- 2022年7月20日
テストが与える学習への影響と真の実力を身につける方法
私は20年間、進学塾で指導してきました。
その経験から、テストは学習において欠かせないものという認識がありました。
しかし、塾を離れて家庭教師として指導を始めると、テストによる弊害、特に学習の質を下げてしまうリスクに気づいたのです。
テストによる学習の質の違い
テストがあると、学習の質が高い子どもは、競争心が刺激されて学習量が増え、効果が出ることがあります。
しかし、学習の質が低い子どもにとっては、ただ解法を覚えるだけの”暗記の算数”に陥りがちです。
これでは学力の向上はほとんど望めません。
暗記の算数については、賛否両論があります。
- 賛成派:暗記して問題を解いていくと徐々に理解が深まる。点数を取ることで自信がつく。より高いステージで刺激を受けることができる。
- 反対派:一時的な点数には繋がるが、理解が伴わないため、後々伸び悩む原因になる。
たしかに、暗記から理解を深められる子どももいます。
しかし、それは限られた一部のケースであり、ほとんどの子どもにとって暗記学習はリスクが大きいのです。
暗記の算数がもたらす弊害
4年生や5年生の頃に暗記学習で成果を出した子が、6年生になると成績が急降下する例を多く見てきました。
問題が複雑化するにつれて、暗記だけでは太刀打ちできなくなり、学習の質の低さが露呈するのです。
質の低い学習スタイルが身についてしまうと、そこから質を高めていくことは困難です。
テストがあると、子どもは点数を取ることに必死になり、解法をただ暗記してテストを乗り切ろうとする傾向があります。
一方、テストがなければ、理解できない問題を無理に暗記で解こうとせず、スルーすることも可能です。
このような状況では、スルーしてしまう方が結果的に質の低い学習を避けられるため、プラスに働くことがあります。
理不尽に聞こえますが、論理的に説明ができます。
テストがない環境での学習効果
家庭教師やスカイプ指導を行う中で、「塾のテスト対策をしてほしい」というご要望と、「テストに縛られず、真の実力をつけてほしい」というご要望をいただくことがあります。
後者の場合、学習の質が確実に上がっているのを手に取るように感じます。
なぜなら、テストがないことで暗記の算数に頼らなくなるからです。
私はこれを、**”イメージする算数”**と呼んでいます。
イメージする算数とは?
“イメージする算数”とは、1つの計算をするごとに、それぞれ何を求めたいのかが明確になっている状態です。
言い換えれば、
- 何を求めたいのかをはっきり決める
- そのためにどんな計算をするのかを考えながら進める
という学習スタイルです。
これが自然とできるようになると、算数の問題を解く力が飛躍的に向上します。
受験算数が得意な子どもは、このイメージ力を無意識に身につけているのです。
テストとイメージする算数のバランス
まとめると、テストがない環境では、プレッシャーから解放され、自然にイメージする算数の学習が進みます。
一方、テストがあると「点数を取らなければ!」という思いから、暗記に頼る学習になりやすいのです。
もちろん、テストが全く不要というわけではありません。
しかし、特に4年生の間はテストのプレッシャーをなくし、「イメージする算数」を定着させることを強くおすすめします。
長期的な学習の成功法
「解き方を覚える」のではなく、「何を求めるのかをイメージしながら考える」ことを習慣化しましょう。
これにより、5年生・6年生になっても対応できる本当の算数の力が身についていきます。
テストの点数を気にする前に、しっかりとした学習の土台を築くことこそが、受験で成功するためのカギなのです。