算数で苦戦している子の原因と対策

昨日の続編のブログを書こうと思いましたが、にほんブログ村のポイント数があまり伸びていないようですので、今日はそれとは異なる内容を書きます。

2012年から対話式算数を作り始めました。

理由は対話の教材を作りたいと思ったからです。

市販で、解説が詳しいといわれる教材や、四谷大塚の予習シリーズの解説は、解法を見て身につけるものです。

文章はおまけみたいなもので、「線分図」「面積図」「式」などを見て解法を理解していくことが求められます。

私はそこに大いに疑問を持っていました。

 

塾の授業では講師は黒板に書くときは半身の姿勢が良いと言われています。

生徒の方も見ながら板書をするというものです。

 

板書は、講師によって異なります。

黙々と書く人、説明しながら書く人、私は、誰が答えても良いという形式で生徒さんに発問して、その答えが聞こえたら書くというスタイルでした。

 

黙々と書くのであれば、半身でもしっかり黒板を向いても良いと思いますが、どちらにしても生徒さんはだらけてしまう可能性があります。

授業では演習以外では沈黙時間をつくらない方がいいです。

生徒さんは隙あらば休みますので。

 

説明しながら書く人も多いですが、ほとんどの生徒さんは聞いていません。

意味がない行動のように映ってしまいます。

 

私のように発問する場合は、最低でも半身でないと格好が悪いです。

黒板をしっかり向いて、生徒さんに背中を向けた状態で発問するなど想像するだけで滑稽だと思われると思います。

 

板書をしていないときも半身という講師もいますが、私はできるだけ生徒さんと正対していました。

しっかり説明して、しっかり聴いて欲しいので、その想いが伝わるようにです。

そして、生徒さんひとりひとりの目を見て、下を向いている生徒さんがいると「聴いているか?」と注意を促すようにしました。

 

つまり、それだけ授業においては、会話が重視されるのです。

アイコンタクトといいますか、目を合わせますので、目と耳と口でしっかりと会話します。

黒板も重要なファクターですが、きちんとした説明の方が重要です。

板書は丁寧でも、説明を軽視していたら、生徒さんの理解力は高まらないと思います。

 

それが教材の解説になると、解法を見ることが重視されています。

どうして授業は会話の説明が中心で、問題集の解説は解法を見ることが重視されているのでしょう?

そこに疑問を感じましたので、授業のような会話を重視したライブ感覚のある解説を作りたいと考え、対話式の教材にしました。

対話式の教材は解法を見るという要素もありますが、まず、しっかり会話を読んで理解して欲しいと考えています。

 

さて、そろそろ本題に入ります。

算数で苦戦している子を教えるときに、どうしても解き方をしっかり教え込もうとするはずです。

例えば、仕事算ならば、次の流れになります。

  1. 全体の仕事を決める
  2. 1人の仕事力を求める
  3. 2人でやった場合の仕事力の和を求める
  4. 全体の仕事量を仕事力の和で割ると答えになります

 

速さの比の問題ならば次の流れになります。

  1. 速さが2つ書いているから速さの比を求める
  2. 逆比で時間の比を求める
  3. 本当の時間の差が書いているから、本当の時間を求める
  4. 本当の速さと本当の時間をかけて距離を求める

 

一例ですが、このような解法の流れになります。

この流れを、流れ作業のように身につけてはいけません。

保護者様でも塾講師でも家庭教師でも、お子様に教えるときに、できるようになって欲しいという気持ちが強すぎると、「流れ作業だからマニュアル通りにやればできるよ」という指導になりがちです。

 

苦戦している子は、それではなかなか上達しません。

できるようになったと思われた場合、その多くが、模範解答を表面上で記憶して、なぞることができただけではないでしょうか。

ようやくできるようになった!

という達成感を感じたとしても、しばらくしたら、すっかり忘れてしまい、再び元に戻ってしまいます。

あのときできたのに、どうして?

そういうもどかしさを経験している方は多いのではないでしょうか?

そういう勉強をくり返している方は多いと思います。

 

もう半年ほど経ちますが、下剋上受験のドラマのように、これを忘却曲線でとらえたらダメです。

反復だけで前に進めなくなってしまいます。

 

解き方をなぞる勉強をすると、こういうことになりがちです。

特に抽象的な単元の「割合と比」や「速さと比」になると、こういう問題点が生じやすくなります。

 

もちろん解決方法はあります。

それはすでに冒頭で書いていますが、対話です。

解法を真似させて答えをなんとか求めさせることを目標にしてはいけません。

状況をしっかりつかむことを目標に会話を重ねていくことが大切です。

  • いま求めたものは何?
  • 何を求められる?
  • すでに分かっている条件は何?

 

この3点を常に明瞭にしていき、地に足を付けて思考していくことが大切です。

問題文を何度も音読することも状況をつかむためには、時として必要です。

この3点がスラスラ言えるようならば、今後、飛躍する可能性が高いと言えます。

 

綺麗な図を描くよりも、最初から分かっている条件、自分で求めたことによって分かった条件を整理して書いていくことの方が遥かに重要です。

「2割引とは?」というときは、もちろん「0.8倍」ですが、これは「×(1-0.2)」とするのが一般的です。

私はそれには強めに反対しています。

どうして(1-0.2)なのかがしっかり分かっていなければ意味がないからです。

割引のときは(1- )と覚える学習は次につながりません。

そのときだけ、その問題が解けても意味があるとは思えません。

「2割引」→「0.8倍」と連想ゲームのように答えるのも淋しいです。

「2割とは0.2で、それをひいたら0.8になるから0.8倍」というようにしっかり分かって答えるところまで行きたいです。

 

上記の3点がしっかり分かるまで会話をし、お子様が口頭できちんと返答できるところまで学習することが大切です。

「到底それは無理!それは理想論!」と思われるのであれば、それは学習しているレベルが高すぎるのです。

地に足を付けていない学習は、田んぼに家を建てようとするくらい不毛です。

得点を取らせて自信をつけさせるという作戦も一理ありますが、いま何をしているのかをつかむ学習の方が有効だと思います。

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