- 2023年4月5日
算数ができない理由の回答
かなり強烈なタイトルにしましたが、タイトル負けしていない内容になると思います。
例えば、10人の算数講師に、これを問いかけましたら、いろいろな答えが返ってくると思います。
- 以前、学んだ内容を忘れている
- ミスが多い
- 練習不足
- 解法を暗記していただけで応用できない
書いていくと100個くらい書けそうですが、今回の内容は、あまり出てこない回答になります。
最大の理由
結論を伝えますと、解いている中で「解法を使える」かです。
例えば問題を解いていき、解いている最中(解いている流れと呼びます)で、ここは6人から2人を選ぶから15通りとか、ここは距離と時間の和がそれぞれ分かっているから速さのつるかめ算を使うとか、やりとりで食塩水と食塩を求めていくときに、途中で食塩水の重さが分からないものを混ぜているから天秤を使うとかです。
いまの例は、算数に慣れていないと、イメージが湧きにくいと思いますが、算数を得意にするためには、とても大きな要素です。
それぞれが分かっていないわけではありません。
6人から2人を選ぶ問題ならば、すぐに15通りと求められると思いますし、4㎞/hから途中で6㎞/hに切り替えて合わせて2時間で9㎞進んでいて、どこで切り替えたかを求める問題ならば、反射的に速さのつるかめ算と分かって解きますし、2つの食塩水を混ぜる問題ならば、すぐに面積図か天秤を描いて求めると思います。
解いている流れの中で、それを使う必要があると察知して、使うかどうかが問題なのです。
融合問題という言い方もありますが、解いていく過程で、その解法を利用する必要が出てきて、それを経由して、さらに解き進めていくという感覚です。
間違った対策法
このようなケースで、速さのつるかめ算が使えずに、テストでできなかったとき、「復習で速さのつるかめ算をやればいいですか?」とよく聞かれます。
答えは「No」です。
もう、そういうのはできています(かなり高確率で)。
解いている流れの中で出てこなかっただけです。
速さのつるかめ算を何十問も解いても、なかなか流れの中で察知できません。
流れの中で速さのつるかめ算が出てくるような問題をたくさんやれば、経験則でできるようになりますが、その考え方だと、ありとあらゆるパターンの練習をすることになり、毎日24時間算数を勉強をしても間に合わないかもしれません。
正しい対策法は2つ
大切なことは、解いている流れの中で察知する力なのですが、それを高める訓練というのは、見落とされるといいますか、考えてもいないかもしれません。
訓練は次の2パターンしか思いつきません。
- テスト直しのときに、何故、それを使ったか徹底的に考え、自分なりに結論を出す
- 解くときにできるだけ条件を書くようにして、書いていく間に察知する
①は、優秀な子は意識的か無意識かでやっています。
そうでない子は、そこまで考えるに至らず、ハイスピードでテスト直しが終わります。
テスト直しが速いとは、理解が早く優秀な子というわけではなく、浅い学習だったとなります。
テスト直しが遅ければいいわけではなく、徹底的に考えているか否かです。
自分なりに結論を出してようやく終わりですが、ここまで行っている子はほとんどいないと思います。
それができれば、周りの子よりも学習の質が高くなっているので、成績上昇は間違いありません。
たくさん問題を扱うほど、このような結論が出るレベルまで行けず、学習の質が下がり、やってもやっても成績が上がらないことになります。
②は、問題が解けないときは、多くの子は何も書きません。
余談ですが、速さの場合ならば、なんとなく図はかいていますが繋がっていきません。
それは条件を全部書こうとしないからです。
条件を全部書く習慣がつけば、かなり改善します。
例えば場合の数で「分からなかったらすべて書き出しなさい」と指示しますが、書いていく途中で「あれ?これやったことある?」と経験したことを思い出すことはよくあることです。
人間の記憶は、網のようなもので、網に引っかかると、そこから思い出していくと言われます。
書き出していくとき、そんなにレパートリーがあるわけではなく、どうしても自分の癖が出ます。
つまり、以前書いたように書く確率が高くなります。
そうすると、網に引っかかり、これ、○○算で解ける!となるわけです。
書く理由を、自分が何をしたか分かるためと答える人が多いです。
私も、その意見ですが、それだけではなく、どの解法を使えば良いかイメージが湧いてくる可能性があるからという面もつけ加えたいです。
正しい勉強をすれば、必ず学力は上がる
①と②のどちらかではなく、両方、行うと算数を得意科目に変えられるはずです。
構成要素のうち何ができていないかを考えて、それの対策をするというのが一般的な学習だと思いますが、それでは解決しないケースがとても多いと思います。
「流れの中でできるかどうか」
ここに目を向けて取り組むと良いと思います。
スポーツの場合は、正しい練習をすれば、必ずその種目は上手くなると言っても良いと思います(全員とは言えませんが)。
勉強も同じで、何が正しい勉強かを考えて取り組むと良いと思います。