- 2017年12月29日
通塾すると偏差値を常に浴び続けます。
意識しないでと言っても無駄でしょう。
日本人は、数値での格付けが大好きなので、偏差値を必要以上に意識してしまうかもしれません。
「この子の偏差値は○○」などおかしな言葉が氾濫しているくらいですので。
行きたい学校にも格付けされたかのように偏差値が貼られていて、現在の自分の偏差値とくらべて、この調子で合格できるかなと思いをはせることでしょう。
4年生の偏差値
4年生でやるテストで、範囲の決まっているものと決まっていないものがありますが、4年生くらいなら、はっきり区別してとらえることもありません。
範囲の決まっているテストができた → 習ったことはいまはできる
範囲の決まっていないテストができた → いまのところ重要単元の根本が身についている
くらいのことが分かるだけで、どちらにしても「いまのところ」という言葉が付きます。
4年生の学習は中学受験の勉強で言えば3分の1に到底及びません。
感覚的には8分の1くらいです。
その部分が順調でも将来が占えるものでもありません。
塾講師も4年生の成績はあまり気にしていません。
成績を見ても
「やっぱりあいつできるな~」
「どうして今回ダメだったんだろう…」
「家でしっかりやっているからな~」
この程度の評論家のような他人事のような感想になってしまいそうです。
つまり、4年生のときの偏差値は関係ないと言えば関係ないのですが、難関校を突破するためには、4年生の学習くらいはサッと理解できるはずなので、そこで偏差値が取れない、あるいは、手取り足取りの指導が必要であれば難関校のハードルは高いと思います。
塾講師は公立中学進学は選択肢にない
中学受験の塾講師は私立中学が基本的に大好きです。
公立中で高校受験というのはデメリットばかり目立ってしまい、よほど中学受験に向かないお子様以外は私立中学を勧めます。
保護者様の中には「○○中以上じゃなければ私立に行かせても意味がない」と考えられている方も比較的多いと思いますが、それは塾講師とは考え方が合致していません。
よく受験校を決めるときに「全滅をすると何も残らないから、行く行かない関係なく合格校を作りましょう」と言いますが、その気持ちの半分くらいは「受かれば気に入って進学し、公立中進学にならない」というものがあるでしょう。
これは全員合格という宣伝文句のためというより、私学の方が教育環境が良いと思っているからのことです。
ご家庭の方針として、御三家(御三家といっても差がありすぎて、もうこの言葉を使ってはいけないような気もしますが)の目がないならば公立中に進んで高校受験にしたいという方は、目があるのかないのかをできるだけ早く知りたいと思っていると思いますが、なかなか塾講師は歯切れの良い返事はしないと思います。
偏差値を見なくても将来性はだいたい分かる?
4年生くらいならば、算数1教科を見るだけで、だいたい4教科の素質は分かります。
しかし、素質だけで中学受験は乗り切れません。
勤勉さが欠かせません。
その言葉通り、6年生は算数1教科を見ても、算数と理科の力学・化学は強いだろうなということしか分かりません。
4教科の偏差値を聞かないことには、総合力のポテンシャルが分かりません。
4年生のころは将来性豊かだと思っても、その後の勉強に対する興味がなければ、いつの間にか評価は激変してしまいます。
よく、「この子はやればできる」という言葉が使われますが、私は一切使いません。
だれだってやればできるわけですし、やれないのも実力のうちだからで、よくよく考えれば気休めにもならない言葉だからです。
話を戻して4年生を見たときに、
- 開成・桜蔭に行ける力がある
- 順調にいけば開成・桜蔭の可能性もあり
- 順調にいっても開成・桜蔭はキツいと思うけど、○○中なら行けそう
- 急激に伸びれば○○中なら行けるかも
- ○○中には到底届かない
授業で5回くらい見ればこのくらいの予測はできます。
模擬試験の偏差値が分からなくても、小テストの答案、授業で指したときの反応、机間巡視などで、光り輝いている子は分かります。
しかし、それを正確に保護者様に伝えるのは難しいです。
1や5だったら簡単です。
「とてもできるので、最難関に行ける力があると思いますよ!」
「まず基礎を固めてそれからでしょうね…」
こんな感じになりますが、多くのお子様は2、3、4です。
このまま順調にいけば行けるけど、順調にいくことが難しいので、「行ける・行ける」とは言えませんし、急激に伸びる可能性は高くはないけどないわけではないので、可能性ゼロとも言えませんし。
ノリのよい講師なら、リップサービスで上記の1~5をそれぞれ1段階くらい上げそうです。
上記の1のお子様なら、どこの塾でも良いと思いますが、2、3のお子様は塾選びは重要です。
そして、開成や桜蔭に進学するほとんどのお子様は2です。
偏差値よりも講師の印象の方が正確
我が子がどのあたりの私学中に行けるのかが気になる方は、偏差値ではなく、担当講師に直接聞くことが良いと思います。
よく、立ち位置を把握するために、塾が必要とか模試を受けるべきということを言う人がいますが、それは5年生後半とか6年生になってからのことで、4年生のころなら、将来の実力と偏差値が大きく異なるお子様もいます。
担当講師、それも算数の講師に聞く方が良いと思います。
たくさん経験しているわけではありませんが、国語講師の「あいつは天才!」というのはかなりの確率で当てになりませんでした。
サピでベストテン(6年のとき)に入る生徒が4年生の夏の新入塾生のころ、私は「あいつは桁外れにできる」と国語講師に伝えたときに、「そうですか?あいつ馬鹿ですよ」と返ってきたことはいまでも忘れられません。
見るべきポイントが講師も十人十色というわけです。
5年生や6年生になると講師同士で情報交換をするので、どの教科の講師でもほとんど同じ答えが返ってくると思いますが、4年生はその講師の視点での答えになりがちです。
そろそろまとめます。
お子様の将来性を占うためには偏差値よりも、算数講師の印象の方が当てになると書きましたが、それでも上記の1~5のうち、2、3、4の言葉が返ってきましたら、決断することが難しいです。
もっとがんばろうとか、このまま順調にいけばいいんだということが分かるだけです。
ということは、将来性を気にしすぎても意味がないように思えます。
将来性を占う意味で相談したけど、結局、占えなかったとしても、役に立つ勉強を1つでも提案してもらえれば、相談の目的が達成されたことになると思います。