親が算数を教えるならば

大手塾で学生講師をアルバイトで採用するときは、中学受験をしていたかどうかを重視すると思います。

算数は数学とは違いますので、それを体験したかどうかが重要というわけです。

「算数は小学校で日本国民全員やっているでしょ?」

こんなことを言う人はいないと思うほど、中学受験の算数は小学校の算数とは異なるものです。

 

算数と数学の話の違いになると、真っ先に「算数は方程式を使えないから」と言い出す人もいますが、それは違います。

方程式が禁じ手になっているわけではなく、そういう問題の出題は少ないし、その解き方が染みつくと解きにくい問題があるからです。

方程式を使わないことを前提に出題しているのに、方程式を使ったら解きにくいことは容易に分かることだと思います。

スプーンで食べること前提の食事のカレーライス(大袈裟にスープカリーにします)を、「日本人は箸!」ということで箸を持っても上手く食べられません。

それと同じような話です。

また、小学生にとって方程式は理解しにくいということもあるかもしれません。

 

中学受験を経験した・しない関係なく、教えることは簡単なことではありません。

予習のときに、教え方を考えながら解かないといけません。

経験が浅いと、予習のときに答えを出すことしか考えていないかもしれません。

しっかり教えようとするけど、教え方が分からない場合は、塾講師なら先輩に聞くのが1番です。

 

私の前職では、算数・理科兼務制でしたが、算数を教える専任講師が1つ屋根の下に7~8人くらいいました。

聞きやすい先輩に聞ける職場でしたが、そのような塾はとても少ないことでしょう。

算数専任1人と学生何人かで切り盛りしている塾が多いと思います。

 

私は、予習シリーズの準拠塾で塾講師を始めましたので、予習シリーズの解説を見て教え方を考えましたが、理解するのはできますが、教え方まで鮮明に分かるというところまではいきませんでした。

それは当然のことで、塾教材でも市販の参考書や問題集でも、解説は、解き方を理解することが目的で、指導ガイドを目的とはしていないからです。

 

4年生や5年生の前半までは通塾していても、家で保護者様が教えることが多いと思います。

その教えるスキルが重要です。

塾や塾講師によっては、そのスキルをほぼゼロ、あるいはマイナス(妙な教え方をする)として、「親は教えないでください」と平然といいます。

「分からないところは質問してください」と結びますが、それをきちんと守ることで、お子様が伸び悩む原因となる場合があります。

 

土日朝から、平日毎日夕方から夜10時くらいまで自由に質問できる環境ならば「分からないところは質問してください」と言って良いと思いますが、そんなことができる塾はありませんので、答えのない問題を解けというようなアドバイスです。

 

お子様が理解不足ならば、早期発見・早期解決で傷口が広がらないうちに対処することがベストです。

クルマのスポーツ走行が好きな人から絶大な支持をされていた緑のシートベルトでお馴染みの「タカタ」も傷口が広がる前に対処していれば、ここまでのことには至らなかったと言われています。

つまり、お子様がつまずいたら、すぐに解決できるように支えていくことがベストです。

塾で教わってもよく分からなかった問題ですので、簡単にお子様が理解できる問題ではありません。

 

余談になりますが、前職で、職員室に生徒さんがやってきて「算数の質問があるんですけど」と言うと、国語の講師が大声で「算数の先生いますか~」と呼ぶのですが、それはやめて欲しかったです。

それで算数の講師が解決できないと、生徒さんからするとたらい回しにされていると思われかねません。

 

解決できないというのは、その問題を解く力がないということではありません(教える力がない場合はあるかもしれません)。

ノートや配付されている解説を持参しないで質問にきた場合は、担当講師がどう教えているか分からないので、関わらない方が良いと思うことがあります。

6年生の難問の質問の場合は、どういう目的で、担当講師がその問題を課しているか真意が分からないので、関わらない方が良いと思うことがあります。

いくつかの条件がそろった場合は教えますが、結局は「どういう質問?」→「それなら担当の○○先生に質問した方がずっといいよ」→「△△君が質問にきたことは○○先生に伝えておくよ」の3語だけ言って終わりということが多かったです。

この3語くらいは国語の講師も言えないものかな?と思っていました。

 

余談が長くなりましたが、いよいよ本題です。

保護者様がお子様に算数を教える場合はスキルアップの必要があります。

よく、「主人は数学が得意だから、算数は主人がみています」と言われますが、本当に大丈夫なのかな?とそれを聞くごとに思います。

 

前述しましたように、中学受験の経験、中学・高校・大学の学歴では、自身では解けたとしても上手く教えられるとは限らないからです。

下剋上受験で、私が疑問を感じている点はそこです。

どうやって難関校の問題を教えるスキルを身につけたのかです。

 

せっかく教えられるのでしたら、もちろん効果の高い教え方をした方が良いです。

ゼロまたはマイナスは避けたいです。

でも、教え方はどうやったら身につくのでしょう?

 

私も含め塾講師は場数を踏んで教え方を身につけました。

「これで理解させられなかったな」→「じゃ、次はこうやって教えてみよう」

大きな声では言えませんが、そういうことの連続です。

さすがにいまはそれは少ないですが、ないわけではありません。

対話式算数を改訂している理由はそれです。

 

保護者様が場数を踏むというのはもちろん不可能です。

そうしましたら、解説を読んで上手い教え方が分かるものを使うのが最適です。

現在、そういうものを所持していない場合は、ぜひ対話式算数をご利用願います。

教えるスキルアップのバイブルとしてのご利用であれば練習問題は不要だと思いますので「本編のみ」で良いです。

将来的に苦手科目にならないようにするには早期発見・早期解決が絶対必要です。

4年生のお子様に教える機会が多くなりますので、お子様が2~3年生の間にぜひ目を通しておくことをお勧めいたします。

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