解説を有効活用するとは

算数の問題が解けないとき、次の4パターンをアドバイスされると思います。

  1. 解説をすぐしっかり見る
  2. 解説を少しだけ見る
  3. 質問する
  4. 解説を見ないで、よく考える

どれが正解かというものはありません。

個々の子供の学力、性格によってベストの方針は異なります。

とは言いましても、一般的には①です。

③と言いたいところですが、そのような環境にいない場合が多いので、③を勧めるわけにはいかないと思います。

 

今年のスカイプ生の優秀な生徒さんから、予習シリーズの質問がありました。

私の作成した解説書の質問なのですが、とても細かい質問でした。

ここで、それを描写するのは、高度すぎて難しいので、簡単な題材に変換して紹介したいと思います。

 

まず、普通の例

  • 生徒「これは表を書けば良いんですね」
  • 私「そうだね」
  • 生徒「分かりました。復習しておきます」
  • 私「じゃ、次に行こうか」

このくらいです。

よくありがちな光景だと思われるのではないでしょうか。

 

優秀な例

  • 生徒「これは表を書いた方がいいんですか?私は表じゃなくてもできます」
  • 私「これは表のメリットはないね。むしろ面倒だよ。でも、もっとレベルが上がると、このような表の書き方じゃないと対処できないから、この手の問題は通常は表で解くという姿勢を身につけて欲しいから、表にしているんだよ」
  • 生徒「わかりました。表以外には良い方法はありますか?」
  • 私「ないと思う。でも、いろいろ考えて、自分にとってのベストを探してみてもいいよ。探すことは大切なことだよ」
  • 生徒「どういう問題を表で書いているんですか?」
  • 私「表で解けると思った問題と、他の解き方が思い浮かばない問題」
  • 生徒「ほとんど表なんですね」
  • 先生「そういうことにした方が、負担が減るといって喜ぶ生徒が多いからね。表だけじゃ飽きるタイプなら、いろいろな解き方で良いよ」

架空の話になりましたが、実際は、高度な問題を、受験算数の歴史や数学との関わりや出題者の意図などを伝えながら、説明しています。

ちなみにひさしぶりに私の書いた大手塾の解説書「予習シリーズ」をそのときに見て指導したわけですが、とても学べる解説になっています。

一字一句文字を追っていって、疑問点を探して、それを解決させていくと、理想的な学び方ができます。

書物なので、解決する時間は自由です。

こんな良い解説を書いていたのかと自画自賛したくなるほどでした。

 

上の2パターンを比較してみますと、広がり方がまるで違います。

大袈裟に書いたわけではありません。

同じ1問を扱っても、これだけ大きな差になります。

よく、ブログでも、解いて力が付く子と付かない子がいると書いていますが、解いて力が付く子は、解く過程でいろいろ考え、解説を読んでいろいろ考え、仕組みを自分なりに理解し、構築していくからです。

宝くじの当たりのように、解いたら、たまたま力が付いたというわけではありません。

 

冒頭の対処法では解説を読むことをお勧めしていますが、学べる解説かどうかが重要です。

式が多かったり、図で理解する方針だったり、解き方を説明するという解説だと、学べる解説になりません。

分かりやすいと学べるは同じ意味ではありません。

「ここがつまずきやすいけど、○○だから、△△と考えていきます」というように、間違えやすいポイント、どうして間違えやすいか、どうして間違えているのか、どうしてこのように考えるか、などを口語調に書かないと、学べる解説にならないと思います。

 

そして、学べる解説として当教材の大手塾の解説書「予習シリーズ」を手にしていただいても、かなり学べますが、上記のように出来る子でも、ちょっと引っかかる箇所が出てきます。

そのときは質問できる体制が望ましいですが、保護者が教えても良いと思います。

 

それと話が繋がりますが、問題を解けたら「ハイ次!」というのは、次元の低い学習ということは伝えられたと思います。

解けた問題でも振り返り、いろいろ視野を広げていけるかどうかが大切です。

たくさんの問題を解くために、問題が解けたら、振り返ることも無く、次に進むというのは、正しい勉強ではありません。

優秀な子で、解きながら、いろいろなことを吸収できる子向けの勉強です。

 

問題を解くことよりも、1つの問題をいろいろな角度から見ることが大切です。

その叩き台となるような解説、そして、語り合える人が必要です。

語り合える人は、保護者が最適ですが、受験算数をあまり知らないと語り合えないと思います。

保護者が解説を見て、解き方を覚えるように教えても、1週間後のテストしか通用しません。

1つの問題を解説なども参考にしながら語り合うことの方が比較にならないくらい効果が大きいです。

語り合えるくらいの受験算数についての知識を持ち合わせていないという場合は、僭越ですが、対話式算数で知識を吸収して欲しいと思います。

受験生のほとんどの子は、たくさんの問題を解くよりも、語り合って視野を広げることが大切という意見に賛成でしたら、保護者様のスキルアップも必要といえます。

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