- 2017年9月21日
算数の学習というと、「問題を解く」「解説を読む」「解き方を覚える」が3本柱です。
しかし、典型題を解き、解けないところは解説を理解しようとし、理解できたら解き方を覚えるようにノートに式を書いて答えを出すという学習を続けていきますと、問題を考える時間はほとんどないことになります。
問題の質によりますが、問題に書いてある条件を使って解くというだけでは、ほとんど考えないで解いていると思います。
考えるとは、以下のようなことです。
- 複数の解き方ができるけど、そのうち楽な解き方を探す
- 逆から考えてみる
- 設定を変えてみる
- 答えが出た後や書き出していく間に、問題の仕組みが分かる
- どう書いたら考えやすくなるか工夫して書く
- 問題の数値などから、きっとこういう問題だろうと予測をする
- 誘導問題と予想し、その答えの使い道を考える
ちょっと抽象的で分かりにくくなってしまいましたが、いずれも能動的にとらえています。
マニュアル通りに解くのではなく、その問題にふさわしい解き方を考えていることがポイントです。
経験済みの問題や、塾で解き方を教わった問題を、解き方を思い出し、そのまま再生している学習は考える学習とは異なるものだと思います。
典型題だけ解いても、考える力をつけられない人が多いと思います。
考えて解く必要がある思考力問題をやって、考える力がつきます。
現在、通塾している方は、1週間の教材で、どれが考える力をつける学習になっているかを振り返ってみると良いでしょう。
多くの方は「まったくない」となると思います。
中学受験の勉強は、「典型題を解きながら考える力をつける」、「典型題ができる人だけが思考力問題を解く」という流れになっています。
乱暴な言い方をすると、典型題ができないなら、考える力をつける資格がないというような扱いになっています。
典型題を身につけることも大切ですが、考える問題をしっかり考えることも大切です。
「まず典型題!」「典型題ができなければ思考力問題は不要」
こういった姿勢に私は反対です。
野球が上手くないなら、キャッチボールだけしていろ!と言われていることに近いかもしれません。
英語を話すならば、文法を徹底的に学ぶ!の例の方がふさわしいかもしれません。
文法の習得と英会話を同時にやらなくてはいけないのはお分かりだと思います。
典型題が身についていなかったとしても、別次元ですので、考える練習を取り入れて、バランス良く学習した方がいいと思います。
話が変わりますが、塾講師に懐く生徒さんは大抵、学力を伸ばします。
子供のような幼い塾講師だとそうはなりませんが、講師と生徒の関係を常に意識している講師ならば、講師と雑談することによって、力をつけられます。
それは講師が適切な発問をすることにより、考える幅が広がるからです。
思考力問題をやるのと同じような考える練習の時間となっています。
典型題の学習のように、この問題はこう解くというようなマニュアルを覚える学習ではなく、「こういうときはこうすると上手くいくことが多い」というようにファジーに考えられるようになると、考える力がついたことになります。
講師に懐いて、講師と会話したり、考える問題を解くことで、このようなファジーな姿勢が身につくと思います。
例えば、生徒さんが、雑談で「ニュートン算苦手です!」と言ってきたとします。
私「2つ並べて書く習慣ないの?」
生徒「それはやっていますよぉ」
私「差を考えればできるんじゃないの?」
生徒「そんなに簡単に言わないでくださいよ」
こんなようなやりとりがあり、その数日後、その生徒さんに「ニュートン算できるようになりました!」と言われたことがあります。
雑談のような会話で、考える幅が広がったり、大切なポイントをシンプルに整理することができると思います。
5年生には、当教材の小4用の考える問題をお薦めします。
小4グランプリ算数
理由は、ハードルが低く扱いやすく、考える練習ができるからです。
小5用ができるならば、それに越したことはありませんが、小4用でも十分効果があります。
扱い方は簡単です。
頑張って答えを出さなくても、問題の意味が分かってさえいれば、解説をしっかり読むだけで、考え方の幅が広がります。
解き方を身につけるよりも、こういうときはこうするというものがつかめれば良いと思います。
典型題では身につけられないものが身につくはずです。
典型題が得意なだけでは、入試で頭打ちになります。
難関校合格は難しくなります。
ぜひ、典型題の習得の学習と、考える問題を扱う学習をバランスよくやってください。