- 2021年3月10日
表題から、かなりマニアックなブログになりそうな予感がするかもしれませんが、そうでもありません。
一応、単元名はどんどん出てくるので、そこでイメージが湧かないと、マニアックに感じるかもしれません。
現在、小5対話式算数の改定作業に力を入れています。
数日前に第57話「逆比」の第1次改定が終わったところです。
逆比だけに絞った単元があるカリキュラムというのも自慢のポイントです。
第58話は分配算の予定でした。
分配算は、2016年版までは小4の対話式算数で扱っていました。
和差算で線分図を学習し、もう少し線分図を学習しようという狙いです。
分配算なので「○倍」というものが出てきますので、割合や比も学習しないうちから、丸数字が登場します。
それは、仕方がないことということで、小4で扱っていました。
大手塾のカリキュラムでもそうだと思います。
小4で分配算という単元名がたいていあると思います。
ところが、線分図を軽視してみると、何も分配算を小4でやる必要はないということになります。
割合と比を学習した後にやればいいことです。
従来の小4で学習したときの分配算は
- 2本の線分図で表そう(1)
- 2本の線分図で表そう(2)
- 3本の線分図で表そう
- ○倍より多い・少ない
- 差が変わらない
という5テーマでした。
5年生で割合と比を学習した後で、分配算が登場すると、1と2は割合と比の「和差比」と同内容で、3は「連比をつくって解く」と同内容で、5は「割合の差を考える」と同内容になります。
4も同内容が割合と比でも扱われています。
つまり、分配算は学習しなくていいことになります。
単元を消滅させるよりも、5年生で扱う割合と比から分配算らしい問題を集め、そこで1話つくり、割合と比は、和洋折衷にならないように、シンプルなものに変更できました。
そして、分配算のダブりを解消しているので、余裕ができ、そこに6年生の割合から数テーマを移動しました。
こうやって文字にしてみると、改めて、今回の改定は正解だと思います。
改良だと言い切れます。
どうしても、小4で線分図をしっかりやりたいということであれば、正しい判断ではありませんが、線分図を軽視している方針なので、これがベストです。
よく言われる「中高一貫校は、中学と高校でやるダブりの単元を1つにできるから無駄が減り効率が良い」というのと同じことです。
最近、和田秀樹氏のコラムを読んで合点がいくことがありました。
「スポーツ医学は、昔は水を飲まないことが良いとされていたけど、いまは180度変わっていて信用ならない」ということに対し、和田氏が憤慨しているようなコラムです。
和田氏は、間違えているものは変わっていくのが正しく、変わらない方がおかしいが、変わることに対して抵抗のある人が多いのが残念という内容です。
これを進学塾に置き換えますと、一般的には、大手塾のカリキュラムやシステムなどが王道だと思われていると思いますが、中に入って働くと、変革するパワー不足でずっと変わらないということが多いです。
コストがかかると言われると、何も言えなくなってしまいます。
おかしな方向に行っても、社員一同同じ方向に向いて行くしかありません。
気に入らなければ退職するだけで、やはり、並の従業員の力では何もできずに、おかしいと思いながらも組織だから仕方がないと諦め働いているのが現状です。
カリキュラムや解説でおかしいところがあっても、滅多に変わることはないでしょう。
サピックスがずっとテキストやカリキュラムが変わらず、四谷大塚は10年に1度しか変えないのはそういうことです。
四谷大塚にしてもサピックスに似ていくだけです。
「サピックスと同じにする」と言わないと説得力がなく変える力にならないのでしょう。
おかしいと思ったら、即変更した方が、洗練されたものになると私は思っています。
今回の分配算の例でいえば、それで、割合の回がシンプルに区分けされスッキリし、尚且つ6年生で学習することの一部を持ってこれたので、いいことずくめです。
本来は、最初から入念に検討を重ねしっかりしたものを作るべきですが、それがなかなか難しいのです。
パソコンやスマホでも同じことだと思います。
1年たつと、これだけスペックが上がるなら1年前からこのスペックにしてくれよと誰でも感じると思います。
しかし、日々の研究の継続の結果1年で大きな進化を成し遂げているのだと思います。
年々改良されている、自学自習用の教材の対話式算数を是非よろしくお願いたします。