おみやげ算

計算練習の目的は?

2023年はおみやげ算という計算テクニック集がかなり売れたようです。

ちょっとしたテクニックを使って、負担を減らして「19×19」までのかけ算ができます。

著作者が東大出身ということと、ネーミングが馴染みやすいフレーズで簡単に答えが出そうだったことと、それをやればなんとなく算数力が向上しそうなイメージが湧いたからだと思います。

しかし、正直に申しますと、目的を見誤ってしまうと、こういう書籍を手にしてしまうんだろうなと思いました。

計算練習の目的は早く正しく答を出すことではなくて、計算力を鍛えるためのものです。

負担を減らした計算練習で、計算力が鍛えられるのでしょうか?

計算練習は、入試問題の難問に通用する計算力を鍛えたいのです。

受験算数の問題は19×19までの計算を早く正確に求められれば、それで十分かというと、そんなことはありません。

分数や小数の計算も出てきますし、計算の工夫が必要なこともあります。

それらの計算はすべてたし算、かけ算の暗算がベースとなっていますので、その暗算力が大切です。

暗算力を鍛えたいのに、テクニックを使うことでそれを避けて通過するという行為をしてしまったら、どうなるのでしょう。

日常的な話に例えると

例えば、足腰を鍛える目的でランニングをするときに、「自転車に乗った方が快適に早く目的に着けますよ!」と言われても、「目的が違う!」となりますが、おみやげ算などの計算テクニックも全く同じことです。

また、恋愛で、こうすれば付き合えるとか、モテるという小手先のテクニックが氾濫していますが、人間の本質を磨いた方が、お互いに幸せになることは誰でも分かることです。

ときとして、その当たり前のことを忘れてしまうということでしょうか。

結果が大事なのか、鍛錬が大事なのかを判断することが大切です。

真の力を鍛える練習というものは大変で、つい裏技的なことを考えて、楽な方向に逃げたくなりますが、計算力を鍛えることが目的ならば、愚直に取り組むことが大事だと思っています。

おみやげ算の計算の問題集がかなり売れたそうですが、難関中を目指す人は、そういった大衆と同じことをしていてはダメだと思います。

ついでに言うと、そろばんも中学入試に通用する計算力には繋がりません。

そろばんのメリットはいろいろありますが、中学入試の計算力の向上にはなりません。

どうして計算練習をやるのか、その目的を見誤ると、時間や労力の無駄となります。

暗算の効能

例えば、46×37の計算ならば、46×3=138なので、1380を記憶して、46×7=322なので、記憶していた1380と322をたして1702となります。

この記憶していた数字を使って頭の中で3回暗算していくことで、中学入試に必要な暗算力という計算力を鍛えます。
ポイントは頭の中で数字を記憶することと、頭の中で桁をずらしてたし算することです。

テクニックを身につけて、こういう頭の使い方をしていない子は、やがて、どうなっていくのでしょう。

ちょっとゾッとします。

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