- 2017年7月25日
奇をてらったタイトルにしましたが、間違ったことではない内容になると思います。
普通はテストで良い点数を取りたいと思うはずです。
テストで良い点数を取り続けることで、学力がどんどん上がって、目標に近づいていくイメージです。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
成績が上がってきた、成績が下がってきたという声をかなり聞きます。
また、中学入試の問題も、頭の良さを求める問題が増えました。
テストで良い点数を取ることが、頭が良くなることに繋がっているでしょうか。
テストで良い点数を取ることで、良いことがあるとしたら、下の4点だと思います。
- 鼻が高い(楽しく勉強ができる)
- 得意だと自信がつく
- 上のクラスでハイレベルな学習ができる
- 良い点数を取るための努力が学力を高める
①や②は心理的には大きいと思いますが、高度な内容になって、点数が下がったら、それは吹き飛びます。
良い点数を取って自信をつけることが先決とアドバイスをする受験業界の人もいますが、自信とは生ものというか、すぐにバブルとなってはじけて消えてしまうものです。
③は飛躍できるチャンスではありますが、無理に背伸びする学習になってしまうと、かなり高い確率で基礎の土台が作れません。
塾では上のクラスで、その場ではあまり身につかず、家で必死に基礎を固めるというスタイルの親子は少なくないと思いますが、本末転倒のような気がします。
④がポイントです。
学力を高める勉強ができているかです。
点数を取るための勉強と学力を高める勉強は、一致している子もいますが、一致していない子もいます。
解き方の手順を覚えて、それで解いていくスタイルだと、点数は取れますが、学力は高まりません。
保護者様からよく聞く言葉で「捻りに弱い」「複数の単元が融合されるとできない」というものがありますが、それは学力が高まっていないからです。
点数を取りたいという姿勢が、解き方の手順を覚える行動になり、学力が高まっていかないのです。
人間、大人でも子どもでも楽をしたいもので、楽に点数が取れるなら、そっちの方が良いと思いがちです。
昔はテレビを見るときに、テレビのもとに行ってチャンネルを回してチャンネルを変えたものです。
それがリモコンが普及すると、テレビまで行ってチャンネルを変えることはもの凄く面倒な行為だと感じます。
解き方の手順を覚えれば、点数が取れて、周りの大人から立派と褒められ、クラスは上がり、周りの友達も「あいつすげえ!」と感嘆の態度を取ります。
その行動で良い思いができるのなら、解き方の手順を覚えるだけではダメだと言っても、納得しないと思います。
しかし、子どもでも、本当はその姿勢ではダメだと分かっていると思います。
何を求めているかよく分からない解法で正解にしても、炭酸の抜けたコーラを飲んでいるように白けるのではないでしょうか?
成績が良くて算数には自信があるのに、あまり好きではないという子は、考える楽しさを味わっていない覚える算数になっているから白けている可能性があると思います。
成績が良ければ、それだけで好きな教科になる子もいますので、好き嫌いだけで学習傾向を決めつけることはできませんが。
スカイプの生徒さんで、覚える算数になっている子に、かなり厳しく、それではダメだと、2~3か月くらい、あの手この手で伝えたところ、覚える算数は気持ちが悪いというようなことを言うようになりました。
テストの点数という数字の魔力で、しっかり理解していない解法で解くことがおかしいという感覚が薄れます。
とても怖いことだと個人的には思います。
上のスカイプ指導の生徒さんは、何が正常かに気づき、その後の状況はすこぶる順調ですが、正常か異常かが分からなくなる子どもが多いと思います。
テストの点数を目標にすることは危険だと思っていますが、どうしたら良いかを書いていきます。
点数ではなく、どういう書き方をしてテスト時間を過ごしたかに目を向けることが大切です。
スカイプ指導で、解き方が良くなっていると、ミスが多かったり最後まで解き切れなくて点数が物足りなくても、「ちゃんと書いているね、これから上がっていくよ」と評価し、その予言通り、いつの間にか成績も上がっています。
ちゃんと書いていると言われ続けている子で、成績が伸びなかった子は記憶にありません。
「こういう問題はこういうように書いて考えると解ける可能性が高い」
このように大雑把に捉えて行くスタイル(個人的にファジー解法と呼んでいます)ができれば、解法力は上がります。
事細かに解く手順を覚えるから、捻られると通用しないのです。
ファジーで捉えれば、大雑把なだけに、捻りにも対応しやすいです。
多様性を認めることができる人間の包容力のようなものです。
しかし、そのファジー解法は、4・5年生くらいの算数ではなかなか活躍できません。
問題を見た瞬間に電光石火のごとくその問題に最適な解法が浮かび、その解法を素早く正確に使える子には勝てません。
覚える算数には先行されると思います。
しかし、ゆくゆく、パッと見て、ベストな解法が思いつかない問題の比重が高まってきたらどうなるでしょう。
後伸びとか、大器晩成とか言われると思いますが、それまでの学習でファジーで捉えることができていたからだと思います。
正解にならなくても、考え方が伝わるものが書けていたら、解いている子自身も、まずまず上手く考えて、良いところまで解き進められているので、それで問題はありません。
そういうものを書くことで、どんどん基礎が固まっていきます。
「点数に拘らず、答案の中身が良いものになっているかだけに拘る」この姿勢が学力を高めることになると思います。