- 2023年7月15日
日本人に限らないことだと思いますが、相手を傷つけないようにお世辞を使います。
受験生の保護者に、「志望校の合否はどうでしょうか?」と聞かれましたら、だいたい次のようなイメージで答えるのではないかと思います。
- 大丈夫でしょう…80%以上
- 行けると思う…60%くらい
- 五分五分です…30%程度
- 頑張ればチャンスはある…ほぼ0%
伝える人の性格にもよって少々変わりますが、私はこのくらいで伝えていると思います。
この先、順調に伸びていけばを想定しての回答とも言えますが、現実には、順調に伸びていく人が多いわけではありませんので、少し盛っていることは確かだと思います。
押さえの学校をきちんと考えて受験するなどで、このようなズレに起因する問題はないと考えていました。
しかし、ここのところ、本当にそれでいいのか?と思うようになりました。
受験生のセオリー(昭和の頃からの伝統)で、「1月になったら、新しい問題には手を出さず、復習に専念する」というものがあります。
私は2005年頃から、入試には新しい問題が出るんだから、1月は新しい問題をたくさん解こう!という姿勢で、セオリーに反しながら、結果は出してきました。
そのスタイルで指導していますと、1月に不合格になった子が、そこから、いままで、自然とできていたことができなくなることがよくあることを年々痛感するようになりました。
算数は1回リズムが狂うと、いままで自然にできていた発想が、違和感があるのか、妙に捉えて空回りして点数が大幅に下がる場合があります。
では、1月に大きくレベルを下げて絶対に合格する学校を受けた方が良いか?と思われるかもしれませんが、1月に合格しても2月1日に不合格ならば、そこからスランプが始まります。
1月に全勝して、いざ、2月1日という状況で、2月1日に不合格になり、その後、本領発揮できないまま終わってしまう子もいます。
1月も2月も大きくレベルを下げた学校しか受けないなら話は別ですが、そうでなければ、1月だけ易しい学校を受けても、まるで解決になりません。
不合格になっても動じない精神力を鍛えることが欠かせません。
不合格になると、どうしてスランプになるのかと考えますと、合格するための勉強をしているからです。
不合格になった途端、いままでの勉強が否定されたようになります。
それを防ぐためには、受からない可能性がかなりあるけど、勉強をすればするほど上手く行くかも可能性が上がるかもしれないというような、競馬の馬券を買うくらいの投機的な感覚が必要だと思います。
あくまでもご家庭とお子様の意向次第ですが、上記のアドバイスの際に、お世辞の逆で、厳しめに伝えるというのはどうでしょう?
「受かる可能性もありますが、私は、受からないと思います」
少なくとも私はこの台詞は言ったことはありませんが、こういう発言が必要なのではないかと考えています。
これを言われるとカチンとくると思います。
時々「塾の先生に受けても受かりませんと鼻で笑われたけど、合格した!」とSNSで書いている人がいます。
その人は、さぞかし塾講師の目は節穴だったと思っていることでしょう。
しかし、節穴だろうが、結果的に合格すれば、希望の環境で中高時代を過ごせるわけです。
講師は自分の目が節穴と思われようが、それを気にしても仕方がないと思います。
その言葉でデメリットよりもメリットが上回るならば、有りだと思います。
「受からないと思います」という言葉に対し、デメリットは、
- 傷つき、信頼関係がなくなる
- 受験校変更
- 自信喪失
だと思います。
ここを上手く解消することができれば、この厳しい評価の言葉も有効だと思います。
この言葉のメリットは、頑張ったけど、先生の言った通り、力及ばずだった。明日から、気持ちを切り替えて頑張ろう!
このように、自分の立ち位置に納得しているからことで、不合格になった場合も動じなくなります。
不合格のダメージは軽減できると思います。
気を遣ってお世辞を言う代償として、結果が出てからショックを受けるということは、受験に限らず、よくあることだと思います。
戦略的に、あえて厳しい評価を下されて、それをバネに頑張るというのは、受験の競争社会の中では有効なことだと思います。
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