3年生は書き出し練習をお勧めします

受験勉強は作戦を立てる

受験勉強は競争です。

良い作戦を立てて実行することが大切です。

良い作戦を立てることは実行することと同じくらい大切です。

難関校を目指す場合、良い作戦とは何かを逆算で考えてみます。

  • 6年後期…数の性質、志望校の頻出分野(差のつく分野)
  • 6年前期…立体図形、速さ
  • 5年…場合の数
  • 4年…場合の数

男女や学力や適正や志望校によって若干変わりますが、これが王道だと思っています。

3年生は、場合の数の基盤となる「書き出し」練習になります。

積の法則

4年生の場合の数は、計算で解くことが多くなりますが、和の法則、積の法則を間違える人が多いです。

よく、「和の法則と積の法則の区別がつかない」という声を聞きます。

話し手よりも、それを聞く私の方がゾッとする言葉です。

やさしめの典型題で説明してみます。

父母、兄、弟、妹が横一列に並ぶとき、兄か弟か妹が真ん中になるのは何通り?

条件のある並べる問題です。

○○兄○○と書き、4つの○に入る人は4×3×2×1=24通りになります。

そのあとです。

真ん中は兄じゃなくても、弟でも妹でもいいよと言います。

すると2つ追加ということで、24+2=26通りにしてしまう生徒さんがいるのです。

兄のときが24通りだから、弟でも妹でも24通りあると考えて24×3=72通りになります。

和の法則ではなく、積の法則です。

しかし、この積の法則という言葉を覚えても全く意味がありませんし、「これは積の法則の問題」という捉え方は、お先真っ暗といっても過言ではありません。

兄のときも弟のときも妹のときも24通りあるから、24+24+24で、24×3=72通りとイメージする必要がありますが、このようなイメージを無視する恐れがあるのが、積の法則です。

72通りの書き出しは現実的ではありませんが、十分に書き出しの練習をやっていたら、兄の場合をたくさん書いて、次、弟は?となったときに「これ兄と同じじゃん!書かないでいいよね!」となると思います。

弟と妹をそれぞれ省いている意識が強いと24×3=72と自然と求められると思います。

こういう感覚無しに、3人だから3倍では、次に繋がりません。

書き出し練習をすることで、なぜ3倍するかがイメージできるというわけです。

型を意識すると場合の数の応用に通用する

場合の数の説明するときに、私はよく「型」という言葉を使います。

サイコロを4回投げて、目の和が8になる目の出方は何通り?

4個の和が8になるのは、1115,1124,1133,1223,2222の5通りあります。

これを、AAAA型が2222、AAAB型が1115,AABB型が1133,AABC型が1124と1223というように型で分類します。

  • AAAA型は並び替えられないので1通り
  • AAAB型はBの位置を考えて4通り
  • AABB型はAを4つの位置から2つ選ぶので6通り
  • AABC型は、AABB型の派生型で、BCを入れ替えられるので12通り

と考えて1+4+6+12×2=35通りとなります。

6年後期にでもなれば、7C3=35通りと求める問題ですが、いまのような「型を利用する」練習を4~5年生の間にしっかりやりたいのです。

十分な書き出し練習を積んでいると、この型に分けるという行為がとても有り難い施策に感じると思います。

いままで書いてきたものが、型を意識することで、省けるし、計算も利用できるからです。

計算が義務ではなく、上手く考えるための道具と実感できるからです。

型を意識するということは、有効な場合分けをしているということで、難しい場合の数の問題になったときに威力を発揮します。

型に分ける必要性が分かっていると、自然と型を意識して解くようになると思います。

場合の数が苦手とならないように

3年生で書き出しをやる理由は、「計算するとき」「型で考えるとき」に実感できるようにです。

実感なく身につけていくことを、覚える算数と呼んでいますが、場合の数は、特に、それでは通用しません。

よく、場合の数は難しいという声を聞きますが、理由は簡単です。

イメージが湧かないのに、なんとなく計算して合っていたりするから、地に足がついていない状態が普通だと思い込み、何が何だか得体の分からない単元だと思うからです。

書き出し練習でイメージが湧くようになれば、そのような感覚は相当薄れます。

場合の数という入試において最も重要と位置づけられる単元を、3年生の段階から、良い作戦を立てて、準備していくと良いと思います。

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