4年生で偏差値45未満の場合

4年生は、新4年生の2月から入塾し、この4月に3か月目に入り、正式に学年が切り替わり、すっかり4年生らしく勉強をしていると思います。

塾でもテストを受け始めている頃だと思います。

今回は偏差値が45未満の子について書いていきたいと思います。

ここでいう偏差値は四谷大塚や日能研の偏差値です。

SNSでは、中学受験で偏差値が低い人に対して、地頭なんちゃらとからかうような書き込みをする人がいて、そういうのを見ると、自分の価値観でしか語ることができない幼さを感じ、それが同業者だと思うと、悲しくなります。

しかし、受験勉強の目標はどうであれ、偏差値45未満は、拙いです。

いまが黄色信号で、6月や7月までそれが続くようならば、赤信号と言っても良いと思います。

志望校合格の可能性の話でなく、現在、塾から何も授かっていないからです。

ただ塾で時間を過ごしているような状態です。

「それでも構わない」という方には、まわりがとやかく言う必要はなく、それはそれでいいですが、「このまま、この調子で進めていけば、やがて上がるのかな?」と期待されている方へは、赤信号ならば軌道修正した方が良いと言いたいです。

塾に相談すると、「授業は理解していますよ。まだテスト慣れしていないと思います。もう少し様子を見ましょう。宿題を丁寧にやってください」というようなアドバイスが返ってくると思います。

これでは相談しても意味がないような気がします。

低い偏差値の子のことを「地頭が良くない」と思い込んでいる人が多いですが、そうでないケースが多いです。

私はよくスカイプ指導で「人間、そんなに頭の良さは変わらないよ」と言います。

どちらかというと、できる子に対して「隙を見せず、きちんとやろうね」という意味で使っていますが、算数ができない子にも、「君が思っているほどできなくないよ」と思っています。

何回かブログで書いたことがありますが、私が小学生の低学年の頃、近所に足の遅い女子がいましたが、お父さんのアドバイスで、いきなり速くなり、私は抜かれてしまいました。

子供心に、ちょっとしたことで簡単に逆転できるんだと、衝撃を受けました。

勉強も足の速さと似たようなものだと思っています。

どんなにしっかりフォローしてもできるようにならない子はいますが、私はいままで塾や家庭教師で接してきた子で、そういう子は一人もいませんでした。

サピックスで働いていましたら、長尾君のような子を教える機会もありますが、そうでなければ、超トップ級の子も見たことがなければ、どんなにフォローしてもできるようにならない子も見たことがないと思います。

要するに、それほど大きな違いはないと言って良いと思います。

やってはいけないこと、やらなければいけないことは、ほとんどみんな共通しているということです。

ただし、個々の子に個性があるように、算数が好きな子と、嫌いな子に分かれ、好きならばどんどん上達し、嫌いなら上達しないので、差は開いていきます。

勉強嫌いで、何があっても勉強しない子は、勉強はできませんが、地頭がどうかは判断できません。

では、どうして偏差値45未満になってしまうかと言いますと、お分かりだと思いますが、幼いからです。

成長が少し遅れているだけのことです。

もう少し待てば、いまやっている学習は軽く理解して吸収するのに、いまやるから上手く吸収できずに、でも、テストがあるから、めっきを貼り付けている状態です。

このような状態で進めていくと、何か良いことが起きるのでしょうか?

少なくとも、勉強面においてはマイナスしかないと思います。

「拙い」と書いた理由はそこにあります。

小学1~3年生の学習でもそのような理由で質の低い勉強になって、すでに算数でビハインドとなっているかもしれません。

早めに対処すれば問題は解消します。

どうしたら良いかというと、家庭学習か個別指導に切り替えて、3年生の学習をすることを提案いたします。

そうしてしまうと、まわりの子たちにくらべて、遅れてしまうという気持ちになりやすく、このような提案は受け入れられないという保護者が多いと思います。

しかし、そういう作戦に切り替えていくことが、唯一の正しい選択肢だと思います。

家庭教師を雇った場合、「現在、塾で学習している内容を丁寧に教えるタイプ」と「その子にふさわしい学習に切り替えるタイプ」の講師がいます。

家庭教師は依頼通りに仕事をするのが道理とか、あまり深く考えていない場合は前者を選ぶと思います。

私は契約破棄を覚悟して後者を提案します。

よくブログで書いていますが、易しい内容の学習ではダメだと思っています。

易しい内容とは、出てくる数字を使って、単純な計算で答えが出ることが多いので、よく分からなくても解けてしまいます。

例えば暦の問題で、次のような問題が出たとします。

今日は日曜日です。100日後は何曜日ですか?

これは易しいです。

100÷7=14あまり2で、日曜日から2つずらして火曜日が答です。

これを説明したあと、確実に解けるようにと、200日後とか300日後とか1000日後の曜日を求める問題を解いてもらい、エビングハウスの忘却曲線といって、忘れないようにときどき反復していっても、意味がないと思っています。

この問題だけでは、応用に繋げていけないからです。

「今日の100日後」のあとは、「今日から数えて50日目」「今日の100日前」「今日から数えて10回目の日曜日」「来月の月末」「1年後の曜日」というように、どんどんレベルを上げていかないと、応用に繋げていく下地ができません。

1問目から難しいと、レベルを上げていくことができず、1問目の問題を反復するだけの学習になります。

偏差値が高い人は余裕があるから応用もやり、偏差値が低い人は応用は不要というのではなく、そのテーマをしっかり理解するために、誰でも応用まで進める必要があるという意見です。

先ほどの「塾で学習している内容を丁寧に教える」だと、その場では正解にできて、点数も少し上がると思いますが、もう少し長いスパンで見ると、点数は上がらないと思います。

上のように、「これができたらもう少し難しいものに進めてみようか!」として、5段階くらいレベルを上げていけるような学習が必要だと思っています。

そのためにはいま学習しているものに苦戦しているならば、半年前の学習や、1つ前の学年の学習内容に下げて、勉強していくことが、最も、その子にとってプラスになると思います。

それを続けていけば、6年生になる頃には、まわりに子たちに追いついている可能性も十分あると思います。

「勉強の追いつく」は「マラソンの追いつく」というようなものではなくて、履修単元がすべてマスターできれば、マスターした時期を問わず、マスターできなかった人をいつの間にか追い抜いたことになります。

あくまでもご家庭の考え方次第ですが、ご参考になる箇所がありましたら、幸いです。

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