立体図形の難問に強くなるためには

今回のブログは算数論満載になります。

入試で花形分野の立体図形についてです。

 

立体図形に限らず、各分野に難問というものがあります。

どういうところが難問と呼ばれる所以なのか具体的に書いていきます。

 

「和差や割合に関する問題」…条件をどのように使うか分からない

「速さ」…条件をとのように使うか分からない、上手く考えられる解き方が思いつかない

「平面図形」…閃かない、緻密に調べきれない

「数の性質」…何をすれば良いのか分からない

「場合の数」…調べきれない、上手い数え方が思いつかない

「規則性」…仕組みが分からず解き方が思いつかない

 

それに対して、今回のテーマの立体図形は、見方が分からない、調べ方が分からない

となると思います。

 

上に書いた6分野と、立体図形では大きく異なると思いますが、

どこが異なるのか分かりますでしょうか?

個人的感覚かもしれないので、異なっていると思わない算数講師もいるかもしれません。

 

立体図形以外の6分野は、汎用性がないのです。

まったくないわけではありませんが、その問題専用の考え方、捉え方をして解いていくことが多いです。

○○に似ている、○○と共通点があるということはありますが、

それを思いつくかどうかが勝負なので、汎用性がないということにしました。

 

いろいろな専用の考え方を経験し、経験値を上げ、

何に似ているかを見抜く力をつけたり、知っていることを応用したり、組み合わせたりできるようになります。

 

授業で説明するときは、仕組みを詳しく説明し、こうだから、こうやって考えたんだよという論調になりますが、

「この解き方しっかり覚えてね!」

という結びにはなりません。

こういう考え方もあるから、身につけておくといいよ程度でとどめると思います。

 

それに対して立体図形は、汎用性があります。

見方が分からない、調べ方が分からないというのは、まだスキルがないということになります。

説明するときは、

「こういう問題はこうやるんだよ。これを機にしっかり覚えて次回は使えるようにしようね。」

となることが多いです。

感覚的な違いかもしれませんが、私はその違いは大きいと思っています。

 

例えば、

正八面体の展開図の問題は、各頂点に記号を振る→鮮明に分かるまでじっくり見る

複雑に複数回切る切断の問題は、単純な順に切る→切り口がどこを通るか鮮明に分かるまでじっくり見る

切断立体の体積は→三角すいをつくるor「底面積」×「高さの平均」でできるか考える

分かりにくい長さや線分比を求める場合は、一方向から見える平面で考える

小立方体の切断は、1個ずつどう切られているのか考える

内部に穴を空けた立体の表面積は、1段ごとに分けて求める

 

ザッと思いついたものだけ書きました。

もっと書くべきものがあるかもしれませんが、ここまでとします。

 

立体図形以外の単元ならば、このように書き表すことができません。

問題によってバラエティに富んでいますので、書くのも馬鹿馬鹿しくなります。

 

立体図形は、このくらいの解法パターンを身につければいいので、

他の分野よりもマスターしやすいと言っても良いです。

見えない部分があるので、ハードルが高く見え、苦手意識を持ちやすいですが、

難問に強くなりやすい分野でもあります。

 

マスターするためには、

糸口を見抜くことに時間をかけないようにする

その代わり、納得いくまで粘り強く図形を見る

計算は答えが出るところまで必ず行う

身についていなかった解法はその場で覚える

こういうことが大切です。

 

これを意識して指導できる講師に教われば、立体図形に強くなる生徒さんは多いと思います。

立体図形以外の分野と同じ感覚で教える講師に教わっていたら、立体図形は手強い存在のままでしょう。

担当講師に左右される分野でもあります。

高校物理のようなものかもしれません。

 

立体図形の切断は、よく動画で見せると分かりやすいと言われます。

私はそうは思いません。

動画の進むスピードと、生徒さんの理解するスピードが合致していたら、動画が良いとなりますが、

動画の方が速く、後追いのような形になるのであれば、

すご~い!分かった気がする!

と感動して終わりでしょう。

分かるまで見ることが大切です。

静止画で充分です。

 

算数教材塾・探求では今年から小6立体図形の教材を用意しています。

切断問題は毎回数問入れていますが、解説は気を遣って書いています。

 

複雑な問題は、できるだけ複数の図を用意しています。

その際、不要な線や記号は極力消しています。

理解するときに、問題に最初から載っている記号、長さ、線は不要な場合が多いです。

障害物は避けた方が理解しやすいに決まっています。

 

説明するときは、記号がないと説明できないということで、各参考書や問題集では記号が残っているのかもしれませんが

色を使えばそんな問題は解消です。

黄色の三角すいは、水色の三角すいの~

などと書けば、記号不要です。

 

良い講師に教わったり、良い教材を使って、正しく勉強すれば立体図形は得意になりやすいです。

最近、入試問題では立体図形が主流と言っていいほどの存在です。

正答率は低いだろうな…(俗称:捨て問)と思える問題もありますが、

立体図形が得意ならば、そういう問題を獲ってアドバンテージをつくれます。

周りが「捨て問」と叫んでいるときに、コッソリ正解にしていれば、優位に立ちます。

 

立体図形を強くするのは容易と言っても、一朝一夕では無理です。

夏休みかその前から、そういう練習を計画的に始めることが大切です。

じっくり図形を見たり、自分の力で答えを出そうとすると、時間がかかります。

2日に1回で1問で充分です。

夏期講習中なら3日か4日に1問でもいいかもしれません。

 

必ず得意になる分野ですので、かけた労力が無駄にならずプラスになります。

お得と言って良いと思います。

 

ですが、良問で練習しなければ効果がないことは言うまでもありません。

立体図形得意化計画をご検討ください。

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