- 2016年12月14日
いままで、暗算とはどういうレベルの計算か、初めはどのくらいのレベルの計算から始めていくか、どういうようにレベルを上げていくか、どういう方法で計算するかというブログはいくつか書きました。
しかし、暗算の効能についてはあまり触れませんでした。
私の中ではもう揺るぐことがなくしっかり定まっていて、スカイプ指導ではたびたびその言葉を使って算数論として語っていますが、定まって自然体過ぎていてブログにするという考えまでは至りませんでした。
本日、ネット記事で下のタイトルのコラムを読みました。
概要は、これからの時代は数のセンスが必要で、その第一歩が計算力で、計算力を高めるためには暗算をして計算を得意にすることという内容でした。
受験勉強を教える立場からしたら、それなりに違和感がありましたし、メリット①~⑥に、私の中で定まっていたものがまるでなかったので、今回ブログを書くことにしました。
AIがあるのに暗算って必要?」これからの時代に必要な「数のセンス」を育てよう!より
メリット①:ヒーローになれる!
メリット②:学びが楽しくなる!
メリット③:受験で有利になる!
メリット④:グローバルな舞台でも自信をもてる!
メリット⑤:デキる社会人になれる!
メリット⑥:テクノロジーを操れる!
一般的に、暗算のメリットといいますと「速く解ける」しか思いつかないかもしれません。
よく、暗算にすると間違えるから暗算はダメという文字を見ます。
それはスピードと正確性を比べて、正確性に欠けるなら、スピードは追い求めないという考え方だと思います。
私が考えています暗算の最大のメリットは作業の負担軽減です。
個人的な事情の話ですが、私はマンションに住んでいて、クルマは昇降式の立体型駐車場の地下2階に駐めています。
乗るときは、地下2階からパレットが地上に上がるまで1分30秒ボタンを押し続け、地上に上がってから、カバーを外して(地下でも雨で汚れるのでカバーをしています)、エンジンをかけて、駐車場から出して、再び地下2階まで1分30秒ボタンを押し続けてパレットを戻すという作業をします。
その儀式に5分以上かかり、そこから発車となります。
帰りも逆の作業をするので、1回動かすと10分時間を要します。
最低でも10キロ以上走らないと動かす気になりません。
それに対して地上に駐めてあれば、すぐに動かせます。
数百メートルでもクルマで行きたくなるかもしれません。
この差は大きいです。
この駐車場の儀式が筆算に相当すると考えています。
暗算は、すぐに乗って、すぐに目的地に向かうという印象です。
この負担の差は、時間にも影響しますが、それ以上に、頭で考えることに影響します。
作業が多くなると、頭が働かなくなるということです。
これは筆算に限ることではありませんが、作業を減らすことが、問題を解くときに最も大切なことになります。
考えることもスタミナを奪いますし、作業することもスタミナを奪います。
できるだけ作業でスタミナを奪わない方が良いという考え方です。
一言でまとめますと、暗算ができると、考えることに労力を注げるので、考える力が増し、難しい問題が解けるようになります。
これが暗算の最大の効能です。
第2の効能は時間短縮です。
計算の時間が短くなると、問題を解くスピードが速くなります。
試験時間を有効に使えるということをイメージしがちですが、それだけではなく、1問を解く時間が長くなるほど、集中力が切れて、ミスも出やすくなりますし、考える持続力が欠けますし、発想力も鈍ります。
1問にかける時間が短くなると、たくさんの問題が解けることにもなります。
第3の効能は、これはよく書いていますが、2桁×2桁のかけ算では、頭の中で数字を記憶した状態で他の計算をし、2つの結果を桁をずらして計算するので、頭を鍛えられ頭が良くなります。
数の大きさをイメージしたり、性質をイメージしたりするので、センスも上がります。
私は、暗算で鍛えるためには、そろばんは逆効果と思っていますが、それはこの第3の効能が期待できないということです。
第1、2の効能はそろばんも有用となります。
この3点から暗算がお勧めしています。
暗算と正確性の比較ではなく、暗算は筋トレみたいなもので、算数や数学をしっかり学習するためにはしなければいけないものと言っても過言ではないと思います。
番外編で余談となりますが、私自身、暗算が得意な子が大好きです。
指導がリズミカルになり、算数論をいろいろ語れるからです。
恐らく、多くの算数講師もそう考えていると思います。
算数の講師と仲良くなり、そのことで見えないプラス効果も得られると思います。