イメージする算数が理想です

テストが与える学習への影響と真の実力を身につける方法

私は20年間、進学塾で指導してきました。

その経験から、テストは学習において欠かせないものという認識がありました。

しかし、塾を離れて家庭教師として指導を始めると、テストによる弊害、特に学習の質を下げてしまうリスクに気づいたのです。

テストによる学習の質の違い

テストがあると、学習の質が高い子どもは、競争心が刺激されて学習量が増え、効果が出ることがあります。

しかし、学習の質が低い子どもにとっては、ただ解法を覚えるだけの”暗記の算数”に陥りがちです。

これでは学力の向上はほとんど望めません。

暗記の算数については、賛否両論があります。

  • 賛成派:暗記して問題を解いていくと徐々に理解が深まる。点数を取ることで自信がつく。より高いステージで刺激を受けることができる。
  • 反対派:一時的な点数には繋がるが、理解が伴わないため、後々伸び悩む原因になる。

たしかに、暗記から理解を深められる子どももいます。

しかし、それは限られた一部のケースであり、ほとんどの子どもにとって暗記学習はリスクが大きいのです。

暗記の算数がもたらす弊害

4年生や5年生の頃に暗記学習で成果を出した子が、6年生になると成績が急降下する例を多く見てきました。

問題が複雑化するにつれて、暗記だけでは太刀打ちできなくなり、学習の質の低さが露呈するのです。

質の低い学習スタイルが身についてしまうと、そこから質を高めていくことは困難です。

テストがあると、子どもは点数を取ることに必死になり、解法をただ暗記してテストを乗り切ろうとする傾向があります。

一方、テストがなければ、理解できない問題を無理に暗記で解こうとせず、スルーすることも可能です。

このような状況では、スルーしてしまう方が結果的に質の低い学習を避けられるため、プラスに働くことがあります。

理不尽に聞こえますが、論理的に説明ができます。

テストがない環境での学習効果

家庭教師やスカイプ指導を行う中で、「塾のテスト対策をしてほしい」というご要望と、「テストに縛られず、真の実力をつけてほしい」というご要望をいただくことがあります。

後者の場合、学習の質が確実に上がっているのを手に取るように感じます。

なぜなら、テストがないことで暗記の算数に頼らなくなるからです。

私はこれを、**”イメージする算数”**と呼んでいます。

イメージする算数とは?

“イメージする算数”とは、1つの計算をするごとに、それぞれ何を求めたいのかが明確になっている状態です。

言い換えれば、

  • 何を求めたいのかをはっきり決める
  • そのためにどんな計算をするのかを考えながら進める

という学習スタイルです。

これが自然とできるようになると、算数の問題を解く力が飛躍的に向上します。

受験算数が得意な子どもは、このイメージ力を無意識に身につけているのです。

テストとイメージする算数のバランス

まとめると、テストがない環境では、プレッシャーから解放され、自然にイメージする算数の学習が進みます。

一方、テストがあると「点数を取らなければ!」という思いから、暗記に頼る学習になりやすいのです。

もちろん、テストが全く不要というわけではありません。

しかし、特に4年生の間はテストのプレッシャーをなくし、「イメージする算数」を定着させることを強くおすすめします。

長期的な学習の成功法

「解き方を覚える」のではなく、「何を求めるのかをイメージしながら考える」ことを習慣化しましょう。

これにより、5年生・6年生になっても対応できる本当の算数の力が身についていきます。

テストの点数を気にする前に、しっかりとした学習の土台を築くことこそが、受験で成功するためのカギなのです。

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