自分の解ける型に落とし込む

反復練習用のコピー機、ちょっと待って!

算数は典型題が解けるようになることから始まります。

反復反復で典型題を身につけていくことも大切です。

Twitterを見ていますと、A3のコピー機を買ったというタイムラインが流れてきます。

何回も反復するために大きなA3のコピー機を買ったということだと思いますが、反復で伸びる子もいれば伸びない子もいます。

伸びるというのは、典型題以上の問題まで出来ることになります。

典型題までだと、頭打ちという印象になると思います。

典型題に始まりますが、典型題で終わってはいけないということです。

反復で伸びる子と伸びない子の見分け方は簡単です。

いま、正答率がまずまず低い問題を正解に出来ていれば、反復で伸びている子で、正解に出来ていなければ、反復で伸びない子と判断して良いと思います。

この状況を打開するために反復練習というのは、ちょっと違うと思っています。

典型題が解けないから、とりあえず典型題だけでも固めるという下位クラスの生徒さんならばコピー機作戦は有効ですが、中堅クラス以上になると典型題は解けるのに、そこから少し捻られると解けなくなるという悩みだと思います。

反復で伸びない子は、さらにしつこく反復してもその部分は鍛えられません。

良問でした

昨日、スカイプ指導で次の問題を扱いました。

初め、育男君のお小遣いは妹のすみれさんの3倍ありましたが、おばあさんから育男君は400円、すみれさんは250円もらったので、育男君のお小遣いはすみれさんの2倍より450円多くなりました。初め、2人はお小遣いをいくら持っていましたか。

2009年・奈良育英B

倍数変化算(比の消去算)のようですが、おばあさんからお金をもらった後、育男君は妹よりも450円多くなっているのが厄介です。

倍数変化算とは、初めの比が「○:△」と分かっていて、変化後の比が「●:▲」と分かっている問題です。

このような450円があると、倍数変化算の形とは言えません。

ここで都合良く考える必要があるのです。

7月4日に書いたブログに通じる話です。

ポイントを当てる勉強

これを「育男君が450円多いと考えにくい」→「450円減らしちゃえ!」と考えます。

おばあさんからもらった金額を450円減らすというわけです。

おばあさんからもらったのは400円だったので、450円減らすということは、逆におばあさんに50円あげるとなります。

違和感が少々ありますが、気にせずに下のような問題文に変えます。

初め、育男君のお小遣いは妹のすみれさんの3倍ありましたが、育男君はおばあさんに50円渡し、すみれさんはおばあさんから250円もらったので、育男君のお小遣いはすみれさんの2倍になりました。初め、2人はお小遣いをいくら持っていましたか。

すると、倍数変化算の超典型題になったので、その知識が身についていたら解けることになります。

設定変更がすべての鍵を握る

ここで大事なことは、条件が狂う設定変更は出来ませんが、問題の生じない設定変更は可能ということです。

算数が苦手だと、

  • 設定を変える意識がない
  • 怖くて設定を変えられない
  • どういう変更なら可能か判断が出来ない

という状況だと思います。

ときどき、算数がいきなり出来るようになる生徒さんがいます。

あるいは、大して教わっていないのに、自分で工夫して解ける生徒さんがいます。

共通して言えるのは「設定変更の仕方が身についた(ている)」ということです。

割合の文章題だけで無く、速さにも、平面図形と比にも、あるいは数系の問題にもこの設定変更は必要です。

簡単な例で言えば、等積変形も設定変更です。

反復練習で、設定変更が身につけば、反復練習が効果があると言えますが、設定変更は設定変更の練習をした方が無難です。

私が良問と思う問題は、設定変更を出来ると、単純に解ける問題が多いです。

そして、私の教材(集中シリーズ)には良問を載せるようにしています。

間違い直しでも設定変更を意識する

設定変更が必要な良質の問題を解くことも大切ですが、それ以上に大切なのは、解けなかった問題で、「こういうように設定を変更できたんだね」と納得することが大切です。

塾で扱った問題で間違えた問題を家で解く機会はとても多いと思いますが、漠然と解いても効果が低いです。

「設定変更できる問題だった」これだけで十分かもしれません。

設定変更に必要なのは、理由です。

結果論では無く、どうしてそうするかです。

上記の奈良育英の問題ならば、育男君が450円少なければ倍数変化算になるから、450円減らすように設定変更できないかな?と考えることです。

理由は「倍数変化算にしたい」からです。

問題を前に、強気な姿勢で「自分の解ける型に変更する」という意識が必要です。

謙虚に「問題文様の言う通りにします」ではなかなか上達しないと思います。

問題を見下ろすくらいの姿勢で良いと思います。

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