしたが、読み取る練習には十分になっていると思いますが、いかがでしょうか?

そして、解説を見ても難しくて理解できないということもないと思います。

これが重要です。

簡単に理解できるんだけど、読み取りが甘く正解にならないという問題の練習が大切で、その練習にはこの手の問題がぴったりだと思います。

 

単純な約数や倍数の問題でも他の単元よりは、抽象的な言い回しが多いので、読み取る練習になります。

素因数分解や偶数・奇数が絡んでくる問題は、糸口を見つける力を鍛えられます。

 

範囲の決まっているテストで実力を発揮できない生徒さんには、数の性質の演習をお勧めします。

算数教材塾・探求では問題集的な数の性質はご用意する予定はありませんが、小4グランプリ算数・小5グランプリ算数で対話の解説書を読んで、問題文の読み取り精度、糸口の見つけ方を磨いて欲しいと考えています。

小4グランプリ算数・小5グランプリ算数は、場合の数、数の性質、論理の問題が多いので、そういう練習にぴったりだと思います。

 

第二部を読んでくださった方のお役に立つことができましたら、ぜひ、順位に反映されますように「にほんブログ村のバナーボタン」のクリックをお願い申し上げます。

TOP