対話式算数第91話:流水算

第88~90話の3回で5年生に必要な速さと比の問題をすべて扱いました。

今回は流水算です。

川を船で上ったり下ったりというのは、あまり現実的ではないような気もしますが、良い題材のようで、中学入試の算数では一定の出題頻度を保っています。

流れがないときの速さを「静水時の速さ」といい、上りは、静水時の速さより川の流れの速さだけ遅くなり、逆に下りは、静水時の速さより川の流れの速さだけ速くなることが特徴です。

たいてい上りと下りが出てきて、速さが異なるので、逆比を多用する単元になります。

 

興味のある方はこちらにどうぞ

 

第91話:流水算の概要

 

91・1

流水算の特徴を説明し、線分図でイメージをつかんでもらい、その後、実際に解くときには表を書いて解くような流れで進めています(流水算の表と呼ぶことにしています)。

流水算だけの話ではありませんが、導入から実際に解くときのスタイルに繋げていくときが最重要です。

 

91・2

2つの船のある問題ですが、流水算の表を書いて考えていれば、左右に2列並べるだけです。

流速は2つの船で同じになることもポイントの1つです。

 

91・3

2つの船が向かい合って近づいてくる問題です。

上りの船は流速分だけ遅くなりますが、逆に下りの船は流速分だけ速くなるので、船の速さの和は、流速が影響しないことが、このテーマのポイントです。

つまり、流れがないのと同じで、静水時の速さの和だけ近づきます。

 

91・4

冒頭でも書きましたが、逆比の登場です。

流水算は、上りの速さと下りの速さが出てくる関係で逆比が使いやすい題材であるわけです。

速さの比から時間の比へ、あるいは時間の比から速さの比へとどんどん逆比を使っていきましょう。

逆比から、静水時の速さ、流速を求めていくことが、流水算の定番の流れです。

 

91・5

91・4の応用にあたる問題です。

船が2つあるときは、逆比をイメージするよりも、距離を決めて、速さを求めていく方針の方が簡単だと思います。

逆比を利用することと、距離を決めることは、手順が逆になりますが、同じことです。

 

練習問題

 

番号 講評
1 A   上りと下りの速さを求め、それを利用して静水時の速さと流速を求めます。
2 A   上りの速さと流速から、静水時の速さと下りの速さを求めます。
3 A   下りの速さを求め、AB間の距離を求めます。流水算の表とはじきの表を合体させると解きやすいと思います。
4 A   Aの船からPQ間の距離を求め、Bの上り、静水時、下りの速さを求めていきます。
5 B 普通の流速のときと、流速が2倍のときを、流水算の表で横を2列にしてまとめましょう。
6 B Bの下りの時間から、Aの下りの時間、Aの下りの速さ、Aの静水時の速さを求めます。AとBの上りの速さが分かったら、Q→Pの時間を求めます。
7 B 1時間に静水時の速さの和だけ近づきます。(2)はA船の進んだ距離から求めます。
8 B 出会った時間を求めたら、AがPQ間にかかる時間が分かります。
9 B 8番の逆で、距離を求めます。AがPQ間にかかる時間が分かるので、Aの下りの速さが求められます。
10 B 時間の比の逆比で、上りと下りの速さの比を求め、静水時の速さを比で表し、実際の速さと比べます。
11 B 10番の逆で上りと下りの速さの比から時間の比から求め、実際の時間を求めます。どちらからでも逆比にもって行けるようにしましょう。
12 C まず、Aの実際の上りと下りの速さを求め、流速を求めます。そして、Bの上りと下りの時間の比から、Bの上りと下りの速さの比を求め、実際の速さを求めます。
13 B 比だけしか書いていませんが、逆比か、距離を決めて、実際の数字のように計算していきましょう。
14 C 通常の川の速さのときの、上りの速さ、下りの速さ、静水時の速さを求め、流速が3倍になったときの上りと下りの速さの比から逆比を利用して解きます。
15 距離を時間の最小公倍数にして、Aの上り、Aの下り、Bの上りの速さを求め、そして、Aの静水時、流速を求め、Bの下りの速さまで求めていきます。

※「難」は難度は以下の基準です。
A:確実に解けるようにしたい問題
B:サピックス偏差値50以上を目指す人向けの問題
C:サピックス偏差値60以上を目指す人向けの問題
D:特に難しい問題

※「要」は重要度で以下の基準です(B・C・Dのみ表記)。
ゼ:絶対に解けるようにしたい重要な問題
テ:よく出る典型題
ヒ:捻りのある問題
サ:地道な作業が必要な問題

 

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