- 2018年4月6日
サピックスの入試報告会では、毎年のように神田先生が合格者の中でサピックスオープンの平均偏差値の最低値を言っていました。
今年、聴きに行ったときにはその話はなかったと思います。
そう言えば、昨年や一昨年もあったかどうか定かではありません。
何らかの理由で辞めたのでしょうか。
口頭での発表はありませんが、資料には載っていましたので、このブログで、今年の資料から数校書きます。
ブログなので、神田先生のような感情たっぷりな表現はできませんが、インパクトはあると思います。
- 開成中→偏差値50
- 麻布中→偏差値44
- 桜蔭中→偏差値48
- 女子学院中→偏差値48
過年度に目を向けてみます。
- 2015年聖光学院中1次→偏差値42
- 2016年早稲田中1次→偏差値40
- 2016年慶応湘南藤沢(女子)→偏差値40
- 2014年フェリス女学院中→偏差値32
いかがでしょうか?
偏差値44で麻布です。
「偏差値50には届いていないけど麻布なら?」と思いたくなるデータです。
正規分布なら上から72.6%です。
10クラスある校舎ならば、下から3番目のクラスです。
2015年の聖光なら偏差値42なのでギリギリ下から3番目で、2014年のフェリスなら1番下のクラスです。
現在、不本意な成績で悩んでいる方には光が差し込んできたようなデータではないでしょうか?
合格率は関係がありません。
その偏差値帯の受験者が少ないので、例えば2人受けて1人受かって合格率50%となっても何の意味もありません。
どうしてこのくらいの成績でも合格者が出ているのでしょうか?
模試の成績が悪くても学校対策をバッチリやったからだと思われる方はどのくらいいますでしょうか?
塾に聞いたら、そう答えるかもしれませんが、おそらく違うと思います。
かなり前の話を書きたいと思います。
私が前職の塾に入社して2年目です。
初めて6年生を担当し、4クラス編成の上から3番目のクラスでした。
国語・理科・社会の四谷や日能研の公開模試のクラス平均偏差値は42くらいでした。
当時は、女子は理科・社会を勉強しない2科生もいました。
算数は48~50くらいだったと思います。
当時はサピックスオープンは一般的ではありませんでしたが、もしもそれを受けていたら、いったいどうなったことでしょう。
間違いなく4科総合で平均40に届かないでしょう。
30台前半かもしれません。
1回くらいブログに書いたかもしれませんが、6年生の1学期に、受験勉強をしてこなかったけど理解力の高い生徒さんが入塾しました。
順調に力をつけていき、10月のテストで上のクラスに推薦しようと思っていましたが、なぜかテストを受けずにそのまま3番目のクラスで受験を迎えました。
早稲田中に合格しました。
当時は1番上のクラスでも早稲田に受からない生徒さんがいるくらいのレベルの塾でしたので、同僚はみな驚いたと思います。
私や、彼を教えたことのある算数の講師にとっては、それほど驚くようなことではありませんでした。
特によく見ていた私からすれば、順当な大金星でした。
その生徒さんの持ち偏差値はどれくらいだったのでしょう。
当時は1学期は模試がなかったので受けていませんが、もし存在して受けていたら四谷偏差値で35くらいだと思います。
9月ころにはかなり上がりましたが、それでも4科総合なら甘めに見ても45くらいだと思います。
11月には受けなかったので、そこでカウント終了とします。
1学期に2回、2学期に1回受けたとすると、平均偏差値は(35×2+45)÷(2+1)=38.3です。
これは四谷大塚の偏差値で、サピックスに換算したら30台前半でしょう。
つまり、早稲田中の合格者最低偏差値は32などとなります。
サピックスの合格力判定模試は1学期はないので換算しない方がよいかもしれませんが、便宜上このデータでいきます。
このような合格者データで、いつも偏差値32くらいの生徒さんに光が差し込んできたのでしょうか?
強引な設定だと思われた方もいるかもしれませんが、わりとよくあります。
数回受けて「実力が分かった」「受けても無駄」「あとは過去問でいい」などという理由で受けなくなる方がいるからです。
前半の悪かったときだけがその生徒さんの持ち偏差値として記録されることはそれほど珍しいことではありません。
そういえば下剋上受験の桜井佳織さんも、日能研で偏差値41を取ったあと、学校別模試以外は受けていないそうですね。
私の予測では、合格者最低偏差値の生徒さんは、受験勉強を始めたのが遅く、しかも、学力をつけていた後半は、何らかの事情で模試を受けなかったパターンが多くを占めていると思います。
そして担当者の間では「彼なら合格できるかもしれない」と模試のデータを度外視して期待をかけていた可能性が高いです。
私は、入試報告会で神田先生が各中学校の合格者の最低偏差値を伝えていくのが、とても嫌でした。
それは数値が一人歩きして、大きな誤解を与えるからです。
嘘も方便ということで、必ずしも誤解を与えることは悪いことではないかもしれませんが、現実を知らせずに通塾してくれさえすればいいという狙いもあるはずです。
さすがに資料にそれを載せないのはどうかと思いますが、その資料を保護者が見て、「こんな下の生徒が受かっている!」と捉えるべきではありません。
合格した生徒さんには、その生徒さんしか知らないドラマがあります。
模試のデータでは、そのドラマが反映されていません。
ちなみに上記の早稲田に受かった生徒さんの1月の塾内模試の算数の成績は学年6位でした(その年は開成に6名合格)。
私が模試を作成したので相性が良かったという面もありますが、算数の力は開成レベルまで達していたと言いたいくらいに伸びていました。
志望校を選ぶ際に「このクラスならどこに受かるのだろう?」とか「この偏差値ならどこに受かるのだろう?」と考えるのが普通だと思いますが、クラスや数値ではなく、お子様自身の状況で考えるべきです。
通塾していましたら、担当講師に聞いてみるのが一番です。
そのときに、算数と国語の得意な方の講師に聞くのが良いです。
理科・社会は、合否に大きな影響を与える科目ではありません。
苦手な方の講師に聞くと、合格する可能性がある場合でも「受からない」と言われそうです。
得意な方の講師に聞いて「脈あり」と返ってきたら、偏差値よりも講師の言葉を信じ「脈あり」と考えて良いと思います。
お世辞が得意な口が上手い講師であれば話は別ですが。
読みの鋭い塾講師でも合格可能性は「100%・75%・50%・25%・0%」というように5段階でしか判断できないと思います。
夏休み前に、志望校合格の現時点での可能性をこの5段階で答えてもらうのも良いと思います。
ボリュームゾーンのデータであれば、いろいろ活用できますが、合格者の最低偏差値というような少数のデータは読み取ろうとしてはいけないと思います。
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