反復学習

受験業界問わず、世の中、相反する意見があります。

天動説・地動説のような完全な間違いという場合もありますが、ほとんど同じことを、表現の違いで意見が異なっているように見えるという場合があります。

例えば、思考力問題や難問を取り組むときに「分からなくても粘って考えなさい」「分からないときはすぐに解説を見なさい」という意見があります。

一見、相反する意見に読み取れる内容ですが、実はほぼ同じ意見という可能性もあります。

具体的には、できるだけ粘って取り組みますが、「解き方が見つからない」「同じことをくり返し考えている」というときは解説を見て糸口を知る必要が出てきます。

そのときの表現方法が異なっているというわけです。

解いた後に、どうして解説を見なければ解けなかったのかを分析することが大切ですが、それはまた別の話です。

 

算数以外でも、例えば国語でも「問題文を先に読む」「設問から読む」「読書は必要」「読書は不要」など、様々な意見があります。

正しく読み取れないと、間違えた方向に進んでしまうと思います。

 

今後、このブログでシリーズ化するつもりのカテゴリー「受験算数用語辞典」では相反する意見がありそうな内容を、私見を踏まえて、具体的に解説していきたいと思っています。

第1回目は反復学習です。

 

勉強には反復学習が必要と言われています。

本当にそうでしょうか?

中学受験において反復学習が流行りだしたのは、サピックスが台頭したからだと思います。

決して、反復学習をするから、サピックスの難関中合格実績が高いわけではありません。

反復学習は勉強をしやすいということで、勉強する習慣をつくりやすいとは思います。

毎日、算数を勉強したり、毎朝問題を解くことで、勉強をすることが当たり前の日課になるという意味でも功績は大きいとは思います。

そう捉えると、難関中合格実績の1つの要因とは言えますが、風が吹けば桶屋が儲かる話に近いと思います。

私が塾講師時代、サピックスの基礎トレもどきの教材を作って、担当クラスに課してみましたが、あまり変化がありませんでした。

作成にとても労力を費やしただけに、成果が出なくて虚しかった記憶がとても強く残っています。

 

まず、反復学習の定義を定めます。

出来る問題を何回も繰り返し解くことです。

解けるようになった後に、2回以上演習することにします。

 

上記の経験もそうですが、反復学習をやっても効果が上がっていない子はとても多いです。

逆に、反復学習をやらなくても学力の高い子も少なからずいます。

経験上、出来る子は反復しても出来て、出来ない子は反復しても出来ないようです。

身も蓋もない話ですが、正直に書きますと、こうなります。

 

逆に、反復学習をしっかりやる子は、思考力が育たず、スケールが大きくならない印象もあります。

スケールが大きいとは、初めて見る難問が解けるという意味です。

難問がある程度、解ける子は、難問に取り組む方が効果があると思います。

そういうことで、私は、優秀な子は反復なし、普通の子は、ある程度の反復学習は学習方法の候補の1つと位置づけています。

反復学習をしなくても、いろいろな問題集を解いていっても、重要問題は必ず反復することになります。

それくらいで十分だということです。

 

サピックスの基礎トレは反復学習の最たるものですが、いままで「基礎トレやらなくていいんじゃないですか?」とアドバイスした方から、一人も「成績下がりました」と言われていません。

基礎トレをしっかりやるようになって、成績が上がる場合ももちろんあると思います。

それは、算数の解法を理解している場合だと思います。

覚える算数にならず、どうしてそういう解き方をすれば答えが出るかを理解しているという意味です。

解法を理解していれば、反復していくと、スケールは抜きにして効果はあると思います。

解法を理解していない場合、反復することで理解できる場合もありますが、そういうケースは少ないと思います。

基礎トレをやってもできないという場合は、反復が足りないとか、反復が合わないというわけではなく、解法を理解していないからです。

以上のことから、重要な学習は、解法を理解する学習で、それが出来たら、反復学習をしても効果があるという話にまとまると思います。

 

学習の流れは次のようになります。

①解法の理解→②いろいろな問題演習or反復学習

①を疎かにして、②の反復学習に力を入れても順序が逆となります。

解法を理解していないのに、解法をがんばって覚えて、エビングハウスの忘却曲線の話のように、忘れないうちに反復すれば身につくという発想は、私は危険だと思っています。

突飛な発想ではなく、一般的に誰でも考える発想かもしれませんが、その思考では失うものが大きいです。

「解法の理解に全力で取り組む」とならずに、「解き方を覚えて、あとは忘れないうちに何回も反復」です。

よく考えますと、学習の質を低下する学習方針だと感じられるのではないでしょうか?

 

表でまとめてみます。

優秀(偏差値65以上) 反復あり 反復のせいで、スケールが大きくなっていない恐れがあり、気をつける
反復なし そのままで良い
解法を理解している(偏差値65未満) 反復あり 継続でも良いが、減らしてみて他の学習に取り組むのもあり
反復なし 反復学習も学習方法の候補の1つとする
解法を理解していない(偏差値65未満) 反復あり いまのままでは学力が上がらない可能性が高い
反復なし 解法を理解する学習を目指す

※偏差値は、四谷大塚偏差値です。

 

体験談などで、反復学習で力がついたという話も見ますが、その子が解法を理解していた子なのかどうかが重要です。

状況が違えば、効果的な学習も異なります。

現在、反復学習で、時間が取られている場合は、少し減らしてみると良いと思います。

それで学力が下がらないようでしたら、不要だったということです。

一般的には、お通いの塾の教材に絞って、手を広げずに、反復した方が良いという意見もありますが、私のスカイプ指導で教えている生徒さんなどを見ますと、複数の教材で、少々文章が異なっていたり、図の形が違っていたり、捻りのある問題を解いている子の方が出来るようになる印象です。

たくさんの教材を買ってもどれも不十分だったり、良い教材を使っていない場合は、また別の話です。

 

やや一般論とは異なる私見のブログになりましたが、少しでもお役に立つ部分がございましたら、にほんぶろぐ村のクリックをお願いいたします。

また、今後取り上げて欲しい内容などございましたら、このブログのコメントやメールやLINEなどでお伝え願います。

受験算数用語辞典の最新記事8件