- 2024年3月2日
例えば、図形の問題を解くときに、補助線をひくことを考えます。
私は指導のときに「軽い気持ちで補助線をひかないこと」と口酸っぱく言っています。
正確な言葉にすると、解き方が分からない状態で補助線をひいたらいけないという意味です。
図形において、補助線というのは、魔法技のようなイメージを持つ子が多いです。
「とにかく補助線をひいてみたら、何か分かるかもしれない!」
という感覚です。
しかし、補助線をひけばひくほど、問題の図が様変わりしてしまい、正しい解法が見えにくくなります。
特に、最初から問題の図にある線とクロスする補助線は致命的とも言えるくらい、ひくと惑わされてマイナスです。
補助線というのは、目的があります。
- 平行線を利用して錯角をつくる
- いくつかの三角形に分ける
- おうぎ形をつくる
- 正三角形をつくる
- 二等辺三角形をつくる
- 面積を等分する
- 合同な三角形をつくる
パッと思いつくものでも、これくらいあります。
目的がない段階で補助線をひいたら、解ける可能性が下がります。
「補助線をひきたくなる」魔の誘いを我慢して、よく考え、上記のような目的ができた段階で、補助線をひきます。
塾の授業では、上記の補助線をひく目的を説明しているはずです。
しかし、「どうして○○をするか」という部分は、口頭で、繋ぎの言葉のように伝えられがちで、印象に残りにくいです。
大人でも子どもでも結論が目立つ存在になり、そこに注目が行きがちです。
つまり、「どうしてこうするのか?」という部分は、授業で触れられていても、聞き逃して吸収しにくいです。
ここまで読んでくださいますと、「その部分を吸収できれば、糸口が見つかりやすく、解ける可能性が高まる」と思いませんでしょうか?
その通りです。
算数が得意な子は、その繋ぎ部分を吸収できる(あるいは自ら法則性を編み出す)というわけです。
そうしましたら解決法は簡単です。
繋ぎの部分を聞き逃さなければ良いだけのことです。
と言いましても、それが大変なのです。
それが簡単だったら、すでに、いまできているからです。
解決法は、書物の解説を繰り返し読むことしかないと、私は考えています。
私は子どもの頃、あまり漫画は読みませんでしたが、いくつかの気に入った漫画(ゴルゴ13など)は、ときどき繰り返して読んでいました。
読むごとに違った新しい発見がありました。
どうして1回目に読んだときに記憶に残らなかったのだろうと不思議で仕方がありませんが、そういうことは、よくあることなのではないかと思います。
特に話が難しく、バックボーンがない状態と、ある程度分かった状態で読むときでは、情報の吸収量が違うのではないでしょうか。
まさに、これは教材を反復して読む効果の話と同じだと思います。
対話式算数は読みやすくなるように工夫して書いていますが、かなりの情報が詰まっています。
集団授業や動画で普通の講師が伝える2倍くらいの情報だと思います。
書物なので、そのくらいの情報を詰め込めるのです。
ヤフーニュースなどで、動画ニュースとそれが文字となったニュースが載っているときがありますが、文字のニュースを見ると「たったこれだけの情報だったのか!」と愕然とすることが多いです。
聞き手が理解しやすいように語ると、情報はかなり減らさなければいけないということです。
読みやすく、且つしっかり理由が書かれた書物を繰り返し読むことが、最強の学習だと思いますが、いかがでしょうか。