- 2024年2月24日
立体図形は授業の回数が少ない
中学受験の算数のカリキュラムを眺めてみると、割合や数系の分野は事細かに分かれています。
割合関連の単元は「売買損益算」「食塩水の濃度」「仕事算」「ニュートン算」「倍数変化算」などがあり、数系の単元は「数の性質」「規則性」「場合の数」「計算」「推理・論理」などです。
割合は、単元名が変われば、解き方が若干変わりますが、本質はもちろん同じです。
同じような解き方で解くことも可能です。
数系ならば、数の性質に分類するか、規則性に分類するか、場合の数に分類するか、あるいは推理や論理という単元に分類した方がいいか迷うことがあります。
教材をつくる立場ならば、分類することは必要ですが、受験生の立場ならば分類する必要はないので、単元名というよりは、問題ごとに分類していると思います。
やや前振りが長くなりましたが、このように事細かく単元名が決まっている分野は、比較的、塾の授業で登場する回数が多いです。
それに対して、速さや立体図形は細かく単元に分けることも可能ですが、一般的には細かく分けていません。
そうすると、どうなるかというと、授業で登場する回数が少ない、あるいは、1回の授業でたくさんのテーマが詰まって、焦点を定めることができず、身につきにくいという特徴があります。
塾の立体図形の教材を見ると、バラエティに富みすぎという印象を持ちます。
立体図形の単元
立体図形は次のように分類することができます。
- 立方体や直方体の体積
- 立方体や直方体の表面積
- 円柱
- 立方体の展開図
- 角柱や角すい
- 複雑な立体の展開図
- 円すい
- 回転体
- 切断
- 表面積の変化(穴をあける問題も含める)
- サイコロ
- 投影図・立体の影
- 小立方体の体積や表面積
忘れているものもあるかもしれませんが、ザッとこれくらいに分かれます。
13個です。
かなり多いという印象だと思います。
これを塾で扱うときは、13回の授業ではなく、2回くらいの授業で全テーマが登場すると思います。
立体図形が苦手という子の場合、いろいろな種類の問題をやりすぎて、1問1問マスターしていく実感がないという理由が大きいと思います。
立体図形の基礎をしっかり取り組む
この13個の単元の中で、基礎となる重要単元をしっかり学習することが大切です。
※基礎とは易しいという意味ではなく、立体図形の分野の礎という意味です
基礎さえ分かっていれば、その後の学習がスムーズになり、学習効率が上がります。
今回、小5強化「立体図形」という教材を第10回まで用意しました。
毎回8問で合計80問です。
ゆくゆくはこの続編も作りますが、それは小6強化「立体図形」となると思います。
この10回は、立体図形の基礎をしっかり固めます。
八方美人的な教材は、特に立体図形のようにハードルの高い分野では身につきません。
これを徹底的にやる!という愚直な教材で、学力が身につきます。
もちろん「これ」というのは、何でもいいわけではなくて、基礎から始まり、スモールステップで積み重ねていきます。
上記の単元の「立方体や直方体の体積」「立方体や直方体の表面積」「円柱」「立方体や展開図」「複雑な立体の展開図」「サイコロ」「小立方体の体積や表面積」に絞りました。
絞ったというには多すぎるように感じるかもしれませんが、「立方体や直方体の体積」「立方体や直方体の表面積」「円柱」をメインに据え、それに準じる形で「立方体や展開図」「複雑な立体の展開図」「サイコロ」「小立方体の体積や表面積」も載せているという形式です。
メインに据えた単元が、立体図形の基礎という位置づけです。
ワンパターンの問題だけだと、飽きてしまいますし、発想力が鈍るので、少しずついろいろな問題を取り入れたいということで、基礎力の構築重視で核を強く意識した上で、問題を選びました。
立体図形の基礎を学習する時期
逆に言えば、円すい、回転体、切断などは、基礎さえ身についていれば、その後いくらでも身につきますので、小5強化「立体図形」には入れていません。
灘中の切断や影の難問はなかなか難しいですが、そういう一部の学校を除けば、回転体や切断でも、基礎力があれば対応しやすいです。
イメージ的には、5年生の夏から6年生の夏くらいまで基礎力を固めて良いと思います。
立体図形は、場合の数と平面図形を固めた後にしっかり学習するのがセオリーだと思いますので、早い子だと、5年生の夏から始められ、遅い子だと、6年生の夏になるという塩梅です。
したがいまして、小5強化「立体図形」は、算数を順調に進めている5年生、立体図形を苦手にしそうな6年生に是非使って欲しいです。
もう1回書きますが、立体図形が苦手という理由は、いろいろな問題を取り組みすぎて、基礎が身についていない状態だからです。
平面図形もそうですが、立体図形も、正しい順番で問題を十分に取り組んでいけば、恐ろしい難問以外は、できるようになります。
小5強化「立体図形」は1回8問で10回なので、毎週30~60分の学習で、10週間くらいの期間で基礎力をつけていく流れです。
塾で出てくる以上に、入試には立体図形は登場します。
中学生や高校生でも、立体図形は苦手という人は多いです。
それは、小学生レベルの立体図形の練習不足だからだと思います。
この教材は、あくまでも中学入試で立体図形で活躍するための教材ですが、長い目で見ると、中学生、高校生になったときに生きると思います。
ご検討の程、よろしくお願いいたします。