中学受験は母親で決まる?

プロ野球で、よく「あの戦力ならば誰が監督をやっても勝てる」という人がいます。

短期的にはそうかもしれませんが、長期的に見るとそんなことはありません。

優れた監督のチームが強くなります。

 

これは野球に限らず、どのスポーツも同じだと思います。

高校スポーツなどは良い指導者のもとに良い選手が集まることもありますが、

特にプロ野球はドラフトで公平に選手を獲るので、監督の力量が露わに出ると思います。

何年か前は、逆指名だの希望枠だの滅茶苦茶な不公平感しかないドラフトを最大限生かして、巨大戦力を誇るチームがありましたが、

今は昔で、現在は、フロント、オーナー、監督のしっかりしたチームが強くなっています。

 

私の応援しているチームは2連覇を達成したのに、監督を更迭する不思議な球団で、

案の定、監督が替わったシーズンから優勝争いに食い込むことができません。

私自身、この5年は野球を見る時間は激減しています。

スカパーも休止した状態です。

 

ここまでプロ野球の話ばかりでしたが、中学受験に例えると母親が監督のようなものです。

父親が監督のご家庭もありますが、母親が監督のご家庭の方が多いです。

塾の講師は監督ではありません。

コーチです。

 

サッカーは監督が教え込んでいるシーンをよく見ますが、プロ野球は監督は見守っているイメージがあります。

お子様を見守っていて、ときには教え込むというのが、プロ野球の監督の姿と被ります。

 

ということは、プロ野球の監督と同じように、母親の力量はとても重要です。

ときには作戦失敗や間違えた指示をすることはあったとしても、おおかた正しい指示をしないといけません。

母親にとても大きなプレッシャーをかけているようですが、中学受験とはそういうものなので仕方ありません。

 

母親が中学受験を経験したことがないからといっても、塾講師に監督をお願いすることはできません。

家庭教師にお願いすることもできません。

父親と、監督・ヘッドコーチの役割分担して共闘することは可能ですが、それは父親次第です。

 

あくまでも傾向ですが、父親が中学受験に興味があり、自ら監督を買って出ている場合は、

母親はあまりタッチしていなくても、監督は父親で上手く采配しているご家庭が多いような気がします。

 

監督の主な役割は、苦手なものを立て直すことです。

当然、得意なものは放置していても問題がない場合が多いです。

塾の講師や教材は、分かりやすく、身につくためのノウハウの詰まった指導、構成でなければなりませんが、

監督の役割は、上手く教えることではありません。

どうやったら苦手なものを克服できるかを考えることです。

 

1つのブログに様々な克服法を具体的に書いていくことは不可能なので、根性系の話になります。

気合いを入れるとかヤル気スイッチを押すというのは、私自身あまり興味がないので、その手の話題は避けますが、

それが得意な方はそれでも良いと思います。

 

今回ご提案したいのは、苦手なものを楽しんで取り組むことです。

最近、大人のお稽古事が流行っているようです。

高校の同級生が、「昔は興味がなかったけど、いまなら楽しい」といって習字を懐かしがって書いていましたが、

上手い下手抜きにして非日常の体験は新鮮なようです。

 

それというのも、「おまえ下手!」というようなプレッシャーをかけられないからだと思います。

そういうプレッシャーがあると楽しんで取り組めずに、継続せずということになりそうです。

下手などといわれなくても数字が出るものは、そのスコアが悪いと興味が薄れていく可能性が高いような気がします。

スコアがプレッシャーとなっているからです。

 

受験勉強はテスト、クラス替え、合格判定というプレッシャーの洪水です。

便利かもしれませんが数字の氾濫はきついです。

一歩外に出ればプレッシャーを受けることは避けられないので、

せめて家にいるときはプレッシャー抜きにして克服することを楽しめるといいと思います。

 

そんな悠長なことは言っていられないという方は、自身の苦手なことにトライするのも良いかもしれません。

例えば、コンピューターのプログラミングとか、英語の翻訳とか、古文書とか…

時間とお金がかかるものは受験生の保護者として相応しくない場合もありますので、お勧めできませんが、

いままでやったことがないようなものを一から始めてみると、苦痛、理屈が分かったときの喜びなどを感じ取ることができ、

お子様と同じ心境を共有でき、監督としていい指揮がとれるかもしれません。

現役時代あまり算数が得意でなかった母親が算数を勉強して、お子様に教え込むよりも効果的のような気がします。

 

私が塾講師のときは算数が苦手な女子を担当することが多く、授業時間内だけできちんと定着させることが困難でした。

ハイレベルな内容をやっていたからというのもありますが。

 

すると、時間外の指導が重要になるわけです。

複数の生徒さんが質問などにやってきますが、当然待ち時間が長くなります。

行儀の良い塾ならばおとなしく待っていたり、自習しているのかもしれませんが、

私の担当クラスの子達は、もっとお転婆でした。

 

私に教えてもらうのが難しいと分かると、

「この問題分かる人いる?」と、質問待ちをしているクラスメートに聞き始めます。

「一応分かるよ」という生徒さんがいると、その子を中心に新たな輪ができ上がり、

ああでもないこうでもないという会話が始まります。

無事解決したり、一応分かると言った子が、やっぱり分かっていなかったことになったり、

最初分からないと言っていた子の方が先に理解深まり、立場逆転で一応分かると言った子に教えてあげたりで、

良い時間だったような印象があります。

 

授業時間外に限った話ではありませんが、

受験勉強はかなり大変だったと思いますが、とても充実したやり甲斐のあるものだったと思います。

算数が苦手なみんなと一緒に乗り越えてるという意識が、算数上達に繋がっていったと思います。

 

できるようにならないとダメというより、乗り越えることを楽しいという感覚でお子様を支えられるかどうかが、監督として1番大切なことだと思います。

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