5年生前半カリキュラム|比と割合までの準備

新5年生2月|角度・面積 ── 「全部書く」をやめるところから始める

最初の単元を角度にしたのには、はっきりした狙いがあります。

角度は、別解が多いぶん、「どう考えるか」という作戦の立て方そのものを教えられる単元だからです。

受験算数のいちばん最初に身につけてほしいのは、公式でも手順でもなく、この「作戦を立てる」という感覚なのです。

角度の問題でよくあるのが、分かる角度を片っぱしから図に書き込んでしまうやり方です。

一見まじめで良さそうに見えますが、これをやると図がたちまち数字だらけになり、肝心の「いま見るべき角度」が埋もれてしまいます。

書き込みは多いほどいいわけではありません。

受験算数OSでは、その逆を教えます。

まず「どの角度を求めたいのか」を決め、「そのためには、どの三角形の角度が分かればいいのか」と逆からたどる。

平行線を見たら錯角、二等辺三角形を見たらその性質——

と、図の中から使える手がかりを意識的に拾う。

むやみに書くのではなく、必要な角度を狙って取りにいく。

これが、この先ずっと効いてくる思考のクセになります。

面積も同じ発想です。

斜線部分の面積を求めるとき、いきなり手を動かすのではなく、まず「ひく」「くぎる」「変形」のどれで攻めるかを決める。

そして「ひく」で進めると決めたら、全体・引く部分・求める部分を表に整理します。

ここで早くも表が登場します。

計算はできるだけ暗算で済ませ、その結果だけを表に書き入れる。

先に表の枠と項目を作っておけば、何を求めているか見失わず、ミスもぐっと減ります。

この「表で考える」感覚こそ、夏の比と割合まで持っていく土台です。

ACT1平行線と三角形の角度
ACT2四角形の角度
ACT3三角形と四角形の面積

新5年生3月|数の性質・計算 ── あえて深追いしない

3月は数の性質と計算です。

ただし、ここでの方針は少し意外かもしれません。

数の性質を、深追いしません。

理由ははっきりしています。

数の性質は、早い段階で高度な問題まで突っ走ると、いちばん「覚える算数」になりやすい分野だからです。

仕組みを理解するのは難しいけど、やり方さえ覚えれば解けてしまう問題が多く、考える力を育てる前に「暗記で乗り切るクセ」がついてしまう。

それは受験算数OSがいちばん避けたいことです。

だからこの月は、約数・倍数・最大公約数・最小公倍数までに絞ります。

特に公倍数については、文章題への応用はあえて見送りました。

連除法も、手順を機械的に覚えさせるのではなく、なぜその計算で答えが出るのか、仕組みの方を丁寧に説明しています。

そもそも、なぜこのタイミングで数の性質を置いたのか。

答えは二つあります。

一つは、すぐ後に控える分数の計算のため。

もう一つは、夏に学ぶ比と割合の文章題で、最小公倍数を使う場面が非常に多いからです。

つまりこの月の数の性質は、それ自体を仕上げるためというより、先の単元への布石として置いています。

計算についても考え方は同じで、仕上げが目的ではありません。

小数や分数の計算は「なぜそうするのか」をしっかり説明し、難度の高い分数・小数・逆算は6年生からでも十分間に合うと割り切っています。

ただし整数の四則演算だけは別で、ここにはしっかり力を入れます。

夏休みに整数計算を徹底的に練習してほしいからです。

なお計算の進め方は、同じような式を何度も書き下す数学式のやり方ではなく、できるだけスマートに処理する方法を採っています。

ACT4約数
ACT5倍数
ACT6整数の計算
ACT7小数の計算
ACT8分数の計算

5年生4月|場合の数・角度 ── 「場合の数」という単元名を、ほどく

4月から、難関校対策の柱になる場合の数に入ります。

ただし、いきなり全部はやりません。

むしろ、ここで伝えたいのは「場合の数」という単元名そのものが雑だ、ということです。

「場合の数」と一言で言いますが、その中には「並べる」「選ぶ」「数える」「書き出す」「和分解」「道順」と、性格のまるで違うテーマが詰め込まれています。

これを一つの単元として丸ごと渡されると、子どもは何を考えればいいのか分からず戸惑う。

逆に、テーマごとに小分けして区別できる教材なら、ぐっと取り組みやすくなります。

だから受験算数OSでは、場合の数を一気に教えず、入口としてまず「ならべる問題」だけに絞り、ここを固めます。

狙いは積の法則の感覚を作ること。

枠を書いて、その枠を一つずつ埋めていく解き方を徹底します。

同じ4月に、角度をもう一段進めます。

2月で基本を扱った角度を、ここで実戦的なレベルへ引き上げる。

これには明確な理由があります。

角度は、相似に入る前にかなり仕上げておきたい単元なのです。

5年秋以降に相似が出てくると、子どもは脳のリソースをそこに大きく取られます。

そのとき角度でまだもたついていると、両方が中途半端になる。

だから角度は早めに、ほぼ完成に近いところまで持っていきます。

それに角度は、中学受験算数の中で最も別解が多い単元です。

別解が多いということは、作戦の立て方がそれだけたくさんあるということ。

良い作戦を選ぶスキルを磨く題材として、これ以上の単元はありません。

早めに仕上げ、その後の実戦演習でさらに伸ばしていく——

そういう設計です。

ACT9ならべる問題
ACT10二等辺三角形がある
ACT11多角形の内角と対角線
ACT12凹四角形と●印の角度の和
ACT13記号で処理する
ACT14円とおうぎ形と角度

5年生5月|規則性・円とおうぎ形 ── 公式ではなく、流れを覚える

規則性は、子どもの将来の伸びがかなりよく見える単元だと考えています。

植木算、等差数列、周期性、群数列——

これらは公式を覚えるだけでも、ある程度までは解けてしまいます。

だからこそ、ここで分かれ道が生まれます。

受験算数OSは、公式を覚える教材ではありません。

覚えてもらうのは公式ではなく「流れ」です。

似ているようで、この二つは世界観がまったく違います。

公式は忘れたら終わりですが、流れは一度つかめば自分で再現できる。

具体的にはこう進めます。

植木算は、木の本数と間の数の関係を丸暗記にさせないために枠を使う。

等差数列は、一つの公式に頼らず2通りの解法を身につけてもらい、和の公式は公式としては覚えさせません。

周期性は、横にずらっと並べて書くのではなく、縦と横を使って整理する。

どれも「覚える」ではなく「書いて、流れをたどる」やり方です。

円とおうぎ形には、別の難しさがあります。

3.14の計算が絡むぶん、計算そのものが重くなる。

すると子どもは、いま何を求めているのか、最後に何を引くのか、どこまで計算が進んだのかを見失いがちです。

これを防ぐために、受験算数OSでは円とおうぎ形でも表を使います。

求めるべきものをすべて先に表の項目として書き出し、計算したらその結果を書き入れていく。

2月の面積で身につけた「表で考える」感覚が、ここで再び生きてきます。

なお、おうぎ形は学習しますが、この月ではまだ割合を使いません。

中心角は360でわり切れる数字に限定し、わり算で求められる範囲にとどめます。

割合を持ち込むのは比を学んだ後——

その順番を崩さないために、ここではあえて手前で止めておきます。

ACT15植木算
ACT16等差数列
ACT17周期性と群数列
ACT18円周や弧の長さ
ACT19円やおうぎ形の面積

5年生6月|和と差の文章題・場合の数 ── 線分図ではなく、表で解いておく

6月は、和差算・つるかめ算・平均算・消去算といった、いわゆる特殊算を扱います。

ただし、この月の解き方には来月への明確な仕込みがあります。

和差算を、線分図ではなく表を使って解きます。

これは少数派のやり方に見えるかもしれません。

でも理由ははっきりしています。

翌月の比へそのままつながる形にしておきたいからです。

線分図で解いてしまうと、比に入ったときにまた別の表現を覚え直すことになる。

最初から比と地続きの表で解いておけば、来月の「比を使う」が、まったく新しい単元ではなく、いまの延長として入ってきます。

特殊算は、似て非なるものが混ざりやすいので、扱う範囲を意図的に絞ります。

つるかめ算には2種類ありますが、今回は面積図で解ける問題に限定。

逆に平均算は、面積図を使わず表で整理できる問題に限定します。

なぜわざわざ分けるのか——

つるかめ算と平均算の面積図はよく似ていて、しかし微妙に違うため、ここで両方を面積図でやると混乱する子が必ず出るからです。

混乱の芽は、先に摘んでおきます。

消去算も同じ考え方で、代入法はいったん先送りし、まずは消去法だけに絞ります。

場合の数は、4月の「並べる」に続いて、6月は「数える」問題に進みます。

ここで育てたいのは、目で数える・計算で数える・場合分けして数える、という三つの感覚です。

そして、この6月でいよいよ「場合分け」が始まります。

軽く触れる、という言い方はあえてしません。

場合の数は、難関中入試のレベルになればなるほど、「場合分けのセンス次第」で解けるかどうかが決まる世界だからです。

難度が上がった問題で最後にものを言うのは、知っている解法の数でもなく、「どう分けたらそれぞれが求められやすいか」という判断力です。

そのくらい場合分けは重く、大切なテーマで、ここからが本当の勝負どころ——

その入口に、いよいよこの月で立ちます。

だからこそ、焦って広げません。

選ぶ問題(組み合わせ)はこの段階では扱わない。

場合の数は欲張らず、一テーマずつ確実に固めていく——

その方針を、ここでも貫いています。

場合分けという重いテーマを始めるからこそ、それ以外を絞り込む。

これも一つの判断です。

ACT20和差算
ACT21つるかめ算は面積図で解く
ACT22平均算は表にまとめる
ACT23消去法
ACT24数える
ACT25道順

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