3年生のメイン学習は「書き出し」です

このブログは、新小学5年生の2月の時点で偏差値65を目指す3~4年生の学習についての内容となります。

場合の数は最重要単元

算数講師に限りませんが、「重要」という言葉を多発する講師がいます。

何回も言われると、その言葉も意味も薄れてしまうので、教える側はとっておきのところ以外では重要という言葉は使わないようにした方が良いと思っています。

前振りはこのくらいにしておきまして、中学受験で最も重要な単元は場合の数です。

いっとき立体図形が最も重要な単元と呼びたくなる時期もありましたが(2010~2020年)、立体図形は、中学入試の問題ではあまり差がつきにくいです。

さじ加減によって、みんなできないとか、みんなできるとなりやすく、差をつけることが狙いの入試問題にはやや不向きな単元です。

差がつきやすい単元といえば、数系の問題で、数の性質、規則性、場合の数ですが、入試問題レベルになると、分類する意味はなく、数系でひとくくりにしても良いような気がします。

生徒さんを見ていると、場合の数に強い人は、規則性も数の性質も強いと言えるのではないかと思っているからです。

数系は難しくなっていくと、程よく差がつくので、数系が得意な受験生はアドバンテージがあると言って良いです。

数の性質や規則性は4年生で取り組みますが、その両単元は、難関中の入試問題とは次元が違いすぎるので、3~4年生の間は「数系を鍛える=場合の数を頑張る」で良いです。

その意味で、5年生くらいまでは、中学受験で最も重要な単元は場合の数となります。

場合の数は滅茶苦茶な解き方をする人が多い

場合の数はやや抽象的で、「なぜかこの計算で答えが出る」という感覚になりやすいです。

書き出しのところを計算したり、たすところをかけたりといった目を覆いたくなるような答案が目立ちます。

そのあやふやな感覚から脱出して、どうしてその計算で答えが出るのかをしっかり納得する必要があります。

そのために必要なのが、場合の数の「書き出し」です。

書き出しで、かけ算やたし算のイメージを鮮明にすることができます。

次の初歩的な問題を考えてみます。

男子2人と女子3人の5人が横1列に並ぶとき、男子が両端になる並び方は何通りありますか?

女子3人の並び方は3×2×1=6通りで、両端の男子は左右入れかえられるので、2通りあります。

答は6×2=12通りですが、これを6+2=8通りとしてしまう子がいます。

特に説明するときに「女子の並び方は6通りですね。男子は左右逆の2パターンありますね。合わせると何通りですか?」と、わざと「合わせる」という言葉を使うと、8通りと答える子が多発します。

書き出しの練習をしっかりしていたら、男子をAとBにすると「A○○○B」というものを6個書き出し、「B○○○A」というものも6個書き出して、6×2で求めたと実感しているので、先生に「合わせる」なんてひっかけの言葉を使われても、「6+6」か「6×2」をイメージして12通りと答えます。

これが書き出しでイメージを鮮明につくるという意味です。

場合の数はなぜ難しいか

少しレベルを上げた問題も考えてみます。

0,1,3,5,6,8の数字を使って(同じ数字は2回以上は使わないというルールで)、3桁の整数をつくったとき、3の倍数は何通りできますか?

3の倍数は、各位の和が3の倍数です。

3の倍数は各位の和が3の倍数になる理由は、今回のテーマとは違うので、触れませんが、4年生で頑張って理由を理解して、5年生で自分の言葉で説明できるくらいになりたいです。

このカテゴリーのブログではそのくらいまで成長していくことを前提に書いています。

まず、各位の和が3の倍数になるように、3つの和が3の倍数になる3つの数書き出します。

下の表の左の欄のように7つあります。

3つの数個数書き出し
0,1,54105,150,501,510
0,1,84108,180,801,810
0,3,64306,360,603,630
1,3,56135,153,315,351,513,531
1,3,86138,183,318,381,813,831
1,5,66156,165,516,561,615,651
1,6,86168,186,618,681,816,861
合計36 

書き出しの練習をしっかりやることで、書き出す順番を上手く体得し、慣れることで、7つを軽く見つけられます。

「0,1,5」を並び替えると2×2×1=4通り、「1,3,5」を並び替えると3×2×1=6通りと計算できます。

0が含まれるものはすべて4通りで、0が含まれないものはすべて6通りになるので、全部、計算する必要はなく省略できます。

書き出すと、表の右の欄のようになります。

書き出しに慣れていると、右の欄のように書き出すこともできますが、4通りが3つで、6通りが4つで、答は4×3+6×4=36通りと計算でも納得がいきます。

どうして見出しに書きましたように、場合の数が難しいかお分かりですか?

書き出し計算省略が混在しているからです。

これを使い分けていくことが難しいですが、右の欄に書きましたように、ベースはすべて書き出しです。

ベースは書き出しですが、上手く考えることによって、書き出さなくても、計算で求められたり、省略できます

この感覚を養うことが大切です。

なぜ書き出しが大切か

書き出しの練習をしていないと、書き出しの代わりに計算省略がある感覚が身につきにくく、書き出し計算省略が混乱しやすいです。

3年生の間に書き出しの練習をしっかり取り組むことで、場合の数は、ベースは書き出しで、計算できるところは計算する、省略できるところは省略するという、場合の数の流れで問題を解くことができます。

当教材の小3鍛える算数【書き出し】で書き出しの練習をやっていた子は、こういった感覚が身につきやすいのは実証済みです。

場合の数を重視して場合の数らしい考え方を身につけたい方は、当教材の場合の数の充実のラインナップにお任せください!

3年生の学習は「計算」も大切ですが、「計算」とならんで「書き出し」も重要で、2大重要テーマと捉えると良いと思います。

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