― 受験算数OSが、割合を後半に置く理由 ―
中学受験算数で、多くの子がつまずく単元の1つが「割合」です。
「もとにする量」
「比べる量」
「割合」
「全体の何分の何」
「何%」
「何割」
言葉だけでもややこしく、さらに分数が出てくるため、苦手意識を持つ子が少なくありません。
一般的な教材では、割合に入るとすぐに、「もとにする量 × 割合 = 比べる量」のような形で、「割合をかける」学習に進むことが多いです。
もちろん、これは大切な考え方です。
しかし、最初から「割合をかける」に進むと、子どもはすぐにこうなります。
「どれに何をかければいいの?」
「何を1にしているの?」
「この分数は一体、何?」
割合が苦手な子は、計算ができないのではありません。
多くの場合、数量関係が掴めないまま、分数をかけようとしているのです。
そこで、受験算数OSでは、5年生7月の「比と割合」を、少し違う順番で学習します。
受験算数OSの学習順
5年生7月の「比と割合」は、次の流れで進めます。
1.比を使う
2.最小公倍数の利用
3.二行二列の表
4.逆比
5.割合をかける
6.比の消去算
ポイントは、「割合をかける」を後半に置いていることです。
これは、かなり意識して決めた順番です。
割合の問題だからといって、最初から分数をかける必要はありません。
むしろ、最初にやるべきことは、分数をかけることではなく、数量関係を見える形にすることです。
分数1個なら、まず比に直す
たとえば、「全体の3分の2」という言葉が出てきたとします。
一般的には、すぐに「×2/3」と考えることが多いでしょう。
しかし、受験算数OSでは、まず比に直します。
全体を3、部分を2(問題によっては、他を1)
こう見るだけで、かなり扱いやすくなります。
分数のまま処理すると、「何を1とするのか」が見えにくくなります。
しかし、比に直すと、全体と部分の関係が目に見える形になります。
割合を苦手にする子にとって、この差はとても大きいです。
分数2個なら、最小公倍数で整数にする
分数が2個出てくる問題は、さらに混乱しやすくなります。
「Aの3分の2」
「Bの4分の3」
このような表現が並ぶと、子どもは分数の処理に意識を持っていかれます。
しかし、ここでも受験算数OSでは、分数のまま押し切りません。
分母の最小公倍数を利用して、整数の比に直します。
分数を分数のまま考えるのではなく、整数の比として扱う。
これだけで、問題の見通しがかなり良くなります。
割合の問題なのに、無理に分数計算をしない。
ここが大切です。
変化のある問題は、表で整理する
割合の問題で難しくなるのは、数量が変化するときです。
「何個か使った」
「何円か増えた」
「何人か減った」
「何分のいくつになった」
「何倍になった」
このような問題を頭の中だけで追うのは危険です。
そこで、受験算数OSでは、変化のある問題は表にします。
変化前と変化後。
増えた量、減った量、初めの量、最後の量。
それらを表に入れて、条件を見える形にします。
割合が苦手な子は、途中で基準が変わると一気に崩れます。
だからこそ、頭の中で処理させるのではなく、表に書いて整理します。
考えてから書くのではありません。
書いたもので考えるのです。
共通量があるものは、逆比で考える
表を書いていくと、「同じ量」が見えてくることがあります。
たとえば、Aでは2にあたる量が、Bでは3にあたる。
このような場面です。
同じ量を、別々の比で表している。
このときに使うのが逆比です。
逆比は、意識できるときは意識して使い、意識できないときは共通量の数字をそろえれば無意識に使えるものです。
「逆比を使う!」と意気込むものではありません。
受験算数OSでは、逆比を「覚えるテクニック」としてではなく、表の中にある共通量をそろえるための考え方として扱います。
だから、子どもにとっても使う場面がはっきりします。
そして、必要になったところで「割合をかける」
ここまで学習してから、ようやく「割合をかける」問題に進みます。
ここが受験算数OSの大きな特徴です。
割合をかけることは大切です。
しかし、それを最初に置くと、割合が「式に数字を当てはめる単元」になってしまいます。
受験算数OSでは、先に、
比に直す
整数にする
表にする
共通量を見る
逆比でそろえる
という学習をします。
その上で、分数をかける必要がある問題に進みます。
すると、「割合をかける」は丸暗記の公式ではなくなります。
数量関係を整理した上で、必要な処理として使えるようになります。
最後は、比の消去算へ
比が複数出てくる問題では、単純に比をそろえるだけでは解けないことがあります。
そのような問題では、比の消去算を使います。
これは、5年生7月のまとめにふさわしい内容です。
比を使う。
最小公倍数でそろえる。
表にする。
逆比を使う。
割合をかける。
複数の比を消去算で処理する。
これらを総合的に使うからです。
比の消去算まで進むことで、「比と割合」は単なる計算単元ではなく、受験算数全体を支える数量処理の単元になります。
なぜ1か月連続で扱うのか
一般的な塾教材では、割合は短期間で扱われることがあります。
たとえば、割合を2週間で扱う。
あるいは、1週間だけ扱い、その後、ときどき、少しずつ異なるタイプの問題を、また1週間だけ登場させる。
もちろん、それで進められる子もいます。
しかし、割合が苦手な子にとっては、短期間で一気に処理されると、知識がバラバラになりやすいです。
分数をかける。
比にする。
表を書く。
逆比を使う。
消去算を使う。
これらが別々の技に見えてしまいます。
受験算数OSでは、5年生7月に「比と割合」を1か月連続で扱います。
通常は1か月15テーマ程度ですが、この月は夏休みも考慮し、少し多めの20テーマにしています。
それだけ、この単元を重視しています。
比と割合は、単元の1つではありません。
速さ、食塩水、売買損益、仕事算、相似、面積比、そして、立体図形や容積にもつながります。
ここが弱いと、夏以降の学習で何度も苦しくなります。
逆に、ここで数量関係の見方を固めておけば、その後の単元がかなり楽になります。
5年生7月は、受験算数の土台を作る月
5年生7月の「比と割合」は、受験算数OSの中でも非常に重要な月です。
ここで身につけたいのは、単に「割合の問題が解ける」ことではありません。
数量関係を見抜く。
見えにくい関係を比に直す。
複雑な条件を表にする。
共通量を見つける。
分数に振り回されず、整数の比で考える。
こういう力です。
割合を苦手にする子は、割合そのものが苦手なのではありません。
多くの場合、関係が見えないまま、分数をかけようとして苦しんでいます。
だから、受験算数OSでは順番を変えます。
最初に「割合をかける」ではなく、最初に「比で見る」。
最初に公式ではなく、最初に数量関係。
最初に計算ではなく、最初に整理。
この順番で学ぶことで、割合はかなり扱いやすくなります。
5年生7月は、夏以降の受験算数を支える重要な準備期間です。
受験算数OSでは、この1か月を使って、比と割合をしっかりつなげて学習します。
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