- 2020年7月16日
ここでは主に成績が低迷している子について書きますが、きちんとした体制なら、もっと成績が上がると思える子であれば、あてはまる内容になります。
かなり前の話ですが、私が四谷大塚の採用試験を受けたことがあります。
1次試験は、合不合判定テストを試験時間3時間ほどで4教科まとめて解くテストです。
算数が1問間違いの145点、理科は100点満点、国語と社会はあまり良くなかったですが、4教科トータルで偏差値66でした。
理科は自分では解けますし、生徒さんの点数をそれなりに引き上げる自信はありましたが、興味を惹く良い授業ができるわけではありませんでした。
国語と社会は指導をしたことがありませんが、大人の常識というやつを駆使し、四谷大塚の合不合判定で偏差値50~60だったと思います。
ここで言いたいことは、理科は満点を取れるからといって、満点を目指す生徒さんに指導ができるかというと否で、国語や社会は偏差値50~60になるからといって、そのくらいの偏差値の生徒さんに指導することなど到底不可能です。
自分の取れる得点と、指導対象の生徒さんの得点は一致しないということです。
指導力とは自分の取れる得点とはかけ離れたもので、どういう指導をすれば生徒に影響が出るかを考えて試行錯誤して失敗と成功を繰り返して築いていくものです。
それをしていなければ、どんなに自分の得点が高くても、指導はできません。
塾講師や家庭教師の学歴を気にしたりするなど、それを冷静にとらえられない大人も多いような気がします。
本題に入ります。
学力を上げるためには、以下の学習が考えられます。
- 授業を聞けばできるようになる
- 問題を解けばできるようになる
- 解説を読んで理解すればできるようになる
- 十分な基礎力をつける
- 書物をしっかり読めばできるようになる
- 会話をするとできるようになる
上の6つのどれをやっても学力が上がらないという子は、とても少数になると思います。
①~③はできる子に向いた勉強です。
塾では①~③が中心というか、ほとんどとなります。
つまり、塾ではできる子に向いた勉強をやっているわけです。
頭が良くても、その①~③が不得意という場合があります。
塾で伸びない子というのは、①~③の相性が悪い子です。
④はレベルを下げるのではなく、学年を下げて次元の低い学習を十分やってからというものです。
とても有効な作戦ですが、受験という期限の決まっているものに、その作戦を使うのは勇気がいります。
難しいかもしれません。
そうしますと候補は⑤か⑥です。
⑤は読み物をじっくり納得できるまで根気よく読める子にはとても有効ですが、それも苦手という場合はお勧めしにくいです。
しかし、①~③が苦手だけど⑤は向いているという子は比較的よく見ますので、塾で伸びないなら、まず書物といっても良いとは思います。
書物といっても、算数論がきちんと書かれていることが前提です。
⑤がダメなら、あるいは⑤よりも⑥が良いという場合は⑥になります。
⑥はかなり有効だと思います。
私事になりますが、数ヶ月前に義母が他界し、相続について調べてみました。
YouTubeでいくらでもそういうものが流れていますが、とにかく動画では聞きやすくリズミカルに話します。
よく分かった気になりますが、こちらは正しい情報を取り入れたいので、かなり真剣で、少しでも疑問が残るところをテンポ良く話されると、まるで役に立ちません。
これが、授業の実態だと思います。
分かりやすい説明で、とても良い授業だけど、身につかないというのはこういうことかと痛感しました。
YouTuberの目的も塾講師の目的も、分かりやすい話をすることで、しっかり理解させるためではありません。
集団授業で、しっかり理解させるための授業は不可能です。
そこで、ある程度調べてから、夫婦で、お互いにいま知っていることを情報交換すると、自分の言うことを受け入れてもらったり、反論されたりで、逆にこちらも受け入れたり反論したりで、正しい方向に進んでいきました。
「話す」「聞く」をフィフティーフィフティーでディスカッションすることが学問を高めるためには必要なのかと、ハッとしました。
この環境を勉強に生かすとしましたら、誰と会話すれば良いのでしょうか?
もちろん保護者です。
家庭教師にその役割を求めるのは、予算的にも時間的にも厳しいですが、なによりどの家庭教師もしっかり教えたいと思っていると思います。
ディスカッションの役割には向いていないと思います。
算数が苦手な保護者だと二の足を踏むと思います。
ここで、冒頭の私の合不合判定テストの国語や社会に戻って欲しいと思います。
大人ならではの常識力で、偏差値50~60は取れました。
受験算数を経験したことがなく、数学が苦手だったという保護者も、少し勉強すればすぐに取れると思います。
当教材の対話式算数を1部印刷し、それをお子様に、タブレットかノートパソコンで保護者様が閲覧し、ディスカッションしながら進めていきます。
対話式算数ならば、おそらく予習しなくても、それを見ながらフィフティーフィフティーで会話できると思います。
そのときのポイントは、親が子に教えようというのではなく、お互いに深く学んでいこうという姿勢です。
目線の高さを同じにします。
指導するという立場になるならば、前述の通り、試行錯誤しながら研究していく必要があります。
その立場を目指さないで、ディスカッションしていく姿勢という作戦です。
塾の授業をやるとしたら、それなりのスキルは必要ですが、このディスカッション形式ならば、スキルなしですぐにでき、保護者様の取れる点数に届きます。
少し勉強して、大人の常識力を駆使して偏差値55を取れるとしたら、お子様も偏差値55は行くと思います。
このような学習は、親子二人三脚の充実感が高く、楽しい経験になるのではないかと個人的には思います。
親子で、良い関係で算数の会話ができるならば、塾で伸びないなら、この勉強が最も確実だと思います。
4~5年生の保護者なら、いざというときに、こういう勉強ができるような関係を保つように勉強をフォローしていくと良いと思います。
最後まで親子で二人三脚でも良いですが、お子様が成長すると、やがては「もう一人で勉強したい」と旅立ち宣言をするかもしれません。
それは成長している証なので、良い状況だと思います。