- 2016年5月10日
スカイプ指導で流水算を教えました。
速さが一通り終わると、流水算、通過算、時計算を学習する塾が多いです。
対話式算数もそれを踏襲しています。
難度が高い順に並べると、通過算>時計算>流水算だと思っています。
時計算と流水算はほとんど同じレベルです。
両単元とも難しくはなく、算数全体でいうと簡単な方だと思っています。
ところが、塾講師として授業をしていたとき、
失礼ながら、「えっ、これを理解できていないの?」と思うことがよくありました。
ひさしぶりにクルマの話を書きたいのですが、サーキットでクルマを走らせるとき、いつでもアクセル全開というわけにはいきません。
コーナーに入る前はブレーキをしっかり踏んで減速して、曲がったあとはアクセルを踏んで加速をしていくわけですが、
焦って早くアクセルを踏んでも速く走ることができません。
そのクルマに適したアクセルの踏み始めるポイント(コーナーの位置)、踏み込む量が決まっています。
難しい世界なので詳しく書くことは難しいですが、簡単に書くと、きちんと向きが変わってからアクセルを踏み込み、向きが変わっている最中はアクセルもブレーキも踏まない状態を作ります。
クルマと対話して、アクセルを踏める状態になるまでは我慢するということになります。
生徒さんにとっては、流水算はすぐに理解できるわけではなく、しっくりきて理解し始めるまでの時間が必要です。
クルマが向きを変えている最中のようなものです。
それを無視してというか、集団授業で標準の生徒さんに合わせて進めていくと、理解し始める状態に達しない子は理解不足で授業が終わり、流水算は苦手となってしまいます。
スカイプ指導は1対1なので、もちろん生徒さんに合わせます。
生徒さんがしっくりきて理解できる体勢まできちんと待ちます。
そうすると、このスピードで学習していけば、普通にたやすく理解できていくんだと実感します。
スピードはひとりひとり異なります。
難しくはないけど、しっくりくるまで時間がある程度かかる単元としては流水算が代表的だと思いますが、
他には、時計算、場合の数の道順、三角数の問題、素因数分解の問題、年令算、売買損益算、仕事算、ニュートン算、容積、回転体、etc
多くなりすぎたので、このくらいで止めておきますが、いま挙げた単元が苦手という子は集団授業でスピード負けしていると思います。
しっくりくる前に通り過ぎてしまったと思います。
その子に合ったスピードで学習していれば上記の単元ならそれほど理解して定着するのに苦労しないと思います。
ではスピード負けを防ぐにはどうしたら良いでしょう?
授業についていくスピードをつける?
そんなことは簡単にはできません。
結論は予習をするしかないと思います。
「予習はダメ」と言う塾講師はこの点についてどういう考えなのでしょうか。
授業中にしっくりこないで、吸収力不足で家に帰ってから学び直す手もあるかもしれませんが、それはあきらかに効率的ではありません。
私が通塾生の保護者の立場なら、この単元は予習をしていきなさいというように単元ごとに指示します。
問題は解かなくてもいいのです。
解かない方が良いといった方が良いかもしれません。
流水算だったら、普通の速さが静水時で、上りの速さは、流速だけ押し戻されるから遅くなり、下りの速さは、流速だけ押してもらえるから速くなります。
その関係がしっかり分かれば、上りの速さ、下りの速さ、静水時の速さ、流速の4つのうち2つが分かっていたら、残りの2つを求められます。
これを公式として身につける必要はありません。
また、流水算は最も逆比を利用する可能性の高い単元です。
上りと下りの速さが書いてあったら時間の比を考えたり、時間が書いてあったら速さの比を考えたりします。
その程度のことを分かった状態で流水算の最初の授業を受けると、吸収力がまるで違います。
乾いたスポンジのようになるかもしれません。
対話式算数の本編は5つのテーマからできています。
1つ目のテーマが、大抵、膨大な量になります。
導入が大切だからです。
1つ目のテーマと2つ目のテーマをしっかり読んでしっくりくるところまで行けば、3つ目のテーマは流す程度で、4つ目と5つ目のテーマは触れなくても良いと思います。
私も自戒の念を込めまして、小学校の算数は易しすぎですが、中学受験の算数は難しすぎると思うようにしています。
それが成り立っているのは、一部の優秀な生徒さんを抜きにすれば、生徒さんの頑張りと保護者様のフォローがとても大きいと思います。
塾講師はご家庭内のことは分からないので鈍感になりがちです。
塾で新しい内容をきちんと理解して、家で解けるように反復して定着していると本気で思っているかもしれません。
なかなか学力がつかない子、保護者様ががっちりフォローしている子は、授業を生かせるように、予習でしっくりくるところまで学習を進めた方が良いと思います。
算数が分かっていると、この単元は予習した方が良いとか、しなくても大丈夫と分かりますが、
その判断に自信がない場合は、すべての単元を予習した方がいいと思います。
予習を学習サイクルに組み込むことになります。
問題を解く必要はなくて、しっくりくるところまで分かる状態で終了で良いです。
予習教材としては、もちろん対話式算数をお勧めします。
読み物になっていると、しっくりきやすいし、問題を解かずに読むことに集中できますし、時間も短縮できると思います。
通塾生もぜひ対話式算数をご検討ください。