- 2018年7月20日
裏技というのは難しいです。
何が難しいかというと、どこからどこまでが正攻法で、どこからが裏技になるかという判断です。
市販の裏技集みたいなものの大半は、中学受験の算数の正攻法で、塾で教わるものです。
どうして裏技集として販売しているかは、教材をたくさん販売したいからだと思います。
塾の授業であまり扱われないものを裏技としますと、そういうものも存在します。
中学への算数の解説や、特集を読んだり、ネットをいろいろ見てまわると、いろいろな裏技を目にします。
私は知らない方だと思います。
なるほど!それで答えが出るんだ!と思うこともしばしばあります。
しかし、肝心なことは、その裏技を知っていると、受験で有利になるかです。
裏技をたくさん知っていても、入試の得点力が高くならなければ「裏技博士」というあだ名がついて終わりです。
ときどき、難関校の平面図形で、これ、三平方の定理を使えば解けるけど、算数の考え方は思いつかないという問題があります。
三平方の定理を裏技と呼んでいいものか、作問者の意図は?といろいろ考えさせられることはありますが、難関校を目指すのであれば、三平方の定理はある程度使いこなせる状態にしたいです。
とは言いましても、確率で言えば、そういう問題が出題される確率は1%くらいだと思いますので、不要と言えば不要です。
入試が終わったあとに、合格者に「この問題、出来たの!」と感嘆するときがありますが、それは上手く考えられて解けたときで、裏技を使ったからできたというケースは記憶にありません。
私の結論としては、裏技を使っても正解率は変わらず、解くスピードは少々増す可能性はあるということです。
例えば、次のような問題があります。
円周に6個の点があり、サイコロを振って出た目の数だけ時計回りに進みます。
スタート地点にちょうど戻ったら終わりです。
1回目に3が出て、2回目に4が出て、3回目に5が出たら、スタート地点に戻れるので2周して終わりとなるような設定です。
4回サイコロを振って終わるのは何通りですか?という問題にします。
これは5×5×5×1=125通りになります。
毎回、ゴールしてしまう方法が1通りあるので、5通りが終わりにならず、4回目だけ、ゴールする方法が1通りあるので、このような式になります。
これを「裏技」と言う人もいるかもしれませんが、私は「解き方を知っている」と言います。
これをいきなり生徒さんがこの解き方で解けたら「この問題やった経験ある?」と聞きます。
「いいえ」と答えたら「いま考えたの?」と聞きます。
中学への算数で出てくるレベルの裏技ならば、「いま考えたの?」とは絶対に聞かないと思います。
ここまで書いてきて、私の中で少しすっきりしました。
このブログを書く前の裏技についての印象と、今では少々異なってきました。
- 「裏技」とは…答えが出る計算式を身につけること
※三角形の面積や円錐の体積などもその式の意味が分からなければ裏技の一種となりますが、みんなが学習する内容なので、裏技と呼ばないと捉えます。
「解き方を知る」とは…考え方を身につけること
上記の5×5×5×1は計算式を覚えるわけではなくて、毎回1通りの方法でゴールでき、5通りの方法でゴールできないと考えられるから、5×5×5×1となるというように考えて解きます。
答えが出る計算式を身につけるとはちょっと異なります。
裏技には弊害があると思っていましたが、いまのように、答えが出る計算式を身につけることが裏技という定義ならば、弊害があることの理由もはっきりします。
仕組みを考えずに式だけを覚える算数になるからです。
解き方をたくさん知ることはとても重要です。
しかし、いきなりやみくもに吸収すると学習バランスを乱します。
6年生の夏までは、小6対話式算数に載っているくらいの解き方でも十分過ぎるほどです。
6年生の夏以降に、もう少し増やせたらベストという感覚で良いと思います。
6年生までは、遠回りかもしれないけど、いままでの知識を使って解くという訓練も大切だと思います。
6年生の夏までは解き方の知識はあまり増やさずに、夏から「いままでこう解いたけど、これからは、こうやって解こう!」という流れを増やせると良いと思います。