- 2021年2月7日
書店でならんでいる書籍や、インターネット記事などで、ときどきノートを上手く取るようになると学力が上がるというフレーズを見ます。
それについて、私見を述べていきます。
まず、ノートを使う用途は3種類あります。
- 授業中にノートに書く
- 問題を解くときにノートに書く
- 理解したあとにノートに書く
これをごちゃ混ぜにして、ノート次第で学力が~と言われても、「いったい、いつのノートのこと?」となると思います。
まず、①は個人的には効果がないと思っています。
講師から見て、授業中ノートを取る子は従順で素直な可愛い良い子に見えると思います。
逆に授業中ノートを取らない子は、言葉は悪くなりますが、不貞不貞しいと感じるかもしれません。
このように授業をする側にとってはかなり印象は変わりますが、学力向上の面でいうと、全く相関関係はないというか、むしろノートを取らない方針の子の方が学力が上がる印象さえあります。
講師によっては、生徒の従順さを重視しすぎて、本心で、ノートを取る子の方が頑張って努力しているからできるようになると思っている場合もあります。
授業中に限る話ではありませんが、メリハリはとても大切なので、授業を聴いていて「あっ!この情報はとても有用だ!いま身につけよう!」と思ったときだけノートを取るようにすると、覚えるモードに入り、そのメリハリのおかげで学習効果が上がります。
ノートの役割としたら、メリハリをつくるためのツールくらいに捉えると良いと思います。
そういう目的なので、どんな書き方でも綺麗な字でも汚い字でも良いと思いです。
板書を写す勉強は、教育体制が未熟で、師範からの板書や説明以外の情報を受け取れない時代の勉強だと思います。
いまは塾教材の解説を見ても、市販の参考書の解説を見ても、真似をしたくなる書き方はいくらでも目にすることができます。
授業中にノートを取らないと解くときの書き方が分からないということがなければ、授業中の覚えるためのエネルギーを、ノートを取るエネルギーに使ってしまうのはもったいないと思います。
この解き方をそっくり真似しようではなく、だいたいこんな感じに書けばいいのかとファジーに捉える姿勢があれば、尚更、授業中は一生懸命ノートを取るのでは無く、黒板をしっかり見ることに専念した方が良いと思います。
解法の永久保存版としてノートを役立てている子は、そのスタイルのままで良いですが、そういう子は少数派だと思います。
そのスタイルを目指す必要はありません。
②は重要です。
スカイプ指導では、よく「頭の中だけで考える限界を超えている問題だよ」と言います。
頭の中だけで分からないときは、紙に考えやすいものを書いて、考える必要があります。
考えやすいものを書けるかどうかがポイントです。
こういう問題はこういう感じで書いたら考えやすいというパターンを構築できますと、飛躍的に応用力がつきます。
現在、スカイプ指導で教えている生徒さんで、飛躍的に応用力が上がっている子がいまして、いま、その子をイメージして書いています。
常日頃、「こういうものを書いたら、考えやすくなるんだな~」という感想が生まれるような経験をどれだけしているかがポイントです。
③は人によるとしか言いようがありません。
算数以外の科目でもと言いますか、算数以外の科目の方が、このようなノートの取り方は有効だと思いますが、人によります。
何かを真似して機械的に手を動かして書いているだけならば、字を書く練習、絵を描く練習にしかなっていません。
自分で工夫して、どう書いたら少しでも良くなるかを考えながら、オンリーワンのものを書く、あるいは参考にしているものがパーフェクトというものであれば、敢えてオンリーワンのものを書く必要はありませんが、これはとても納得しやすいと感動しながら書くと良いと思います。
自分なりに工夫しているか、感動しているかのいずれかが、ノートにまとめるためには必要です。
ノートに綺麗に書けば、学力が上がるというロジックは、普通の大人ならば疑問があると思います。
何も参考にするものがなくてもノートに綺麗に書けるならば、それは学力が高いからなせる技です。
その問題の仕組み、要所が分かっているからこそ、的を射たものが書けるわけです。
綺麗に書ければ学力が上がるのではなく、学力が高いから綺麗に書けるということです。
男子は様々ですが、女子で桜蔭や渋幕や女子学院に行く生徒さんのノートは、本当に感動的なくらい綺麗なことが多いです。
これは指導の賜ではなく、最初から、授業中の板書を参考にしてオリジナルで綺麗に書ける子だったというケースがほとんどです。
③は人によっては効果があると書きましたが、算数の場合は、初見の問題を解くことが、ノートにまとめる学習の上位互換になっています。
ノートにまとめることがとても楽しくて欠かせないならば、そのままで良いですが、それをやらなくても問題を解けば、カバーできます。
問題を解くときはノートに何を書くかはとても重要、そうでないケースでは、いまの時代はノートは不要と大胆に考えて良いと思います。