塾に行くのは何のため?

Xで「塾は、勉強を促すためのもので、塾に行くのは地道な努力は1人ではやりにくいから」というようなフレーズを見ました。

 

これは高校受験向けの話だと思いますが、中学受験では、どうして塾に行くのかを考えてみました。

昔は、四谷大塚のテスト会というものがあり、塾に行かずに家で予習シリーズを勉強して、週末にテストを受けに行くだけでした。

「正会員」とか「準会員」とか、「エリート集団の四谷1組」とかランク分けされていました。

 

ところが、当時の予習シリーズはとても独学でできるような教材ではありませんでした。

一部の優秀児(四谷大塚偏差値70超)でなければ、授業で説明を聞かないと身につかなかったと思います。

それで、授業というスタイルで教えてくれる準拠塾と称される集団塾に通い、そこで、予習シリーズを勉強して、日曜日にテストを受けに行く子が増えました。

その後、日能研が勢力を伸ばし、サピックスが勢力を伸ばし、今日に至ります。

 

塾に通う理由は、昔の塾教材は独学でできるものではなかったからです。

いまは良い教材がありますし、YouTubeで良い動画もたくさんありますし、予習シリーズも難度が高くなっているとはいえ、例題部分は分かりやすく改訂されているので、昔と同じ基準で考える必要はありません。

 

でも、いまも進学塾に通う理由は何でしょう?

通わなければならない理由と書いた方が良いかもしれません。

  1. みんな行っているから
  2. 行かないと良い学校に受からなそう
  3. 行かないと何をやって良いか分からないから

 

細かく理由を考えていけばいろいろありますが、この3点に集約できると思います。

受験を経験した保護者から、「下の子は、しばらくの間は塾に行かせない」と聞くことがありますが、3番の不安が払拭されたからだと思います。

 

1は事実ですが、通う理由にする必要はありません。

私の住んでいる静岡県では、ファミリーレストランの「さわやか」というチェーン店がなぜかいつも賑わっていて、特に首都圏に近い店舗では5時間待ちとか不思議な状態になっていますが、なんで「さわやか」だけが選ばれるのか、疑問で仕方がありません。

理由は「みんなが行っているから」だとしか思えません。

 

2はイメージですが、大手塾であれだけ合格実績の人数が出されますと、そういう雰囲気ができあがります。

 

3は、やることは単純で毎週テキスト1回分を学習するだけ(問題を解くだけ)ですが、知らない世界なので、「塾に行くと、想像のできない特殊なことが行われているのでは?」と思われがちだと思います。

学生がアルバイトで、2コマくらい授業を見学して、テキストを渡されて、次回から授業よろしく!というような塾も多いくらいなので、特殊なことは行われていません。

もちろん、授業の上手い講師は分かりやすく教えてくれますが、動画授業を併用したりすれば、それに近い環境を得られると思います。

 

冒頭の地道な努力は中学受験ではあまり気にする必要はありません。

日課のように毎日、勉強時間を決め、3つくらいのメニューをこなすようにするだけです。

ルールを守ることが大切ではなく、楽しく能動的に勉強をすることが大切ですので、例えば1つめのメニューで「問題を30分解く」と決めていたとしても、途中で飽きたら、30分に満たなくても次のメニューに切り替えます。

努力よりも興味や好奇心にクローズアップします。

勉強時間もあくまでも目安で、延長しても早くなっても良いです。

大事なことは質の高い勉強を維持することです。

苦手な勉強を歯を食いしばってやるのは、6年生で、ゴールに向けて自分には何が足りないかを考えられるようになってからです。

 

4年生なら、最初は1時間くらいで良いと思います。

「1時間も無理だから、塾じゃないと無理」という子は、おそらく塾に行っても、じっと座っていて、講師の雑談のときに目が輝くだけの状態になりがちで、保護者が見ていないから、ちゃんとやっているように見えるだけというケースが多いです。

 

つまり、1時間の勉強ができない子は、現時点で中学受験のカリキュラムを進めていくことが難しく、成長を待って、ゆっくりとした進度で進めていく必要があります。

そういう調整も、集団塾だとできませんが、塾に行かなければ自由です。

 

完璧主義の保護者で、テストは100点を取って合格と考えていたりすると、子供によってはそれが苦痛で、噛み合わなくなり、家では無理となりがちです。

中学受験の通塾については、保護者が、いまは問題が解けなくても、お子様の成長を楽しく見守る余裕があるかで、塾に行くかどうかのベストの選択が決まると思います。

 

今回は、塾に通わない方が良いという意見のブログではなく、中学受験においても塾に通うことはマストではなく、選択肢の1つという意見です。

塾の競争の環境が上手くはまる子もいます。

「競争が好き」「承認要求が強い」というタイプは塾が合うような気がします。

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