- 2017年8月15日
この段階では○○に入る言葉は分からないと思いますが、当然と言えば当然の言葉になります。。
しかし、案外それができていない学習になっているケースが多いような気がしまして、書くことにしました。
売買損益算の問題を例にしてみます。
ある商品を仕入れ値の4割の利益を見込んで定価をつけ、定価の2割引きで販売したら、利益は600円になりました。仕入れ値はいくらですか。
予習無しの塾では売買損益算で1回目の授業の後半あたりで出てくる問題です。
1.4×0.8=1.12で、0.12が600円にあたるので、600÷0.12=5000円が答えです。
仮にこういう問題を1か月間に定期的に10回繰り返したとしても、この問題が出たときの瞬発力と計算力しか身につかないのではないかと思ってしまいます。
ちなみに当教材の対話式算数は改定を重ね、現在は、この手の問題は、イメージを湧かすために、導入では原価100円を推奨しています。
原価100円、定価140円、販売価格112円で、利益は12円
12円が実際は600円で50倍なので、実際の原価は100×50=5000円という流れです。
ちょっと話がずれましたが、もう少し複雑な条件をつけないといけないと思います。
個数の条件も入れてみます。
ある商品を100個仕入れ、仕入れ値の4割増しの定価をつけて40個売り、定価の2割引きで35個売り、残りはさらに100円引で売って、5個は売れ残り処分しました。利益は6800円になりました。仕入れ値はいくらですか。
このような条件をつけると、100円引きはどう考えようか?5個捨てたのはどう考えようか?と工夫が必要になります。
○○はこれです。
「工夫」が入ります。
複雑な条件があるかどうかで、工夫の必要性の有無が決まります。
私は断然、勉強は工夫が無いといけないものだと考えています。
簡単な問題は、条件が少なくてパッと問題を見て、解法が思いつき、あとは電光石火のごとく解き進められます。
まるで工夫がありません。
でも、売買損益算に個数も出てくると、少し難しくなります。
上の工夫が必要な個数有りの問題はレベルが高くてできないという子もいると思います。
そうしましたら、先送りでいいです。
ここでポイントとなるのは、先送りするかどうかではなく、できる問題が工夫無しの問題だからといって、工夫無しの問題ばかりを練習しては、工夫する機会が無く、質の高い学習にならず、学力が上がらないということです。
例えば四谷大塚の週テストでAコース(Bに置きかえても良いです)だったとします。
テストではほとんど工夫する問題が出題されません。
暗記の算数で通用します。
しかし、学習する単元は全員同一です。
そうしたら、塾の担当講師は、まずAコースで点数が取れるように、暗記でもなんでも工夫無しの問題ができるようにしましょうと言うと思います。
そして、その勢いでぐんぐん力をつけて、すぐにCに上がれるならそれで良いですが、そんなに上手くことは進まないと思います。
つまり、1年中、あるいは受験勉強ほぼすべての期間で、工夫無しの問題ができるようにしましょうと言われ続けていくと思います。
常々暗記の算数はよくないと思っていますが、このように中学受験の勉強では暗記の算数になる土壌というものがあります。
その対処法として、その週に扱われる単元を、半分くらい控えて、5年生ならば、1年前にやった内容の工夫する問題を扱う方がずっと良いと思います。
売買損益算で工夫する問題ができないならば、もっと前に学習した、つるかめ算や消去算の工夫する問題をやるという具合です。
サッカー選手が海外に移籍するときに、試合に出られない強いチームに行くよりも、試合に出られる弱いチームに行った方が良いという考え方に近いと思います。
工夫の必要がない問題を暗記学習のように演習していく勉強にしないで、簡単な単元に戻り、その単元の中で工夫の必要な難しめの問題を解いていくという学習で、質の高い学習を目指すと良いと思います。