先取り学習について

偏差値65以上で入塾する鍵は先取り学習

受験勉強を優位に進めるためには、3年生の間に偏差値65以上を取れる学力をつけておくことが理想です。

新4年生の入塾テストとはいわなくても、1学期の間は平均偏差値65で悠々と通塾していると、良いスタートを切ったということになります。

そのためには、先取り学習をすることがポイントです。

私は多感なときにサピックスの講師として働きましたので、考え方はサピックス流です。

しかし、サピックスは先取り学習を否定しています。

私も先取り学習は良いことではないと信念として思っていました。

私が教材を作成して販売を開始したのは2013年からですが、第一号のお客様は塾に行っていなかった小学4年生でした。

メールのやりとりで優秀な子ということが分かりましたので、4年生用の難しい教材を提供しました。

しかし、簡単すぎてやり甲斐がないとメールが返ってきました。

そこで、5年生のカリキュラム教材と5年生用の難しい教材を提供しましたら、ちょうど良いと喜んでくださり、継続して使用してくださることになりました。

その優秀な生徒さんは、小4で当教材の5年生の教材をすべて終了させ、小5から通塾を始め、灘中に行けるレベルにあったそうですが、校風で甲陽中に進学されたそうです。

私のそれまでの先取り学習は良くないという考え方は一変しました。

優秀な子は、お子様に合わせて勉強していくと、自然と先取り学習になります。

むしろ先取り学習をしないことは、レギュレーションで縛ることになると考えても良いと思います。

超一流のアスリートは幼少の頃から、上級生顔負けのプレーをするニュースは度々見ますが、それは勉強にも当てはまります。

将棋の藤井聡太棋士を見たら、知能はスポーツ以上に学年は関係ないというのはご納得されるのではないでしょうか。

中学受験というジャンルで活躍したいわけですので、関連がありそうな知育グッズや将棋や算数系パズルではなく、ダイレクトに中学受験の勉強をやることがポイントです。

もちろん、抽象的な「割合と比」などの勉強を低学年のときに理解することはとても難しいので、段階が必要です。

しかし、学んで理解できる教材があれば、できるだけ中学受験の内容を学習した方が、知育グッズや将棋や算数系パズルなどよりも効率が良いのは当然だと思います。

 

間違った先取り学習

先取り学習といいますと、1つか2つ上の学年の教材を取り組んでいくイメージです。

  • 難しくなく簡単な計算式で答えがあっさり出る問題に取り組む
  • 解き方を覚えて、解いていくうちにだんだん理解できるだろうというような演習主義

一般的な先取り学習と聞いて想像がつくのは上のものだと思います。

先取り学習はプラスアルファの学習なんだから、少々正しい勉強になっていなくても、マイナスになることはないだろうと考えがちだと思います。

しかし、後に追いつかれて、あのとき先取りしていたものは一体?となるだけでなく、

しかし、学習の質が悪い状態を続けていくことは、結構、怖いことだと思います。

例えば、ルービックキューブは完成をさせる方法が確立されています。

その方法に則って操作していくと完成します。

鍛錬して、見た瞬間に反射的に手が動くようになりますと、驚異的なスピードで完成できます。

しかし、「3×3×3」ではない「4×4×4」などのルービックキューブをいきなり渡されたら、完成させられません。

また、新たに完成させる方法を覚える必要があります。

算数の勉強も同じようなものです。

計算式に数字を当てはめて解いていくと正解になります。

このような学習で、上の学年の教材が出来ているといって先取り学習をしていくと、ゾッとすることになりそうです。

やるなら、最初から正しい勉強でというのが、算数教材塾・探求の考え方です。

 

良い先取り学習

正しい先取り学習とは、当然ですが、理解していく学習です。

理解していく学習と漠然と言っても、どういうことか見えてきませんので、場合の数の問題を例にして書いていきます。

4人を並べる方法は□通りあります

これは、4人を条件無しで並べるだけなので4×3×2×1=24通りが答えです。

「4人並べるときは4!(4の階乗)」と覚えて、4から1までかければ答えは出ます。

しかし、これでは上記のルービックキューブと同じです。

理解する学習では

  • 1人目を並べるとき、もちろん4通り
  • 2人目を並べようとすると、それぞれ3パターンが考えられるから12通りになる
  • 3人目を並べようとすると、それぞれ2パターンが考えられるから24通りになる
  • 4人目は残りの人が並ぶだけ
  • 全部で24通りになる

このように考えます。

頭の中でイメージできないときは、書き出していったり、樹形図などでイメージします。

イメージ重視の学習が理解していく学習と言えます。

先取り学習だからイメージ重視というわけではなく、勉強とはイメージしていくものです。

先取り学習なら少々雑な勉強になってもやっていることに価値があるというわけではありません。

学習効果を高めて偏差値65以上を目指すならば、イメージ重視は絶対条件だと思います。

 

先取り学習をやった方が良い子とは

先取り学習は優秀な子限定の学習法です。

しかし、デジタル式に「この子は優秀」「この子は普通」などと格付けできるものではありません。

あまり良いことではありませんが、わかりやすいように偏差値で説明していきます。

漠然と「優秀な子は先取り学習をやった方が良い」と考えずに、次のように考えた方が良いと思います。

  • 偏差値65の能力の子が先取り学習をしたら、能力を上げ偏差値70になる
  • 偏差値60の能力の子が先取り学習をしたら、能力を上げ偏差値65になる
  • 偏差値55の能力の子が先取り学習をしたら、能力を上げ偏差値60になる

先取り学習をしなければ、偏差値70を取れる能力のある子でも、偏差値65だったというようにも言えます。

あくまでもイメージですが、質の高い勉強を早めに築いて、その質の高さを維持して受験勉強を進めることは、大きなプラスになると思います。

関西の塾は関東よりも先取りの傾向が強いですが、「算数は関西が強い」と評されていることはヒントになるような気もします。

偏差値65の子と偏差値60の子と偏差値55の子では、先取り学習といっても学習内容を変える必要があります。

扱う問題の難度も変えますが、それ以上に、扱う時期を変えるべきです。

偏差値65の子は1年半先の学習、偏差値60の子は1年先の学習、偏差値55の子は半年先の学習といったようにです。

そもそもの疑問として、優秀な子かどうかを判断できるのでしょうか?

「遺伝が~」「地頭が~」「素質が~」などの単語が飛び交いますが、科学的に解明されていることはありません。

「○○だと△△の率が高い」というだけです。

うちの子は偏差値いくつなどというのは、テストをたくさん受けるようになって平均値を取って初めて数値化してもいいものです。

まずやってみて、行けそうならペースを速め、きつそうならペースを緩めていくことになると思います。

能力は生まれた瞬間から決まるとか、○○歳で決まるというものではありません。

統計的にはそういうことが言えるのかもしれませんが、統計に縛られたら、上手くいくものさえ上手くいきません。

私自身の経験としましても、3年生のときに算数を教えていましたら、その生徒さんがどのくらいの学校に受かるかだいたいわかります。

しかし、6年生になって、数年ぶりに教えたときに「こんなに出来るようになったの!」と驚くことがあったり、合格校を聞いて驚くこともありました。

勉強に向いていないと明らかにわかる子の場合は、初めから先取り学習は避けたいですが、先取り学習に興味がございましたら、まず、やってみて、イメージして理解する質の高い学習を取り入れると良いと思います。

 

先取り学習の真の意味

先取り学習を何故するのでしょうか?

「早く始めたら、後が楽になる」「大学受験の浪人生のように、6年生の内容を2年間学習できる」「内容が濃いと言われる5年生の内容を2年間学習できる」というイメージの方も多いと思います。

私は、先取り学習の効果はそういうことではないと思っています。

やや負荷をかけた質の高い学習をすることで能力開発になると思っています。

勉強に限る話ではありませんが、兄弟で、勝ち気な弟が、兄に負けたくない気持ちで一緒に取り組むと、ものすごく鍛えられるようなイメージです。

私も子どもの頃、実弟にそれをやられました(笑)

スポーツのアスリートの幼少期も同じようなものだと思います。

その意味では、先取り学習といっても、早くからやれば良いだけでなく、早くから、且つ奥深くという両輪が大切です。

また、少々、意が異なりますが、入塾しますと、テストで煽られます。

それは良い面もありますが、勉強の質が下がるという弊害もあります。

俗に言われる「暗記の算数」「覚える算数」です。

入塾前に、各単元を、点数で煽られることなく、しっかり理解することを目指した学習することで、覚える算数にはなりにくい体質になります。

 

先取り学習は「対話式算数」で

奥深い学習というのは、難しい内容を書物で取り組むのがベストだと考えています。

これだけ動画が普及しても、学問を深く学ぶためには、書物に勝るツールはないと思っています。

動画授業でも集団授業でも、わかっている部分の説明を聞いたり、わからない部分が解決できなかったりしますが、書物の教材ならば、わかるところは少々読み飛ばし、わかっていないところは、わかってから進められます。

唯一、書物に勝るものとしては、週に4日(1日1時間くらい)以上、奥深い算数を1対1で教わる環境です。

書物と同等と考えますと、1対1しかありえません。

なかなか難しい環境だと思います。

1つ上の学年の子とほぼ同等の内容を取り組むとしたら、教材は、取り組みやすい小4対話式算数をお勧めいたします。

算数教材塾・探求でご用意しています「対話式算数」は奥深く学ぶことを目的とした書物の教材です。

奥深く学ぶことが目的で、成績は副産物のようなものになりますが、ご利用のお客様からは「入塾したときの偏差値は65でした」という声を、毎年、多数いただいております。

対話式算数は、小4用から小6用まで用意していまして、大手塾とほぼ同じ難度です。

  • 小学3年生の優秀な子は、小4対話式算数
  • 小学4年生の優秀な子は、小5対話式算数
  • 小学5年生の優秀な子は、小6対話式算数

この1年先取りの学習が理想で、これが出来れば、いつから入塾してもサピックス偏差値65以上と確約しても良いです。

理想通り進めていくことは難しいですが、それよりも早く始めて小3の夏前くらいに「小4対話式算数が終わりましたが、この後どうしたら良いですか?」というご相談もいただいております。

1年前倒しでの先取り学習は厳しいですが、それが半年前倒しになると、厳しさが大幅に軽減されます。

1年先取りが難しければ、9か月先取り、半年先取り、3か月先取りというように、実学年の教材に近づけていくと良いと思います。

結果的に先取り学習は出来なくても、書物で奥深く学んでいけば、どの塾でも偏差値は60~70の数字が出ると思います。

大切なことは「先取り」よりも「奥深さ」です。

 

先取り学習を、算数教材塾・探求でフォローします

先取り学習はマイノリティーかどうかはよく分かりません。

家庭教師を行っていますと、先取り学習をしている方は少なくない印象です。

しかし、小3で中学受験用の小4教材を取り組む子はときどき目にしますが、小4で中学受験用の小5教材を取り組む子はとても少数だと思います。

何回も書いていますが、算数は覚える算数になってしまったら元も子もありません。

小4で小5教材を取り組むと、その恐れがあります。

小4&小5対話式算数は工夫を重ね、覚える算数にならないように作成しましたが、お客様の立場で考えますと、とても不安だと思います。

そこで、算数教材塾・探求では、算数塾らしく、フォローして参ります。

直接授業で教えることは行いませんが、お子様のわからない問題の質問をLINEでお受けいたします。

答案内容を見せていただけましたら、どこに解けない原因があるかをお伝えいたします。

また、その問題は、いましっかり身につけるべきなのか、先送りしてもいいかもお伝えいたします。

 

先取り学習のデメリット

物事、良いことずくめということはなかなかありません。

メリットもあればデメリットもあると考えることが自然です。

考えられるデメリットを挙げていきます。

  • 出来なくて焦る
  • 通塾を開始したときに知っていることが多く、授業を聞かなくなる
  • 通塾開始時は良い成績が取れても、段々成績が下がる気がする
  • 基礎が疎かになり、長期的に不安

このくらいだと思います。

1つ1つ書いていきます。

出来なくて焦る

先取り学習は、あくまでも優秀な子向けです。

作戦を立て直してかなり背伸びしていたものを少し背伸びするように調整していくことで対処できます。

少しだけ背伸びをするという状況を早めに作ることが大切です。

 

通塾を開始したときに知っていることが多く、授業を聞かなくなる

これは、むしろ逆です。

知っていて悠々と過ごせる環境の方が、授業を聞きやすいです。

優秀な子の方が既に知識を身につけているという現実もあります。

直前に授業の予習をしたという意味ではなく、学習する機会が既にあったということです。

知らないことだらけですと、ずっと集中していないとついて行けなくなり、スタミナも消耗し、リズムが掴めません。

塾の講師によっては、知らないことが前提の方が授業を楽しめるというケースもあるかもしれませんが、例えば、塾のZoomなどのオンライン授業を見られた方はいかがでしたでしょうか?

あまり芸術的な授業というものはありませんし、本当に芸術的な完璧な授業の場合は、既存の知識があってもなくても楽しめます。

 

通塾開始時は良い成績が取れても、段々成績が下がる気がする

これも逆です。

まず、塾の学習サイクルに慣れるまで、最初は成績が低くなる可能性はあります。

よく「塾は入って3か月とか半年後の成績が最終的な成績」と言われますが(私はそれについては肯定も否定もせず、人によると考えています)、1~2か月後に本来の実力が発揮すると考えた方が良いと思います。

そこで取れた成績からは、その後の学習姿勢次第になりますが、下がらないと思います。

覚える算数にならず、理解してイメージする算数になっているからです。

理解して良い解き方を身につけることは、ドーピングのような一時的なものではなく、下地作りと言いますか、足腰をしっかり鍛えて、長期にわたって生きる学習です。

そう考えますと、むしろ、周りのライバルを尻目に、相対的に成績が上がる期待度の方がずっと高いのではないでしょうか。

 

基礎が疎かになり、長期的に不安

これが最も怖いです。

そのため、1番目と同様に、やってみて、合わないようならば、早く合うようにスタイル変更をした方が良いです。

ご相談、解き方チェック、あるいは質問などで、私が状況を把握できましたら、ご提案を差し上げられます。

 

考えられるデメリットを4点挙げましたが、先取り学習は、優秀な子にちょっと背伸びをして負荷をかけ、鍛えていくことが狙いです。

厳しそうなときに、作戦変更を柔軟に出来ることがポイントとなると思います。

 

先取り学習をしないと偏差値65以上での入塾が出来ないわけではありません。

しかし、偏差値65以上での入塾に向けて、何をやったら最も期待値が上がるかと考えましたら、先取り学習一択です。

算数パズル、知能グッズも楽しく取り組めば、少なからず効果はありますが、では、それをしっかり取り組んだら偏差値いくつになりますか?と問われましたら、「ほとんど影響がない場合もあります」という回答になると思います。

算数教材塾・探求では、小学3年生には「書き出しの練習(場合の数)」を推奨していますが、トップレベルを目指す子ならば、もっとハードルを高くした方が良いと考えています。

先取り学習で、高偏差値での入塾スタートに興味のある方はこちらをどうぞ。

 

対話式算数・基礎編について

正直に申しますと、対話式算数を学習していなくても先取り学習が上手く行っている方もいらっしゃいますし、小4対話式算数を先取り学習用に始めたけど、難しすぎてできませんという声もいただいております。

それでも小4対話式算数をお勧めしますのは、保護者様も本編を読んでいただくと、とてもフォローしやすい教材だからです。

フォローとは下のようなものです。

  • 週1話取り組むなど学習ペースがつかみやすい
  • 親は予習しなくても、一緒に読んでいくと、子供に教えられる(対話型なので、親子で先生役、生徒役に分かれて読むことができます)
  • どうしてそういう計算で求められるのか分かりやすく、子供に伝えやすい
  • 良い解き方を子供に伝えやすい

小4対話式算数で上手く行かなければ、先取り学習という作戦を変更すれば良いだけのことですので、算数に自信のある方なら、お気軽に先取り学習作戦を選んでも良いと思います。

小4対話式算数は厳しいけど、小4からの通塾に備え、あるいは小4対話式算数を有効に使えるために、対話式算数・基礎という教材を作成し、順次公開し販売しております。

小4の学習内容を、極力、作業で解いていくという「先取り学習」と「書き出し」のいいとこ取りした教材です。

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