浅い勉強から抜け出すためには

算数は、進学塾では法外な問題量をこなすことを求められます。

それを解きながら、思考力がついた人が勝ち組、残念ながらつかなかった人は負け組となります。

塾はそれでいいんです。

5000人の生徒がいたら、1000人が勝ち組に入ってくれれば、別に誰がその1000人でも問題はありません。

多くの人が負け組になっている現状を問題視することなく、この流れはずっと続きます。

 

勝ち組に入るためには、思考力をつける必要があります。

教わった解き方で解ける問題なら解けて、そこから応用されると解けなくなってしまうタイプは、

そのレベルから脱出しないと勝ち組には入れず、良い中学受験にはなりません。

 

さて、話が変わりますが、簡単な歴史の問題です。

 

  • 日清戦争
  • 日露戦争
  • 日英同盟
  • 伊藤博文暗殺
  • 三国干渉
  • 韓国併合
  • 日比谷焼き討ち事件

 

これを古い順に並び替える問題です。

私は数字が得意だったので、日本史はかなり年号を暗記しました。

日清戦争1894、日露戦争1904、日英同盟1902、伊藤博文暗殺1909、三国干渉1895、韓国併合1910、日比谷焼き討ち事件1905

このくらいは当たり前のように覚えていました。

 

そうしたら古い順に並び替えるのも簡単です。

日清戦争→三国干渉→日英同盟→日露戦争→日比谷焼き討ち事件→伊藤博文暗殺→韓国併合

が答えです。

 

しかし、社会科の講師は「年号は主だったものしか覚えなくて良い」とよく言います。

上の7項目のうち3つくらいは主だったものだと思いますが、

私は年号をかなり細かいもの以外は覚えるのは大賛成です。

 

それは年号で順序が決まれば、どうしてその順になったかを考えるからです。

 

1894年が日清戦争で、1895年が三国干渉

日本が清に勝って清の領土に入ってくるのが気に入らないロシアが、フランスとドイツを誘って、日本に迫ってきたことに納得がいきます。

ジャイアンがスネ夫とともに、のび太からおもちゃを奪ってしまうようなものですね。

 

三国干渉の約10年後に日露戦争が起きたということは、三国干渉に不満だったことから起こった戦争だろうと予測できます。

日露戦争の2年前に日英同盟があったということは、ロシアの勢力拡大をイギリスが警戒したのでしょう。

あの栗を拾う風刺画も思い出します。

日比谷焼き討ち事件は、ロシアに勝っても賠償金を取れなかったからということも分かります。

 

韓国併合は1910年で、伊藤博文暗殺が1909年だったことから、

報復か、伊藤博文がいなくなって併合がしやすくなったか分かりませんが、つながりがあることは容易に分かります。

韓国併合が日露戦争の約5年後というのは、

日清戦争の後に三国干渉で遼東半島を取り返されたくらいなので、

日露戦争の前なら韓国併合なんてとてもできなかったことでしょう。

 

年号という数字から、こういうことが想像つき、少々調べると、やや予測が違うことがあったり、さらに深いことが分かったりして

完全に納得し、自分のものにできます。

 

しかし、年号だけ覚えてどうしてその順になったのかを考えなかったとしたらどうでしょう。

記憶があやふやで、日比谷焼き討ち事件は1905だっけ?あれっ1915だっけ?

こんな状態では、上の問題の並び替えが間違えてしまう可能性がありますし、

そもそもこれでは社会科の学力が高まるわけがありません。

 

今回のブログは算数とは全く関係がないようですが、そうではありません。

算数も、いまの社会の年号と同じように、数字や式からいろいろ想像して

考えを膨らませることもできますが、膨らませないこともできます。

年号を覚えて関連性を考えるか、年号だけ覚えて関連性は考えないかの違いのようにです。

 

年号だけ覚える勉強では社会科の学力は高まりませんが、算数も同じことが言えます。

式だけ身につける勉強のことです。

 

歴史であれば「年号を覚えるときにどうしてその順番になったのかをよく考えなさい」と指導できますが、

算数はその指導が難しいのです。

つまり、解いていくうちに、奥深くまで分かる子とそうでない子に分かれますが、なすすべもないというのが現状です。

 

素人ながら、せっかく歴史の話を頑張ってしたので、もう少しその話を絡めます。

年号から自発的に順序の関連性を想像できないのなら、

年号とともに、関連性を説明してあげる必要があります。

 

「清に勝って領土を奪ったから、大国が3つも束になって干渉してきたんだよ。」

「しかたなく遼東半島を返したら、ちゃっかりロシアが遼東半島を取ったんだよ。」

「さらにロシアが朝鮮半島までも狙ってきたので、その南下政策を恐れたイギリスと日本が同盟をくんで、日本がロシアと戦うことになったんだよ。」

などと言葉で解説していけばつながりが分かります。

 

数字から分からないのならば、言葉で説明を添えれば補えるということです。

これはまさに算数と同じです。

解説の式を見ても、想像力が膨らまないのならば、

言葉の解説を読み込んでいろいろな考え方を吸収すれば良いのです。

その際は、ストーリーのようになっている解説が欠かせません。

 

対話式算数は、対話形式なので、言葉中心です。

式でイメージが湧かない子に深い思考力をつけるためと考えてつくったものではありませんが、そういう用途があります。

オプション教材も、思考系のグランプリ算数の解説は対話形式で、

その他のオプション教材の解説は、簡易的ですが、他の市販の問題集の解説よりも言葉が多いと思います。

 

言葉じゃなきゃ伝わらない!

そういうお子様に是非、ご利用いただきたいと考えております。

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