- 2016年6月22日
模試を受けると「できた問題」「実力でできなかった問題」「テスト後に自力で解けた問題」「ミスで間違えた問題」というように4つに分類する人が多いと思います。
そう分類した後は「ミスで間違えた問題」が正解だったらと仮定して点数を再計算し、偏差値換算表を見て「偏差値○○の実力がある」と考える人が多いです。
それはちょっと違うとは思いますが、模試というイベントをそういう前向きな気持ちで締めくくることは悪いわけではないので、それを聞いたときは肯定するようにはしています。
このように、ミスと実力を切り離して考える人が多いですが、どうしてこういうミスをしたのか、これから何をしたらこういうミスを激減させられるのかを言葉で伝えられるくらいでないと、また同じミスをし、ミスも実力のうちとなってしまいます。
しかし、ミスの原因や改善策を言葉で伝えることは簡単ではありません。
スカイプ指導では、優秀な子ほど、解き方を教える時間は短いので、ミスについての算数論を語ったりしていますが、優秀な子でも、どうしてミスが起きているか、論理的に考えられないようです。
そこが大人と子どもの違いかなと思います。
生徒さんが「ケアレスミスです」というのを聞くと、ミスの原因が考えられないんだなと思ってしまいます。
ざっとミスの原因を挙げていきます。
- 字がきたない、字が小さい
- 筆算が小さい、筆算の場所が遠い
- 計算式が横に長すぎる
- 書くのが速すぎる
- 書きすぎて作業が増えすぎる
- 図に数字を書いていない
- 問題文で「どちらが多いか少ないか」「半径か直径か」「出発地点や時間や進行方向」などその単元の代表的な間違えるポイントに注目していない
- 答えを書く前に何を問われているか、長さはそれでよかったかなど最終確認をしていない
- 計算を前から計算した後に検算で後から計算していない
- 計算前に桁数や大きさなど概算で計算していない
- 書き出すときに、整えていなかったり、小さい順など規則的に書いていない
- 問題文でいつも見慣れている条件と違うものが出てきたときに線を引かない
これで12個です。
だいたいこれでミスの95%は占めるような気がします。
ミスをしたときに、この12個のような原因が子どもの言葉で出てきたら、その子は本物です(笑)
次回からはそれが確実に解消するかどうかは分かりませんが、改善ポイントを言葉で認識していけば、失敗を繰り返すごとに徐々に間違えなくなると思います。
子どもがこのような原因を探せない場合は、保護者の協力が必要です。
大人ならではの分析力で手助けをした方が良いと思います。
家庭教師をそのために利用するという作戦も良いかもしれません。
しかし、ミスを減らすことは本当に大切なことなのか疑問もあるのではないでしょうか?
よく社会人やスポーツ選手は失敗を恐れず挑戦すると言いますが、それとはちょっと意味合いが違いはしますが、新しい問題を解けば解くほどミスは出ます。
そしてミスがないようにと慎重に解いていくと、思い切って大胆に解いてみようという意識が欠けるような気もします。
ミスの有無よりも、誤答であったとしても答えまでたどり着けるかが大切です。
ミスがないように最低限の気配りはした方が良いですが、問題を考えて答えに向けて解き進められることに全神経を集中させると、意外なところでミスをしてしまう頻度が高まります。
塾講師も最初に問題を解くときは案外ミスが多いのではないでしょうか?
答えが合わないときに、どこで間違えたかな?とミスに目を向けると、すぐに発見できることが多いですが、最初に解くときに、ミスがないように気をつけるかどうかだと思います。
塾講師は速く解きたいことに意識が向き、小学生は解法の糸口を探すことに意識が向き、結果的に両者ともにミスしてしまうという図式だと思います。
ミスをしたときに、解くのに一生懸命だったのかな?と考えると、冷静に客観的にミスと付き合えると思います。
では、子どもがテストでミスしたときに、どういうアドバイスが良いでしょうか?
あくまでも想像ですが、親としては「もったいない!」から始まり、「これからはミスがないようにしようね」で結ぶと思います。
ミスを減らしたいことは確かですが、上記のように全力で問題を解くことが大切で、その問題を解ける実力をつけることが大切です。
仮に実力で100点分取れたのにミスが出て80点というのと、ミス無しで実力で80点はどちらが良いでしょうか?
多くの方は前者を選ぶと思います。
ここで「ミス無しで100点が良い」というのは無しです。
その両立は簡単ではないからです。
そういうことを踏まえ、まず、その問題に対して良いアプローチができているかのみに目を向けます。
それができていたら、ミスはプレッシャーをかけない程度に、上記12個のどれに当てはまるかを考えて、それを言葉で伝えて認識させるにとどめるだけで十分です。
ミスは原因究明だけで、ミスは絶滅するぞ!などと鼻息を荒くしなくても、「いいところまで行ったね」「やり方は分かっているんだね」という評価で進めていったら、やがてミスが減ったということが多いような気がします。
子どもが笑いながら「私はこういうミスが多いんです」と語れるようになれば、もう解決したと考えてもいいのではないでしょうか。
いつの間にか実力がつくことはなかなかありませんが、いつの間にかミスがなくなることは珍しいことではありません。
「ミスよりも実力をつける」
「ミスは具体的な言葉で原因探しと、その改善策を伝える」
この2点ができていたら、ミスでもったいないことをしたという意識は捨てても良いと思います。