- 2016年7月15日
最近、数人の保護者様に「中学受験で親がベッタリだと、中学生になって失速するんですか?」と聞かれました。
ツイッターで話題になっているらしいですが、流れが分からないので、それについてピンポイントの反論はできませんが、それを題材に書いていきたいと思います。
数年前から、「何を言うかよりも誰が言うかの方が重要」という言葉を聞くようになりました。
偉い人が言う方が説得力があるという意味だと思いますが、私は違った意味で、その通りだと思っています。
どの立場の人がどういう思惑で語っているかが肝心で、それを知りたいのです。
例えば、四谷大塚なら、サピックスに進学実績で負けている言い訳として「サピックスは中学に行ってから伸びない」などと入試報告会で言っています。
「うちの生徒さんはレベルが低い」とは言えず、かといって「うちは合格のノウハウが不足している」とも言えず、仕方なくそのような言葉を使っているのでしょう。
サピックスは合格実績は良いけど、うちに来てくださいと勧誘しているに過ぎません。
進学塾と中学以降の伸びについて、もう少し書いていきます。
どこの塾に限らず、テクニックをたくさん身につけて使いこなせる人と、テクニックを知らず自己流で解く人が同じ中学に進学したら、後者の方が伸びる可能性が高いです。
先に伸びたか、後に伸びるかの違いなだけです。
仮に統計で、サピックス出身の生徒さんの伸びが悪かったとしても、しっかりした体制で受験勉強した人は既に伸びているので中学入学以降伸びにくく、そういう子がどこの塾に多いかということが分かるだけです。
サピックスに行くと将来伸びないというのは詭弁です。
では、本題に入ります。
親が子に関わりすぎたら、どうなるかを考えてみます。
これは関わり方によると思います。
見ていて最も恐いと思うのは、お子様の考える機会を奪う保護者です。
少々手厳しいことを書くことになりますが、ご承知おき願います。
スカイプ指導などで、1対1で教えているとします。
教えると書きましたが、極力、考えて欲しいので、私は次のような質問を浴びせ続けます。
- 何をしたくなる?(模範解答は「展開図を描く」や「場合分けする」など)
- どの条件に目が行く?
- この条件から何を求められる?
- この数字から何を思う?
- これが求められたら、何を求められる?
やや誇張して書くと、生徒さんによっては苦悶の表情を浮かべます。
そのとき、保護者様が隣にいますと、助け船を出す方がいます。
「母親として苦しんでいる子を見るのが耐えられない」、あるいは「この子はこういう質問には答えられないことを親は知っている」という理由だと思いますが、考えるべきところを考えなければ、いくら教わっても暗記の学習になりがちです。
暗記の学習は、中学入試前にメッキが剥がれることもありますし、なんとか入試を乗り切っても中学生で失速することがあります。
理解できたとしても、実感が乏しいからです。
解いているときに、いま何をしているのかを実感できないと、中学以降の数学は挫折する可能性が高まります。
算数を学習している期間に、何を求めているのか、何を求めようとしているのかを実感しながら解いていくような学習姿勢にしておくべきです。
最近、スカイプ指導で、場合の数でとんでもない間違いを答える生徒さんがいます。
「そんなにあるの?じゃ、全部言ってごらん?」と指摘すると、少々言ってから、あっ!と悲鳴を上げ、正しい計算で答えを言ってくれます。
最初からそう考えれば良いのにというのは、ここでは不問にします。
いくつか言って間違いに気がつき、改めて計算で正答を求められるということは、どう計算すればいいか、書き出しが計算と直結した証拠です。
これを「実感しながら解いている状態」と言えると思います。
間違えた時点で「違うよ。これはこう考えるんだよ。」と言って丁寧に説明しても、生徒さんは吸収しないと思います。
覚えるのではなく、肌身に感じると言いますか、腑に落ちるようでないと身につかないと思います。
そのためには書き出しも有効です。
親が子に教えることは、マイナスではありませんが、説明を始めたら、最後まで行ってしまうというのは良くないと思います。
多くのお子様は途中からリラックスモードに入っていると思います。
途中で質問したり、このあとは自分で考えてごらんという教え方ならば、まったく問題ありません。
単純に、親が子に教えていたら中学生で伸びないなんて馬鹿な話はありません。
論理的に説明できません。
「考える機会を奪ったら、あとで伸びない可能性が高くなる」という意識で接するだけで十分だと思います。
月並みな言葉ですが、中学受験は親子の受験です。
「理解力が足りない」「根気が足りない」「管理力が足りない」「計画力が足りない」「分析力が足りない」「作戦力が足りない」「実行力が足りない」等、多くのお子様には足りないものがあります。
それを親が上手く補っていくことが、受験を乗り切るために欠かせません。
進学塾で実績の良くない塾講師は、言い訳としてトンデモ論を発射する傾向があります。
情報の発信者の狙いを探ると、いろいろなものが見えてくると思います。