- 2021年11月17日
塾講師時代、夏期講習の前後で大きく成績を伸ばした生徒さんがいました。
それもかなりの人数です。
逆に、伸び悩んでしまった生徒さんがとても目立つことになりました。
どうして夏期講習で伸びた生徒が多かったのでしょうか。
それはみんな算数を圧倒的な時間、勉強したからです。
例えば5年生でも午前中に2時間の無料授業で「演習中心の1学期の復習」
午後は1時間20分の「新しい内容」
午後の授業で、前日の復習テストを行い、身につけているかどうかのチェック
塾で3時間20分の算数の授業があり、家でも復習しないと、翌日の復習テストで点数が取れない
授業は毎日あり、それが1ヶ月続きます。
これで伸びない方がおかしいと言えるくらいの体制でした。
いまもそれが継続しているかどうかは分かりません。
継続していればお薦めの塾なのですが。
保護者会でも強調しましたが、午前中の無料授業が力がつく最大の要因でした。
午後の有料授業よりも時間も長いし効果も大きいという不思議なシステムでした。
どうして午前中の無料授業が効果があるかというと、レベルを下げ、ひたすら反復演習だったからです。
レベルの高いことは有料授業で、無料授業は反復中心というスタイルが好みだったからです。
既にしっかり身についている人は無料授業は参加の必要なしとしていましたが、
身についているから不参加という人はほぼいなかったと思います。
この「レベルを下げて毎日多量な問題演習」というのがキーワードだと思います。
これを現在の学習に生かす方向で考えてみます。
まず、力を入れる科目を決めることが重要です。
「算数!」と言う人が多いと思いますが、個人個人によって異なります。
一般的に算国理社の勉強時間の比重は、2:1:1:1くらいだと思います。
国語講師は、もう少し時間を取って欲しいと考えているようですが。
しかし、この比重は順調にいっている生徒さん向けです。
そうでない場合は、この比重を変えることを考えます。
算数に力を入れるならば、6:1:1:1くらいでも良いと思います。
そこで算数が軌道に乗ったら、次は算数以外でターゲット科目を決めて、その科目の比重を高めます。
つまり、常にバランスの良い学習としないで、重視するものを次々に代えていくという作戦です。
「食べ物はバランスよく食べましょう」
というのは健康の人に対するアドバイスです。
お腹を壊している人に、とんかつや天ぷらを勧める人はいないでしょう。
やや例えは良くないような気もしますが、「バランス良く」というのは誰にも当てはまる話ではないのです。
塾で担当講師間の横のつながりが取れていると、重点科目という話が出てくるかもしれません。
重点科目が決まり、徹底的にやろうとした場合、上記のように、レベルは抑えた方が効果が高いです。
イメージが湧くように、単元名を書きます。
「食塩水」、「損益算」、「仕事算」、「普通の割合」
この4単元の比重を高めるとした場合、「食塩水」の基礎から応用、それがクリアできたら「損益算」の基礎から応用、……
このような学習をすると、リズムがつかめずに、時間もかかり、
肝心な学習効果は低いというか、応用をやっているにもかかわらず応用ができないという状況になりがちです。
「食塩水」の基礎、「損益算」の基礎、「仕事算」の基礎、「普通の割合」の基礎
ここまで足早に多量の問題を解いていったら、集中学習は卒業です。
応用は集中学習が終わってから、1日1問などというように取り組むものです。
基礎はどこまで?というのは個々のお子様によって異なります。
ちょっと分かるとグイグイ解き進められるのが基礎です。
スカイプ指導でも1つ教えて、その類題を解いてもらうと、こんな馬力あったの?と思ってしまうくらいの勢いで解き進める生徒さんがいます。
教わった直後だからできるわけですが、集中して重点的に学習していけば、同じ次元で解き進められます。
「できるようになってきたから応用も!」と欲張ると裏目になりやすいので、気分の良い終わり方を目指すと良いと思います。
私はよく口癖で勉強は「終わりが肝心」と言っていました。
最近はほとんど言いませんが。
これは授業が終わったあとスッキリして帰る、質問が終わったあとスッキリして帰る、家の学習が終わってスッキリして寝る、
こういう日々の過ごし方を目指していくと、歯車が上手く噛み合っていきます。
親子喧嘩で勉強が終わるというのは歯車云々の話ではありません。
親子喧嘩になってしまったら、「よくよく考えれば随分できるようになっているから、この調子で良いかもね」と一言付ければ良いと思うのですが。
やや話が逸れてしまいましたが、まとめます。
勉強は4教科のバランスが大切というのは一部の順調の生徒さんへのアドバイスです。
「短期集中、レベルは易」これをキーワードに取り組む作戦はいかがでしょうか。
特に夏休みはそういうことができるチャンスです。
拘束時間の長い塾ならば難しいですが、可能な限り学習科目を絞ると良いと思います。
自宅学習はこういうアレンジが自由にできるのが利点だと思います。