- 2021年6月22日
タイトル通りです。
補足していきます。
例えば「全体の2/5が360円のとき、全体はいくら?」と問われましたら、割合の問題に慣れていたら、すぐに360÷2/5=900円と分かると思います。
しかし割合に慣れていない段階で、この問題を見ると、なかなかイメージできないと思います。
イメージができるできないを無視して解くとしたら、全体(□)がのの前だから「も」、2/5は割合だから「わ」、360円はまだ出てきていないのは「く」だからなどとして、「くもわ」で、「□×2/5=360」と機械的に式を書いて解いている人もいるかもしれません。
イメージが湧いていないなら、湧くようにすればいいだけのことです。
全体が○○○○○
2/5はそのうち2個だから●●○○○
●2個で360円だから、●1個で180円、5個なら900円となります。
これはまるで分数を意識していないで、分母が5なら全体を5個と考えて、分子が2なら、そのうち2個が360円というように整数で考えています。
これは比で考えていると言って良いはずです。
経験がそれなりにある講師は、割合の導入では線分図やいまのような記号を使って、このように教えていると思います。
経験があまりなくても、先輩講師に聞いたり、塾教材の解説がしっかりしていたら、このように教えると思います。
導入は整数で教えているなら分かりやすいと思うので良いですが、なぜか、導入が終わると、いきなり分数で上記の「くもわ」のようなとらえ方をして解いてしまいます。
それはなぜかと言いますと、問題文には分数が書いてあるからです。
そして、まだ比を学習していないからです(割合の前に「比」を学習している小規模塾や関西の塾はどのように教えているか興味深いです)。
導入終盤で、分数に対応できるような説明の仕方になり、いよいよ問題となると、生徒さんたちは分かりやすかった導入と切り離されて、パニックになるのではないでしょうか。
経験がある講師だと、分数で教えていたとしても、分からなくても、やがて比が出てくるから、それまではできなくても気にしなくて良いと思っていると思います。
経験が浅い講師は、分数で解くことができるようにがんばって教えると思います。
導入に整数を利用するくらい整数の方がイメージしやすく納得しやすいのならば、問題も整数で考えて解くべきだと思うのですが、受験算数の伝統では、分数で考えて解くことが正義となります。
自転車に乗るときに、先にころびやすい普通の自転車で練習して、乗れるようになってきたら補助輪を使うくらいアンバランスな話です。
問題文に分数があっても整数でとらえて、整数で考えていくとイメージしやすく、習得が早くなります。
これを「比を使って解く」と言います。
いま5年生は塾で割合を学習する頃だと思います。
その前に、予習といいますか、下地として、整数で考えるようにしておくと、分数になってもイメージしやすく塾の授業がスムーズに理解できます。
塾と方針が違うと混乱するかもと思われるかもしれませんが、イメージすることが大切なわけで、まず整数で身につけると、「分数も整数と同じことだ」と授業中に感じることができ、イメージしながら授業について行けます。
大事なことは、分数からとか整数からという形式的なことではなく、イメージしてとらえているかどうかということです。
すでに割合の問題を分数でとらえて苦戦している場合は、すぐに整数で考えるように軌道修正をした方が良いと思います。
経験上、四谷大塚偏差値70超の子でも、割合をイメージできずに、上記の「くもわ」のように機械的に解いているケースがありました。
やがて比を学習すれば解消できますが、タイムラグをつくる必要はありません。
思い切って発言しますと、割合を分数でいきなりスムーズに吸収できるのは、ほぼ不可能です。
割合の導入を整数でしっかり学習するためには、著書「比と割合」表で解く練習問題120が最適です。
受験算数では、割合は分数からとなっているので、書店の学参コーナーを探しても、分数で分かりやすく教えたいという狙いの教材ばかりです。
整数から入るだけで、ほぼすべてを解決できるはずなのですが、そこが盲点なのか、そのような主張の教材がなく不思議です。
受験算数の伝統よりも、効率良く割合を学習すると良いと思います。
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