- 2018年6月6日
範囲の決まっているテストを受けるから学力は上がらないという主旨のブログを書こうと思いましたが、過去ブログ(2019年6月)で似ているものがありました。
それを2022年版に修正して再アップすることにしました。
大手塾でも中小塾でも範囲の決まっているテストを月1回はやっていると思います。
クラスの昇降が絡むと、テスト2週間くらい前からそわそわし、1週間くらい前から点数がとれるように気合いを入れて頑張っているのではないでしょうか。
しかし、塾講師は職員室などで「あの子は範囲の決まっているテストに強いだけ」というような評価をしていることがあります。
もちろん褒め言葉ではなく、無意味な努力とでも言わんばかりの低評価です。
テスト前にしっかり対策して、良い点数を取ることは、大切なことなのか否かを書いていきたいと思います。
テストをゲーム感覚で楽しんでいるのであれば、しっかり準備しても良いですが、点数を取るための勉強は、質の低い勉強になりがちです。
忘れないように10回くらい大声で唱える暗記の仕方をする子もいるかもしれませんが、客観的にそういう姿を見ると、ゾッとします。
勉強はそういうものではありません。
前述の塾講師の低評価も質の低い学習になっていることを指摘しているわけです。
マンスリーテストの偏差値と、6年後期の総合テストの偏差値は、ピッタリ一致するわけではありません。
一致するかどうかは、運というよりも必然性があります。
「この子は良い点数を取っていてもダメだろう」となるわけです。
算数の質問などのとき、初めは理解しようとしているかもしれませんが、難しいと、切り替えて「答えが出る式を教えてください」となりがちです。
理解できなければ、答えを出しても意味が無いと思いますが、宿題の消化など別の目的で答えを出したいのだと思います。
それと、範囲の決まっているテストの勉強は似ている心境ではないでしょうか。
目的は理解することですが、テストの存在があると、目的が点数を取ることになってしまいがちです。
つまり、理解する算数は忘れ去られ、覚える算数になりやすいです。
これは、子供だけでなく、保護者、あるいは塾講師もあてはまります。
塾講師も、自分のクラスの平均点を上げたいという気持ちが強いので、未熟な講師は、覚える算数が正義と錯覚しがちです。
いま未熟と書きましたが、スカイプ指導で塾で教わった後の生徒さんの様子を見ますと、多くの講師が覚える算数になることをいとわず、とにかく点数を取らせてあげたいと考えているのではないでしょうか?
覚える算数を肯定しているのならば、それは思想の違いということで良いと思うのですが、覚える算数は否定し、でもテストで点数を取らせたいから覚える算数で指導するという矛盾が、この範囲の決まっているテストの闇だと思います。
質の低い勉強になるのは算数だけではなく、国語も理科も社会もすべてに当てはまります。
では、なぜ、塾で範囲のあるテストをするのかと言いますと、深く理解しながら学習する子もいるからです。
全員、質の低い勉強になっている状況ならば、範囲のあるテストは辞めるのではないでしょうか。
現在、質の高い学習ができていて、なおかつマンスリーテストに向けて燃えているお子様でしたら、文句の付けようもありません。
マンスリーテストの対策をすることが良い悪いではなく、点数を取るのに目を向けすぎて質の低下に気がつかない勉強がいけないという意見です。
川崎の塾講師時代は、算数の月例テストは、テキストに載っている易しめの問題の数値を替えた基本編50点分と、一応、範囲内ですが、入試問題から本格的な問題を集めた実力編100点分で合計150点のテストでした。
サピックスのマンスリーテストに慣れていたので、入社した頃は、惨いテストするなぁと思っていましたが、そのくらいのテストをしないと、質の低い学習を防げないのではと思います。
目先の点数ではなく、質の高い学習が大切なことは誰でも分かっていると思いますが、相当、意識しないと、質の低い、テストが終わったらいつ忘れても不思議ではない学習をしてしまいそうです。
月例テスト1週間前の学習としましては、予行演習的に範囲内の重要問題を1度解いて、解けなければ軽く解説を読んで、「これで月例テストができなければ仕方がない」と割り切って淡々と進める学習で良いと思います。
クラスを上げることが身近な目標となりがちなので、なかなか「範囲の決まっているテストの準備は控えめに」とは言いにくい面もありますが、長い目で見ましたら、しっかり準備をすることで学習の質を下げ、マイナスになっている子は多いと思います。
クラスが1つ2つ変わることによって、身につけられるものは大差がありませんし、むしろ、余裕のあるクラスで授業を受けた方が身につけやすい面もあります。
受験勉強はマラソンに例えられますが、それほど似ているわけでもありません。
先頭集団にいても、学習の質が悪ければ脱落しますし、その集団にいなくても、質の良い学習をしていれば、後々、頭角を現します。
6年後半になってぐっと伸びてくるタイプは毎年のようにいますが、それが1つの理想だと思います。