なぜ計算式を書くのか
算数とは切っても切れない言葉に「式を書きなさい」というものがあります。
みんなが言うことだから染みついてしまっていると思います。
例えば、半径が4cmの円の面積を求めなさいという問題があったとします。
4×4×3.14=16×3.14=(中断で筆算で求める→再開)50.24
16×3.14のあとは暗記している場合もありますが、その前の4×4×3.14は書く人が多いと思います。
これ必要?と私は思っています。
4×4=16は軽く暗算できるので、16×3.14を経験則で覚えている人は、何も書かずに即50.24、覚えていない人は、いきなり筆算で良いのではないでしょうか。
式を書きなさいという理由がよく分かりません。
もちろん、リズムで書いている子に書くのは駄目とは言いませんが、義務で書く必要はなく、極力、暗算と筆算で乗り切った方が良いと思っています。
途中式とは、言語みたいなもので、相手にこう辿ってきましたという証拠を見せるものです。
見せる必要が無ければ書く必要はありません。
書いてはいけないわけではなく、計算式以外のものでも、自分の役に立つものを書けば良いと思います。
問題によっては式で整理した方が良い場合もありますので、そういう場合は書いた方が良いですが、いつでも書かなければならないものではありません。
例えば、私が入試問題を解くときは、基本的に式を書きません。
表か、もしくは答えだけを左から右か、上から下へ流れるように書いていきます。
図形の問題ならば、電卓を使う場合は答えを図に書き入れるだけです。
他の講師が予習などで解いているのを見ると、式を書いている人もいれば、書かない人もいます。
何を書いたらわかりやすいかというものが個々で異なるということでいいのではないでしょうか。
ノートに計算式を書く
長い前振りとなりましたが、今回の主題はノートの取り方についてです。
ノートに黒板の計算式を写す生徒さんが多いです。
家で保護者様が担当講師の解き方をチェックする目的ならば仕方が無いですが、学力向上を目指すならば、意味のない行動です。
私は英語がまるで駄目なのですが、何かあったときに、後で調べてみようとして、英語をメモすることがあるかもしれません。
そのくらいの感覚です。
なぜ、ノートに黒板の計算式を写すのでしょうか?
それは、計算式が大切と言われ続けてきているからだと思います。
大切なものを書かなくちゃ!という健気な気持ちです。
スカイプ指導で「こう書くと良いよ」と教えて、改良してもらえることは多いですが、「それ、式無しで暗算でやったら?」というアドバイスは、その場ではハイと返事をもらえますが、なかなか変わりません。
算数=計算式が大切
これが染みついて、ちょっとやそっとのアドバイスでは変わらないと思います。
恐怖政治で変える!というほどのことではありませんので、染みついているものは抜けないなと思って終わりです。
計算式ではなく、流れ
ですが、塾の授業でノートを取るときは、計算式を書くのは辞めた方が良いです。
もっと意味のあるものを書いてください。
それは「流れ」です。
「Aの条件からBが分かる→BからCが分かる→CからDが分かる」
こんな感じです。
具体例も書いてみます。
50円、80円、90円の3種類の切手を合わせて30枚買うことにした。50円切手と80円切手の枚数を同じにして、代金の合計を2000円にするには、90円切手を何枚買えばよいか?
3段面積図で解いても良いですが、平均を利用してみます。
50円切手と80円切手が同数
↓
65円切手に変える
↓
65円切手と90円切手でつるかめ算で解ける
この問題ならばこのくらいです。
計算式や面積図をノートに写すよりも、同数に注目して、平均の65円切手に変えていることが、鮮明ではありませんか?
その場でも鮮明になることで身につきやすく、家で見ても思い出しやすいと思います。
式や面積図などの答えまでのプロセスをまるごと覚えるという暗記の算数ではなくなります。
流れを書くことで、脱暗記算数になるというわけです。
いままで点で覚えていたものが、線で覚えられるような感覚です。
算数だけでなく、国理社、特に社会で有効だと思います。
いや、理科も生物や地学で有効です。
国語も有効です。
全部とても有効ということになります。
新教材鋭意作成中です
私の教材はメイン教材は対話式ですが、この先、この「流れ」を取り入れた解説も増やしていきます。
大手塾の解説書でやっていますが、とても好評です。
8月頃には全単元を網羅した四科のまとめのような教材を販売したいと思っていますが、売りは、流れの解説です。
フロー解説と名付けました。
対話式は、2013年から書き始めていますが、大学受験の参考書を見て、取り入れました。
その後、中学受験の参考書でも対話式を見るようになりましたが、私が始めたときはそういうものは1冊もありませんでした。
フロー解説は、完全にオリジナルです。
この教材を購入してくださって取り組んで下さった方は、解けない場合は、流れだけ写しましょう。
しっかり枠で囲みますので、どれが流れか分かります。
昔、サピックス時代、解けない問題はどうすれば良いですか?という保護者からの相談に、先輩講師は「解説を丸写ししてくれれば出来るようになります」と堂々と言っていました。
有名な和田氏もそんなことを書いていましたので、興味深かったので実験してみたい気もしましたが、失敗したら申し訳ないので、試したことはありません。
仮に、それが意味のあることだったとしても解説をすべて写すのは、大変な作業です。
流れだけ書いて、身につける方がはるかに楽で、重要部分を抽出しているので、純度が高くなっているので効果が大きいと思います。
楽で効果が大きいなんて、なんと素敵な話だと思います。
全単元網羅の教材の概要をもう少し書きます。
6年生で、基礎が抜けているから5年生の内容に戻らないと!と思っている方用の教材です。
実際に5年の教材に戻るのは不可能です。
時間が足りません。
「これを身につければ6年生のいまのラインに立てる」という基準で、全単元から問題を250問選びました。
1日8問やれば1ヶ月で5年生の総復習と言いますか、いま必要な基礎力を身につけられます。
これから毎日解説を書いていきますが、1ヶ月くらいで書こうと思います。
フロー解説です。
基礎が抜けているから5年生の内容に戻らないとと思う人は、例外なく、暗記の算数で身につけていたものを忘れてしまった、あるいはこんがらがってしまったということだと思います。
流れで理解すれば、解決に向かうと思います。
6月末に、私が悪いのですが、とても悲しいことがあり、心と時間がぽっかり空いてしまいましたので、そのエネルギーをすべてフロー解説に注ぎます。
弔い合戦みたい意識です。
まとめ
夏期講習は塾の授業の密度が高まります。
そこで、いままでと違うノートの取り方で、学習効率の高いものになれば、劇的に改善する可能性もあります。
「計算式ではなく、日本語で流れ」です。
論理的に身につけるには、日本語で身につけることが大切です。
式では特別に優秀な人しか身につかないと思います。
あくまでも個人的な意見ですので、ご了承願います。
ノートの取り方を変えてみて、好転したという方がいらっしゃいましたら、喜びの声をお伝えいただけましたら、幸いです。