- 2019年7月3日
進学塾に通うと宿題がかなり出ます。
宿題だけで悪戦苦闘し、勉強に追われる日々を過ごしているご家庭も多いと思います。
どうして、宿題が多いかご存じでしょうか?
私が塾講師をしていた1990年代前半は宿題なんて出さないという塾が多かったです。
早稲田アカデミーは面倒見の良さを売りにしていたので、宿題は出していましたが、塾全体として宿題という文化はありませんでした。
「なんて平和な時代だったんだ」というわけではありません。
結果を求められました。
宿題は無しでも、毎週の確認テストはあり、そのテストで、クラスの昇降があったり、偏差値があったり、席順が成績で決まったり、貼り紙でクラス1位から最下位まで全員貼り出されたりです。
あまり大きな声では言えませんが、立たされたり、暴言を吐かれたり、叩かれるなど体罰もある時代でした。
徐々に、家での勉強の仕方が分からないから宿題を出して欲しいという声が強くなり、宿題という文化が生まれ、根付きました。
一言で申しますと、宿題は必要なものではなく、保護者側からの要望です。
宿題文化のなかった時代を知らない講師は、宿題はとても大切だと思っているかもしれませんが、そうでもありません。
授業の吸収力の方がはるかに成績や学力を左右します。
家で真面目に健気に取り組む子を否定したくないという心理面が強いかもしれません。
ちゃんとした学習ができるならば宿題はない方が良いです。
個々の子供によって、向いている学習が異なります。
- 問題を少なくしてじっくり考えてていねいに解きたい
- 少々雑に素早くたくさん解きたい
- 易しめの問題を解きたい
- 難しめの問題を解きたい
- 似たような類題を解きたい
- 数値替えの問題を解きたい
- 同じ問題を3回解きたい
- 同じ問題は1回解くだけで十分
- ノートを見るだけで良い
- 同じ単元の問題の解説を読むだけで良い
- 授業で身につけてくるから家で触れなくても良い
- その週の問題は簡単にできてしまうので、3週間前の問題を解きたい
- 復習ではなく予習の方が効果があるから、予習をしたい
適当に13個書きましたが、このくらいいろいろな項目があります。
この13個のうちで、いくつか当てはまるものはあると思いますが、塾から出される宿題と合致していれば、効率の良い勉強ができますし、そうでなければ効率の悪い勉強になります。
少し、私の思い出話を書きたいと思います。
できるだけ思い出補正のないようにしたいとは思います。
私が塾講師時代のときは「次回の復習テストで80点を取れる準備をしてきなさい」というように、「宿題」を「準備」という言葉に置き換えて、宿題はゼロにしました。
宿題文化が始まる前の時代に時計を戻した感じです。
しかし、塾の方針として、「宿題をしっかり出して管理しています」と謳っていたので、とても働きにくかったです。
いま、もし会社で働いていたならば、宿題を出しているフリをして、実は出していないというように狡猾に振る舞ったと思いますが、当時は、学力を高める意見をストレートに言い過ぎました。
「準備」が最良の勉強とは言えませんが、「宿題」よりははるかに効果がありました。
準備となると、生徒さんから「どうしたら復習テストで良い点数を取れますか?」と聞かれることが多くなり、その子に合いそうな学習法を提案して、それを生徒さんが取り組むというスタイルになります。
自発的な要素が強くなります。
「宿題」の場合は、「やればいい」となりがちで、それがテスト対策と繋がっていない可能性もありますが、「準備」の場合は、テストで高得点を目指すための勉強なので、「できるようにする」という気持ちが強くなります。
また、勉強嫌いで賢い生徒さんに、「授業で身について復習テストで良い点数が取れれば、家での勉強ゼロで良いんだよ」とアドバイスをすると、目を輝かせて、「はい!わかりました!」と返事をし、授業中の集中力が増しました。
「宿題」よりも「準備」の方が、質の高い勉強になるような気がしますが、いかがでしょうか。
講師側も宿題の点検がなくなり楽で、他の業務に力を入れられます。
さらに、保護者様に「うちの子ちゃんとやってますか?」と相談されたときに、「復習テストが取れているから、この調子で良いです」「復習テストが取れていないけど、答案の書き方は良いので、詰めは甘いけどやっていると思います」「勉強、家でやってますか?やっているとしたらやり方を変えた方が良いです」と的確に答えられます。
宿題の管理の場合、「宿題は出ています」「宿題未提出が多いです」と答えるしかありませんが、保護者として、その回答をもらったところで、次に繋げられないと思います。
私の場合は、「1週間前の数値替えテスト」「いままで学習した内容からランダムで出す数値替えテスト」「同範囲の捻りのある問題のテスト」でクラス内順位をつけて、どれが強いか弱いかでタイプを伝えていきました。
宿題の管理よりもはるかに有益なお子様の情報だったと思います。
宿題というのは中学受験では、塾内の偏差値50以上の子には不要だと思っています。
宿題のない塾を探したいところですが、難しいような気がします。
面倒見が悪い塾とレッテルを貼られるからです。
本当は、個々の生徒さん1人1人に合う質の高くなる勉強を提案し、点数で管理し、異なる種類のテストでデータ取りをして、学力を丸裸に分析して提示した方が面倒見は良いはずですが、塾で働くと、宿題を出して点検することが正義となります。
塾に行かずに自学自習を選択すると、宿題がなくなるので、自由な勉強ができます。
ペンの進まない勉強は、合わないことの証明なので、それに時間をかけても時間の無駄で、「椅子に座ってじっとしていれば良い」となってしまいがちです。
ペンの進む勉強を探し求めることがポイントです。
何をやるかも重要ですが、それよりもはるかに手が動いているかが重要です。
そしてできるだけ成果主義を取り入れることが大切です。
「準備」という言葉を使うようにすると成果主義になります。
よく結果と過程はどっちが大事と言われることがありますが、結果を出せる過程が大事です。
結果は時の運なので、結果が悪ければすべて駄目というわけではありませんが、結果に繋がる過程を構築しているかどうかです。
成果主義は結果を意識するので、過程の質がよくなりやすいです。
対話式算数をご利用の方で、成果主義を取り入れたいという方は、保護者様が管理しても良いのですが、有料サービスとして、1回のテスト時間「20分」、料金220円(税込)で、SkypeかZoomで、こちらから練習問題から問題を選択して指示し、テストをしているところを監督し、「合格!」「残念!」とだけ評価するサービスを行うことは可能です。
やってみたいという方はお問い合わせ願います。
自宅学習の勉強は、お子様に合う勉強ができるということが最大の利点です。
その利点を活かすことがポイントだと思います。